ありがとう、池江選手!

一条真也です。
こんなに感動したことはありません。
白血病で長期療養していた競泳の池江璃花子選手がなんと日本選手権で優勝し、東京五輪出場を決めたのです。

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テレビ朝日サンデーステーション」より

 

4日、東京オリンピックの代表選考を兼ねた競泳の日本選手権第2日は、五輪会場の東京アクアティクスセンターで行われました。女子100メートルバタフライ決勝は、白血病で長期療養していた池江璃花子選手(ルネサンス)が57秒77で3年ぶりの優勝を果たしました。400メートルメドレーリレーの派遣標準記録(57秒92)も突破し、リレーメンバーとしての東京五輪出場も決定。

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優勝とタイムを確認した池江選手は、涙が止まりませんでした。プールから出た後、無観客ながらスタンドで応援していた関係者に両拳を握って感謝を意を示しました。その後も、しばらく声を上げて泣いていました。この姿を見て、貰い泣きしない人はいないと思います。優勝インタビューで、池江選手は「まさか、100で優勝できると思ってなかったですし、5年前の五輪選考会よりも、ずっと自信もなかったし。自分が、勝てるのは、ずっと先のことだと思ってたんですけど、勝つための練習もしっかりやってきましたし、最後は『ただいま』って気持ちで入場してきたので、自分がすごく自信なくても、努力は必ず報われるんだなと思いました」と語りました。

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3年ぶりとなった日本選手権で、池江選手は4種目にエントリーしました。最初の種目が“本職”の100メートルバタフライでした。3日は予選を全体2位で、準決勝を同3位で通過していました。準決勝の後には「しっかり上位に食い込めるように。今の自分は前から言っている通り、この東京五輪がメインではないので、しっかり経験を積んで、準決勝よりも速いタイムで泳げたらいいな」と冷静に話していました。24年パリ五輪を大目標に掲げており、東京五輪はその途上にある位置付けで臨んでいたのです。

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誰もが「天国から地獄へ」という言葉を思い浮かべた白血病の発症のとき、日本中が彼女の治癒と復帰を願いました。でも、東京五輪に出場できると思った人はいないはずです。白血病はそんなに簡単な病気ではないからです。でも、新型コロナウイルスの感染拡大のために五輪は1年延長され、奇跡が起きました。池江選手は、がんと闘うすべての患者、そしてコロナ禍で困窮するすべての人に勇気と希望を与えました。すごいです。

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当ブログの読者の方ならご存じでしょうが、わたしは東京五輪中止論者です。でも、「池江選手の晴れ姿が見れるなら、開催してもいいか」という考えになりました。わたし以外の中止論者も、そう考えた人が多いのではないでしょうか。現在は国民の大多数が東京五輪開催に反対ですが、今回の奇跡によって、国内の世論が「開催賛成」に一気に向かうかもしれません。これも、すごいことです。どんな政治家よりも、ジャーナリストよりも、アスリートである池江選手が流れを変えるとしたら素晴らしいことです。

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奇跡の直後、涙が止まりませんでした

 

「人は心が原動力だから」というのは、社会現象を起こした「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎のセリフですが、池江選手がそれを見事に証明してくれました。これほど強い精神力を初めて見ました。それにしても、「努力は必ず報われるんだな」という言葉をこれほどの説得力をもって語った日本人が他にいたでしょうか。コロナ禍で苦しむすべての人へのメッセージだと思います。この言葉を20歳の若い女性が語ったのです。本当に、すごいです。感動で、涙が止まりません。池江選手には、心から「おめでとう!」、そして「ありがとう!」を言いたいです。


2021年4月4日 一条真也