死と愛は、善人を天国へと
運ぶ二つの羽だ。(ミケランジェロ)
一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、イタリア盛期ルネサンス期の彫刻家、画家、建築家、詩人であるミケランジェロ・ディ・ロドヴィーコ・ブオナローティ・シモーニ(1475年~1564年)の言葉です。レオナルド・ダ・ヴィンチと同じく、ルネサンス期の典型的な「万能人」と呼ばれ、代表作は「ダビデ像」「アダムの創造」「ピエタ」「システィーナ礼拝堂天井画」などです。
「死」と「愛」は、文学における二大テーマであると言ってもよいでしょう。偉大な文学作品は、必ず「愛」と「死」の両方を描いています。なぜか。「愛」はもちろん人間にとって最も価値のあるものです。けれども「愛」をただ「愛」として語り、描くだけではその本来の姿は決して見えてきません。そこに登場するのが、人類最大のテーマである「死」です。
「死」の存在があってはじめて、「愛」はその輪郭を明らかにし、さらには強い輝きを放つのではないでしょうか。「死」があってこそ、「愛」が光るのです。そして、そこに感動が生まれるのです。逆に、「愛」の存在があって、はじめて人間は自らの「死」を直視できるとも言えます。「死」という直視できないものを見るためのサングラスこそ「愛」ではないでしょうか。
誰だって死ぬのは怖いし、自分の死をストレートに考えることは困難です。しかし、愛する恋人、愛する妻や夫、愛するわが子、愛するわが孫の存在があったとしたらどうでしょうか。人は心から愛するものがあってはじめて、自らの死を乗り越え、永遠の時間の中で生きることができるのでしょう。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。ご一読下されば、幸いです。
2021年4月10日 一条真也拝