ぼったくり男爵

一条真也です。
新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。8日の東京の新規感染者数は1121人、大阪は1021人でした。昨日、「短期集中」から一転して東京や大阪の緊急事態宣言は延長され、わが福岡県への発令も決定しました。


会見した菅義偉首相は、2カ月半後に迫った東京五輪パラリンピックを予定通り開催する方針は崩しませんでしたが、首相が掲げる「安全・安心の大会」は揺らいでいます。開催が感染を広げる恐れに加え、ただでさえ遅れるワクチン接種の妨げになるとの指摘もあり、延期や中止を求める声が一段と高まっています。

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「ヤフーニュース」より

 

本日の「プレジデント・オンライン」が配信した「『日本はIOCにハッキリ言うべき』米メディアで増える‟五輪中止”の大合唱」で、ジャーナリストのシェリーめぐみ氏は、「アップルがiPhoneに搭載しているニュースアプリは、テレビや新聞をチェックしない若者も日常的に見ている。3日付のオーディオニュースのトップは、[オリンピックは今年行われるのか?]という見出しで伝えた。ワシントンポスト紙の記事を引用した内容は、開催まで3カ月を切った日本の医療は逼迫し、オリンピックが本当にできるのかという疑問が高まっている。各地で病院ベッドが不足する中、医療関係者は多数のアスリートや関係者が来日することに懸念をあらわにしている。菅義偉首相は『遂行するかどうかの決定権はIOCにある』と、自ら距離を置いているように見える。アメリカ人がこれを聞く限り、リーダーが責任を回避しているように受け止められても仕方ないと感じられる言い方だ」と述べています。


そのIOCのバッハ会長を米国を代表する新聞である「ワシントンポスト」が「ぼったくり男爵」と呼んだのは、まことに痛快でしたね。同紙は5日に「東京は損切りし、IOCに他で略奪するよう告げるべき」という五輪中止と開催地変更を勧めるコラムを掲載。コラムの原文では〝Baron Von Ripper―off〟との記述がありました。Baronが男爵で、Vonは貴族に使われるドイツ語です。バッハ会長がドイツ出身だからだと思われますが、Rip offは「だまし取る」とか「ぼったくる」という意味です。


「ぼったくり男爵」は直訳なわけですが、「よくぞ、ワシントンポスト言ってくれた!」と拍手したい気分です。それに比べて、日本の新聞はどこも東京五輪中止提言に及び腰で情けないかぎり。それにしても、「ぼったくり男爵」とは秀逸なネーミングです。18世紀のプロイセン貴族ミュンヒハウゼン男爵カール・フリードリヒ・ヒエロニュムスが自らのことを「ほら男爵」と称して以来のナイスなネーミングだと言えるでしょう。『ほら男爵の冒険』はわたしの子ども時代の愛読書でしたが、何度も映画化されています。1988年には、名匠テリー・ギリアム監督による映画「バロン ほらふき男爵の冒険」が公開されました。ぜひ、バッハ会長を主人公にした「バッハ ぼったくり男爵の悪だくみ」も観てみたい!(笑)


テレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏は6日、ツイッターで「バッハ会長来日の際は、新宿のぼったくりバーに連れて行き、1兆7000億円を請求しましょう。これで中止しても元が取れるね」とつぶやきました。この「ぼったくり男爵」はトレンドワードにもなっており、日本人のハートにヒットしたようです。ツイッターには、「今年の流行語大賞に輝くかも」「授賞式にはバッハさん呼ばないと」「あまりにも直球すぎるパワーワードインパクトすごすぎ」などと年末の新語・流行語大賞へのノミネートを求める声が上がっているそうです。

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「gooニュース」より

 

その渦中の人であるバッハ会長は、17日に広島市で行われる聖火リレーの式典に出席し、翌18日には、都内で菅首相らと会談する方向で調整が進んでいました。しかし、関係者によると、緊急事態宣言の延長が決定したことや、世論をふまえて今回の来日は見送る方向だそうです。大会組織委員会橋本聖子会長は7日の会見で、「バッハ会長に大変大きな負担になる」として、来日することは非常に難しいとの考えを示しました。コロナ禍で、バッハ会長来日反対のデモなどは行われません。それどころか、多くの日本国民から「ようこそ、ぼったくり男爵!」として熱烈歓迎を受けた(笑)はずなのに、本当に残念ですね。

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こんなTシャツを買いました! 

 

2021年5月8日 一条真也拝