『結婚は最高の平和である!』

一条真也です。ブログ『はじめての論語』に書いたように、新しいブックレットが刊行されました。
わたしのブックレットは一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。


『結婚は最高の平和である!』(2006年8月刊)

 

最初にご紹介するブックレットは、『結婚は最高の平和である! 〜オリュンポス12神に見守られて』です。2006年8月に刊行されていますが、目次は以下の通り。
●オリュンポス12神の顔ぶれ
古代ギリシャから古代ローマ
●人類最古のシュメール文明
多神教ガーデンの完成
多神教の平和的側面
●破壊的な一神教の神
●魂を癒す多神教の神々
●自然に対する考え方の違い
●戦争エンジンとしての一神教
●結婚式は平和な多神教で!


ギリシャアクロポリス&ゼウス神殿のようす

 

オリュンポス12神について簡単に説明します。
まずは、ゼウス。最高神にして父なる神です。
ホメロスは『イリアス』の中で、「ゼウスが自分の宮殿に帰ってきた。父なる神が近づくのを見て神々はみな席から立ち上がった」と書いています。ゼウスは天空を支配し、あらゆる気象現象を司り、他の神々すべてを合わせたより強い力を持ちます。オリュンポスの玉座から神と人間を支配するのがゼウスなのです。
次に、ヘラ。ゼウスの妻で、結婚と誕生の女神です。
ポセイドンはゼウスの兄弟で、海神として有名です。泉を湧き出させ、馬や雄牛を造り出したとも言われます。
へパイトスはゼウスとヘラの息子で、火と火山の神です。鍛冶屋で魔術師でもあります。アレスも同じくゼウスとヘラの息子で、軍神です。ディオ二ソスはゼウスの息子で、酒、植物、豊饒、演劇の神です。
太陽神として知られるアポロンはゼウスの息子で、光、予言、詩、音楽の神です。疫病をもたらし、かつ癒す神でもあります。ヘルメスはゼウスの息子で、雄弁家、商人、盗賊の神です。神々の使者で、死者の霊魂を導きます。
アテナはゼウスの娘で、芸術、技術、平和、戦の神です。一般には手工芸品と家政学の神として知られています。
アルテミスもゼウスの娘で、野性味あふれる狩猟の女神。子どもの守護神でもあります。デメテルはゼウスの姉妹で、農業と豊作の女神。生命の再生を司ります。そして最後に、アフロディーテ。愛と美と微笑みの女神です。サンレーグループの衣装店のシンボルでもありますね。以上が、オリュンポス12神のオールスターキャストです。


オリュンポス12神の顔ぶれも紹介されています

 

オリュンポスの神々といえば、松柏園ホテル。かつて、同ホテルのガーデンには、オリュンポス12神の等身大像が一同に揃っていました。これまでも12神のうちいくつかの像が揃うことはありましたが、すべての神々が、しかも平均180センチという等身大で揃うことは、全国でも初めてであり、大きな話題となりました。西洋占星術の第一人者である鏡リュウジ氏も訪れたことがありますが、「12神がすべて揃っているなんて素晴らしいですね!」とのお言葉を頂戴しました。鏡氏は「ムーンサルトレター」のわたしの前任者(鎌田東二氏の文通相手)です。


オリュンポス12神ガーデンで、鏡リュウジ氏と

 

わたしは常々、「結婚とは最高の平和である」と言っています。人と人とがいがみ合う、それが発展すれば喧嘩になり、さらには9・11同時多発テロのような悲劇を引き起こし、最終的には戦争へと至ってしまいます。逆に、人と人とが認め合い愛し合う結婚とは究極の平和なのです。9・11同時多発テロの原因は複雑で、さまざまな要因が絡まっていますが、1つには、ユダヤキリスト教イスラム教の対立という側面があります。そして、ユダヤ教キリスト教イスラム教はその源を一つとしながらも異なる形で発展しましたが、いずれも他の宗教を認めない一神教です。宗教的寛容性というものがないから対立し、戦争になってしまう。それぞれが崇める神であるエホバ、ヤハヴェ、アラーの神以外は信じてはならない。右手に剣、左手に『聖書』や『コーラン』を持って異端者は殺すべしである。その場合は、神の許し給う殺人であるから、感動こそあっても罪の意識は感じないですむ。

                                      
「結婚」と「平和」のシンボル!

 

これに対して日本の神道をはじめとする多神教の良さは、他の宗教を認め、共存していけるところにあります。自分だけを絶対視しない。自己を絶対的中心とはしない。根本的に開かれていて寛容である。他者に対する畏敬の念を持っている。唯一絶対神がいないから宗教戦争など考えられません。多神教のこういった平和的側面は、そのまま結婚生活に必要なものだと思います。『旧約聖書』に出てくる神は厳格そのものですが、結婚生活においてはあまり厳格に臨むと必ず破綻します。『ギリシャ神話』や『古事記』に登場する神々は、酒に酔っ払いもすれば、好色で浮気もする・・・こういう大らかな神々に見守られて結婚した方が長続きするのではないでしょうか。結婚という人間界最高の平和と多神教とは基本的に相性がいいのです。今はもう存在しませんが、オリュンポス12神が並ぶ松柏園のガーデンは、まさに「結婚」と「平和」のシンボルでした。

 

2021年5月22日 一条真也