『遊びの神話』と「バブル」の本質

一条真也です。
23日、小倉は雨が降っています。ブログ「Yahoo!ニュースに登場しました」で紹介したように、昨年9月26日にコラムニストの尾藤克之氏が拙著『なぜ、一流の人はご先祖さまを大切にするのか?』(すばる舎)についての記事を書いて下さいましたが、今度は『遊びの神話』(東急エージェンシー出版事業部)を取り上げて下さいました。

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10以上のサイトに掲載されたという記事は「咲くだけで実をつけなかった「バブル」の本質を理解したいアナタへ!【尾藤克之のオススメ】」のタイトルで、いわゆるバブル時代について解説し、その本質が理解できる1冊として、1989年5月20日に刊行された『遊びの神話』を紹介しています。たとえば、「『ディスコ』とはどういう場所か」として、著者の一条真也さんがディスコを解説する箇所があります。ディスコで踊ることに、どのような意味があるのか書かれています」とし、以下の箇所を引用しています。
「宗教人類学者の伊藤幹治氏は『宴と日本文化』において、沖縄の与論島で正月七日に行なわていた『ウタカキ遊び』という行事を紹介している。ウタカキ遊びの当日、島の老若男女が晴着を着て酒と肴をたずさえて丘に集まり、そこで飲食を楽しんだ。その限りでは別に珍しくも何ともないが、その際、若い男女が別々に集まって円陣をつくり、互いに歌を掛け合ったり、踊りをおどったりして楽しんだという」
「さらにおもしろいのは、中にはこれが縁となって結ばれる男女もあったというのである。これはディスコでのダンパなどで、現代の若者たちが円陣をつくって『フーフー』とか『フェイフェイ』とか言いながら踊り、ナンパし、なかには結婚する者がいるのとまったく同じではないか! ウタカキ遊びのような例は、他にも世界各地に見られる」

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尾藤氏は「『男女が集い、酒を飲みかわし、音楽を楽しみ、踊りをおどるようなコミュニケーションは世界の至るところで見られていたのです。そのうえで、「ディスコとは野外の宴を吸収した空間である」と、一条さんは言います』として、「ディスコで踊りまくるとハイになれるのは、そこにおわす神と交信できるからかもしれない。では、ディスコにはどんな神がいるのかと聞かれると、正直言って、ぼくにはまだわからない。これから、つきとめていくつもりである」というわたしの言葉を引用されています。


遊びの神話』(東急エージェンシー

 

最後に、尾藤さんは「本書では、主にイベントの歴史と未来について説明されています。レジャーランドなら、プレジャー・ガーデンから、ディズニーランドの誕生、日本での成功の理由、これから流行すると思われるテーマパークが主題です。また、咲くだけで実をつけなかった、『バブル』という徒花(あだばな)を掘り下げることができる歴史書としても価値があるように思われます」と書かれています。たしかに、TDLをはじめとするテーマパークの成功は単なる経済的理由だけではなかったように思います。その意味で、『遊びの神話』は経済と文化がクロスオーヴァーした本だったのかもしれません。その後、このスタイルは、その後の一連の著書にも受け継がれました。

f:id:shins2m:20210123110646j:plain「鬼滅の刃」に学ぶ』(現代書林)

 

遊びの神話』 の刊行から30年以上が経過しましたが、わたしはこのたび、同書と同じ手法というか、同じ思考法で新しい本を書きました。『「鬼滅の刃」に学ぶ』(現代書林)です。漫画、アニメ、映画の3つの分野でそれぞれ史上最高のヒット作となった「鬼滅の刃」は関連グッズの売れ行きも相まって、その経済効果はコロナ禍で疲弊する日本経済の救世主のようになっています。以前、広告代理店のマーケティング・プランナーとして、各種プロモーションから商品開発、イベント企画などに携わってきた経験を持つわたしは、このブームに大きな興味を持ちました。そして、経済効果という視点からでは見えてこない、社会現象にまでなった大ヒットの本質を発見しました。『「鬼滅の刃」に学ぶ』は尾藤氏にも送らせていただきましたが、早速、読んで下さったそうです。次は、ぜひ新著についての記事を期待しております!

 

2021年1月23日 一条真也