コロナに負けるな!

一条真也です。
20日の夜、書斎で酒を飲みながらヤフーニュースを見ていたら、「尾野真千子、コロナへの不安を大粒の涙で訴え『恐怖が襲ってきた』」という記事を見つけました。20日、女優の尾野真千子さんが神奈川県内で行われた映画「茜色に焼かれる」公開前夜最速上映会に出演。昨年8月に撮影を行い、新型コロナウイルスの影響でさまざまなことが制限される中での封切りに、大粒の涙を流しました。


観客を前に、締めのあいさつをした尾野さんは「この映画は私にとって最高の映画です。もう、コロナ関係なく言います。怒られるかもしれないですが、劇場で見てほしいです。みなさんと手と手を取り合って、見に来てほしいんです」と訴えました。続けて、「みんなで命をかけて撮った作品です。こんな状況で、やりにくい世の中で、私たちの仕事は、もうできないかもしれないと思って。恐怖が襲ってきました」と涙で言葉をつまらせながら話しました。

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挨拶する尾野真千子さん

 

尾野さんは、「でも、こうやってみんなとこういう作品を伝えなければいけないと使命だと思って、スタッフも監督もみんなで紹介してくれた人も命がけでやりました。こんな最高な作品はありません。ぜひぜひ、劇場で見てほしいという思いで作りました。すんません、泣いて。笑って劇場に来てくださるよう、ずっと祈っています。コロナに負けるな! 頑張れ! 頑張ろうね」と振り絞りながら語りました。わたしは、この動画を観て、泣けて仕方がありませんでした。不安と戦いながら生きている映画人の苦悩が痛いほど伝わってきました。わたしは彼女のファンではありません。むしろガサツな印象で苦手なぐらいでしたが、このような魂の訴えができる人は凄いと感服しました。

 

いま、拙著『愛する人を亡くした人へ』(現代書林)を原案とする日本初のグリーフケア映画「愛する人へ」の企画・製作が進行していています。このコロナ禍にあって手探りの状態で進んでいますが、この映画は社会にとって必要な映画であり、どうしても作り上げて、どうしても公開しなければいけないと思っています。尾野さんの「みんなで命をかけて撮った作品です」という言葉を聞いて、わたしも「命をかけなければいけない」と覚悟を決めました。ちなみに、「茜色に焼かれる」は、コロナ禍での生活を真正面から描き切った「いまの日本」を舞台にした映画です。尾野さん演じる主人公は、夫を交通事故で亡くし、パートや風俗で生計を立てます。コロナ禍の中で困窮した彼女と息子は、さまざまな理不尽な目に遭いながらも必死で生きていくという物語です。ぜひ観たいですが、小倉では上映されないため、とりあえず明日は吉永小百合広瀬すず共演の「いのちの停車場」を観に行くことにします。

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最後に「コロナに負けるな!」と訴えました 

 

尾野さんの「こんな状況で、やりにくい世の中で、私たちの仕事は、もうできないかもしれないと思って。恐怖が襲ってきました」という言葉には、苦境にあるブライダル業界の同志たちを思い出し、また泣けました。葬祭部門を有する冠婚葬祭互助会はまだしも、専門の結婚式場やホテルなどで働かれているブライダル・スタッフのみなさんも、「私たちの仕事は、もうできないかもしれない」という恐怖を感じているはずです。でも、映画も結婚式も、ともに人間にとって必要な文化です。絶対になくすわけにはいきません。なんとか、映画と結婚式を存続させるために、わたしも微力ながら全力を尽くしたいです。「コロナに負けるな! 頑張れ! 頑張ろうね」という尾野さんの言葉は、すべての人々へのメッセージだと思いました。

 

2021年5月20日 一条真也