お疲れさま、カール!

一条真也です。
3度目の緊急事態宣言下の東京に来ています。
九州が豪雨だそうで心配ですが、27日の東京も雨で、いよいよ梅雨入りかという感じです。朝、「『はらぺこあおむし』の作家死去 エリック・カールさん、91歳」というネット記事が目にとまりました。

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「ヤフーニュース」より 

 

「まだ生きてたのか!」という驚きとともに、わたしの頭の中に彼の絵本の表紙がたくさん浮かんできました。わが家には、彼の絵本はすべて揃えてあるからです。エリック・カールアメリカの絵本作家で、23日に死去。91歳でした。1929年アメリカのニューヨーク州に生まれ、ドイツで育ちました。グラフィックデザイナーとして活躍後、1968年に『1,2,3どうぶつえんへ』を発表し、ボローニャ国際児童図書展グラフィック大賞を受賞。以来、世界的な絵本作家として創作を続けました。


ニスを下塗りした薄紙に指や筆で色をつけた色紙を切抜き、貼りつけていくコラージュの手法が特徴でした。鮮やかな色彩感覚によって「絵本の魔術師」と呼ばれました。カールが発表した絵本は40作以上にのぼり、39か国語に翻訳され、出版部数は2500万部を超えています。2003年、ローラ・インガルス・ワイルダー賞受賞。

 

 

カールの代表作といえば、なんといっても『はらぺこあおむし』(1969年)です。絵本が伸びていく仕掛けのボードブックです。アマゾンの「出版社より」には、「日曜日の朝、ぽん! とたまごから、ちいさなあおむしが生まれました。あおむしはおなかがぺこぺこです。月曜日には、りんごをひとつ。火曜日には、なしをふたつ。水曜日には、すももをみっつ食べました。あおむしは毎日たくさんたくさん食べ、気づけば、おおきくふとっちょになっていました。さなぎになり、何日もねむったあおむしは、最後はうつくしいちょうちょになります」とのストーリーが紹介されています。


わたしは2人の娘たちが小さいころ、よく絵本の読み聞かせをしましたが、特にカールの本が多かったです。長女は『はらぺこあおむし』が大好きで、一時は頭の中に「はらぺこあおむし」が棲みついているようでした。一度、東京・渋谷のプラネタリムに行ったとき、真っ暗になって天井に星空が投影された瞬間、幼い長女が「はらぺこあおむし!」と大声で叫び、場内が大爆笑となって冷や汗をかいたことがあります。(笑)

f:id:shins2m:20201103114427j:plainわわが家の絵本コーナー

 

 また、『パパ、お月さまとって! 』(1986年)も大好きな絵本でした。うさぎ年生まれにして月狂いであるわたしは、「うさぎ」と「月」に関する絵本をすべて自宅にコレクションしています。それらは子ども部屋の本棚に納められており、2人の娘たちは「うさぎ」と「月」の絵本を読みながら、育ってきました。その中でも、特に人気があったのが『パパ、お月さまとって! 』です。

 

 

『パパ、お月さまとって! 』もボードブックで、高い夜空にある月をめがけて、本がどんどん伸びていく仕掛けでした。父親が娘のために大活躍するという設定で、『はらぺこあおむし』に続いてこの本にも強い影響を受けた長女は、月夜の晩などによく「パパ、お月さまとって!」と言い、わたしは「うん、いいよ」と答えたものでした。いやあ、なつかしい思い出ですね。


ブログ「スーパームーン皆既月食」に書いたように、昨夜は満月で、しかも1年のうち最も大きく見えるスーパームーンでした。さらには皆既月食というオマケ付きで、日本中の人たちが夜空を見上げたことと思います。わたしも東京のホテルの庭園でスーパームーンを見上げました。そのとき、昔、長女と「パパ、お月さまとって!」「うん、いいよ」という掛け合いをしたことを思い出しました。

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昨夜のスーパームーンを背に

 

その翌朝、『パパ、お月さまとって! 』の作者の死を知ったというのは不思議な縁というか、シンクロニシティというものを感じてしまいます。「絵本の魔術師」エリック・カールは、わたしたち父娘にたくさんの思い出を与えてくれました。感謝の気持ちでいっぱいですが、今朝わたしは、カールの訃報を長女にLINEしました。長女から返ってきたのは、以下のLINEスタンプでした。

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2021年5月27日 一条真也