死を乗り越えるニーチェの言葉

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人間だけがこの世で苦しむ。
そこで、笑いを発明せざるをえなかった。ニーチェ

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、フリードリヒ・ニーチェ(1844年~1900年)の言葉です。ニーチェは、ドイツの哲学者、古典文献学者。実存主義の代表的な思想家の1人として知られます。随所にアフォリズムを用いた、巧みな散文的な表現には文学の香りがします。

 

 

「神は死んだ」
この言葉はニーチェの思想を象徴している言葉です。それまで西洋に置いて、世界に意味を与えてきた神を否定する言葉でした。日本人にはなかなか理解できないかもしれませんが、その意味のもつ大きさは、それまでの規範を否定するほどのものだったわけです。

 

ツァラトゥストラはこう言った 下 (岩波文庫 青639-3)
 

 

積極的に生を肯定するニヒリズムの態度を「積極的ニヒリズム」といいますが、生を能動的に受け入れた言葉だと思います。ここに紹介した「人間だけがこの世で苦しむ。そこで、笑いを発明せざるをえなかった」という言葉の中には、笑いを発明して生きていこうという、人間の生への執着を感じてしまいます。ニーチェはこの積極的ニヒリズムのもと、自らを創造的に展開していく「超人」になることを主張しました。

 

善悪の彼岸 (岩波文庫)

善悪の彼岸 (岩波文庫)

  • 作者:ニーチェ
  • 発売日: 1970/04/16
  • メディア: 文庫
 

 

「超人」という神を超える存在を予見しなら、自らは発狂してしまいます。ニーチェは肺炎を患って五五歳で没しました。発狂前に「私の葬儀には数少ない友人以外呼ばないで欲しい」との遺言を残しましたが、妻はニーチェの友人に参列を許さなかったといいます。葬儀は皮肉にも軍関係者および知識人層により壮大に行なわれました。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2020/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 

2021年2月11日  一条真也