正月withコロナ

一条真也です。
あけまして、おめでとうございます。
昨日の大晦日、東京の新たな感染者は1337人と初めて1000人の大台を超え、国内の感染者も初めて4000人を超えて4519人となり、過去最多を更新しました。こうなったら、諸悪の根源である東京五輪の中止を1日も早く決定し、緊急事態宣言も発出すべきだと考えるのは、わたしだけではありますまい。

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あけまして、おめでとうございます!

 

そんな中でも、おかげさまで、令和3年(2021年)を無事に迎えることができました。例年は家族とともに門司の皇産霊神社で初詣をするのですが、今年は新型コロナウイルスの感染防止のために歳旦祭が初めて中止となり、初詣も延期することにしました。今年は東京に住んでいる2人の娘も帰省せず、寂しい正月となります。

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わが家の玄関脇の正月飾り

 

わが家では、いつものように正月の飾りをしました。
鏡餅はもちろん、羽子板や干支にあたる丑(牛)の置物も飾りました。ずっと新型コロナウイルスに翻弄され続けてきましたが、正月を迎えると、「ああ、自分は日本人なのだ」と実感します。

 

決定版 おもてなし入門

決定版 おもてなし入門

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2015/01/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

拙著『決定版 おもてなし入門』(実業之日本社)にも書きましたが、正月には日本流「おもてなし」の原点があります。もともと正月というのは、年神を迎える年中行事です。古い信仰の形では、年神は祖霊神としての性格が強かったといわれています。ですから、お盆とは対の関係にあったといえます。そのあたりは、拙著『なぜ、一流の人はご先祖さまを大切にするのか?』(すばる舎)に詳しく書きました。

 

なぜ、一流の人はご先祖さまを大切にするのか?

なぜ、一流の人はご先祖さまを大切にするのか?

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2017/09/22
  • メディア: 単行本
 

 

かつての日本では盆と正月にはふるさとに帰省して、家族で過ごすということが当たり前に行われてきました。特にお盆休みが娯楽性を高める今では、正月だけが家族の絆を深める習慣と言えるでしょう。大晦日から新年を家族で迎え、年に一度、親戚が集まって会食をする。そして孫たちが祖父母からお年玉をもらうという光景が当たり前でした。今では孫たちのお年玉は振り込んでほしい、という親もいるというのですから、お年玉が単なるお金のやりとりになってしまったのは、本当に残念です。


わが家は、セコムと正月飾りのコラボで完全防衛!

 

ブログ『大人のお作法』で紹介した本で、著者である國學院大學客員教授岩下尚史氏は、「正月の本義」として、「『伝統芸能』だの『伝統文化』といった言葉がやたらと取り沙汰されるようになったのは、わたくしたちの暮らしの中で昔から伝承されてきたいろいろな型が、ついに消えてなくなってしまう前触れなのかもしれません。極端なことを言うようですが、正月だってそのうち実体がなくなるでしょうね。おそらく今の80代の人たちが絶える頃には、寺社は別としても、古風な信仰を保つ人たちを除いては、単なる1月になるだろうと、わたくしは見ています」と述べていますが、今年の正月は早くもこの予言が的中したような気がしてなりません。

f:id:shins2m:20201228132541j:plain松柏園ホテルの前で

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松柏園ホテルの正月飾りの前で

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松柏園ホテルのロビーで

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松柏園ホテルのロビーで

 

日本には各種の年中行事がありますが、その最たるものが正月です。年中行事は、なぜ大切か。岩下氏は「年中行事を大切にする心がけがあれば、生活に抑揚も出ます。春の宵に内裏を飾り、端午の菖蒲冑に邪気を払い、七夕の五色の糸に願いを掛け、菊の着せ綿の香も高く、名月に畑の幸を供えて福徳を祈るなど・・・・・・季節ごとの風流を手取り足取り教えれば、書物からは決して得ることのできない、しめやかな情愛が子供に沁み込むことでしょう」と述べます。

 

 

民俗学者折口信夫は、年中行事を「生活の古典」と呼び、『古事記』や『万葉集』や『源氏物語』などの「書物の古典」とともに、正月、雛祭り、七夕、盆などの「生活の古典」が日本人の心にとって必要であると喝破しました。この観点から、わたしは『決定版 年中行事入門』(PHP研究所)を世に送り出しましたが、日本人の「こころの未来」のため心を込めて書きました。コロナ禍はまだまだ続くかもしれませんが、日本人が「生活の古典」を大切にする心を失わないことを願うばかりです。

f:id:shins2m:20201228132901j:plain今年も、よろしくお願いいたします!

 

2021年1月1日 一条真也