3月度総合朝礼

一条真也です。
3月になりました。1日の朝、わが社が誇る儀式の殿堂である小倉紫雲閣の大ホールで、サンレー本社の総合朝礼を行いました。もちろん、ソーシャルディスタンスには最大限の配慮をしています。

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総合朝礼前のようす

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最初は、もちろん一同礼!

f:id:shins2m:20210301084659j:plain社歌斉唱のようす

f:id:shins2m:20210301204925j:plain春を呼ぶマスク姿で登壇しました

 

全員マスク姿で社歌の斉唱および経営理念の唱和は小声で行いました。それから社長訓示の時間となり、わたしが春を呼ぶピンクの不織布マスク姿で登壇しました。わたしは、まず、「昨日で福岡県の緊急事態宣言が解除されました。もうすぐ春です。梅の花が咲き、桃の節句も近いです。わたしもピンクの不織布マスクで、春の訪れを願っています」と言いました。

f:id:shins2m:20210301131312j:plain春を呼ぶマスクを取りました

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炭治郎と金次郎の話をしました 

 

それから、わたしは以下のような内容の社長訓示を行いました。今年1月末に上梓した『「鬼滅の刃」に学ぶ』(現代書林)がおかげさまで好評ですが、その中でも「鬼滅の刃」が日本人の「こころ」の奥底に触れたために社会現象にまで発展する大ブームになったという部分に共感してくれた読者が多かったようです。そして、わたしは「鬼滅の刃」の主人公である竈門炭治郎には日本人の「こころ」を支える三本柱である神道儒教・仏教の精神が宿っており、二宮金次郎のイメージに重なると書いたのですが、大変な反響がありました。

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二宮尊徳について話しました

 

妹の禰津子を背負う炭治郎の姿は薪を背負って読書する金次郎の姿を連想させますが、外見的に似ているだけではなく、金次郎もまた神道儒教・仏教の精神を宿した人でした。二宮金次郎は、戦前の国定教科書に勤勉・倹約・孝行・奉仕の模範として載せられ、全国の国民学校の校庭には薪を背負い本を読む銅像が作られました。わたしの書斎には、尊徳の銅像のミニチュアが鎮座しています。金次郎は長じて、尊徳と名乗りました。幕末期に、農民の出身でありながら、荒れ果てた農村や諸藩の再建に見事に成功させた人物として知られます。

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熱心に聴く人びと

 

内村鑑三が名著『代表的日本人』の中で、西郷隆盛上杉鷹山中江藤樹日蓮と並んで二宮尊徳を取り上げていますが、明治以降、近代日本を創り上げていった人々が尊徳を「師」と仰ぎました。先月紹介した渋沢栄一をはじめ、安田善次郎、御木本幸吉、豊田佐吉松下幸之助土光敏夫といった偉大な成功者たちも、みな尊徳を信奉していました。道徳、勤労、積小為大、推譲といった尊徳思想のキーワードについて、『教養として知っておきたい二宮尊徳』を書いた松沢成文氏は、「これらの教えは、日本人の社会規範や道徳としての精神的価値の基盤になっているといっても過言ではない。尊徳ほど、独創的な考え方や創造的な生き方を通じて社会を変革した人はいない」と述べています。

f:id:shins2m:20210301131442j:plain尊徳の偉大さを語りました

 

尊徳は、600以上の大名旗本の財政再建および農村の復興事業に携わりました。彼は同時代のヘーゲルにも比較しうる弁証法を駆使した哲学者であり、ドラッカーの先達的な経営学者でもありました。そう、二宮尊徳は日本が世界に誇りうる大思想家だったのです。自らの実践を通じて「至誠」「勤労」「分度」「推譲」「積小為大」「一円融合」などの改革理念や思想哲学を生み出し、人々を導いてきました。これらの教えは、日本人の社会規範や道徳としての精神的価値の基盤になっています。

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心学を追求した尊徳

 

その尊徳は、石田梅岩が開いた「心学」の流れを受け継ぎました。心学の特徴は、神道儒教・仏教を等しく「こころ」の教えとしていることです。日本には土着の先祖崇拝に基づく神道があり、中国で孔子が開いた儒教、インドでブッダが開いた仏教も日本に入ってきました。しかし心学では、この三つの教えのどれにも偏せず、自分の「心を磨く」ということを重要視しました。

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熱心に聴く人びと

 

尊徳は、代表作である『二宮翁夜話』において、「神道は開国の道、儒教は治国の道、仏教は治心の道である」と喝破しました。彼は、いたずらに高尚を尊重せず、また卑近になることを嫌わずに、この三道の正味だけを取ったといいます。正味とは人間界に大事なことを言います。大事なことを取り、大事でないことを捨て、人間界で他にはない最高の教えを立てたわけで、これを「報徳教」と名付けました。また、「神儒仏正味一粒丸」という名前をつけており、「その効用は広大で数えきることができないほどである」と述べてています。

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道歌を披露しました

 

尊徳は、常に「人道」のみならず「天道」を意識し、大いなる「太陽の徳」を説きました。それは大慈大悲の万物を慈しむ心であり、尊徳の「無利息貸付の法」も、この徳の実践でした。その尊徳の心の中心にあった「天道」の名を冠した研修施設が、北九州市小倉北区上富野の「天道館」です。現在、天道館では、実践礼道小笠原流の礼儀作法を取り入れ、サンレー社員としての基本的なスキルを学ぶ場になっています。また、ご近所の皆様が気軽に集える「公民館」や「市民センター」のような施設として、ご利用いただいています。さらには、高齢者同士が隣近所付き合いを活性化させ、共に支え合う社会を目指す拠点ともなっています。わたしたちは、「天道」をつねに意識しながら、『天下布礼』に励みましょう」と述べてから、以下の道歌を披露しました。

 

神の道 仏の道に 人の道
  すべて統べるは天の道なり  

 

f:id:shins2m:20210301090009j:plain「今月の目標」を唱和

f:id:shins2m:20210301090041j:plain最後は、もちろん一同礼!

 

総合朝礼の終了後は、大会議室で北九州本部会議を開催します。コロナ時代にあっても未来を拓くための有意義な会議にしたいと思います。昨年はなんとかコロナイヤーを黒字で乗り切りましたが、コロナ2年目となる今年は正念場を迎えています。全社員が全集中の呼吸で全員の力を合わせて最後まで走り抜きたいです。明後日の3月3日の桃の節句には、同じ大ホールで「営業推進部総合朝礼」を行います。春よ来い、早く来い!

 

2021年3月1日 一条真也拝