同じ日は1日もない

一条真也です。
クリスマス明けの26日、東京都で新たに949人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。1日あたりの感染者数が900人を超えたのは初めてですが、もう東京は年内に1000人を超えてもおかしくありません。医療崩壊も現実的になってきました。そんな日、ある新作CMをYouTubeで観ました。



サントリーの缶コーヒー「BOSS」のCMで、「365 STEPS/フルバージョン」です。女優の伊藤沙莉が新米看護師を演じ、新型コロナウイルスに翻弄され続けた2020年を振り返る内容となっています。3分ちょっとの長さですが、非常に感動的です。

f:id:shins2m:20201226160708j:plainサントリー「BOSS」CMより

 

CM動画には以下のコピーが添えられています。
「忘れられない2020年の日々。様々な取材をさせていただきながら、この映像は生まれました。日々を重ねていくことで、いつかたどり着く場所がある。それは小さくてわかりにくいものだけど、毎日を重ねていく先に未来はある。そんなこと医療従事者のみなさんの姿に教えてもらいました。胸のなかに灯火がともりました。みなさんにこの温かいものがどうか伝わりますように。懸命に働くみなさんの姿にたくさんの勇気をいただきました。すべての1歩に、感謝を」
特に最後の場面に出てくる「同じ日は1日もない」という言葉のリフレインにとても感動しました。たしかに、医療の現場では同じ日は1日もないでしょう。



昨日、菅義偉首相が新型コロナウイルス感染防止についての会見を行いました。「静かな年末年始を」という菅首相のお願いの通りに、東京に住むわたしの2人の娘たちも年末年始は帰省しないことになりました。初めてのことです。会見の冒頭で、菅首相は「まずは最前線で戦っておられます医療従事者の皆様方、介護施設の皆様方、そして、すべての皆様方に敬意と感謝を申し上げます」と述べました。「すべての皆様方」というのはアバウトな表現ですが、わたしは、医療従事者と介護従事者とともに「葬儀従事者」を挙げていただきたかったと思います。実際、医療や介護と同じく、葬儀の現場で働いておられる方々はウイルス感染をはじめ、さまざまなリスクの中で自らの使命をまっとうしておられます。そのことを、ぜひ、世の中の皆様にも広く知っていただきたいと切に願います。


わたしは、医療や介護と同じく、葬祭業もエッセンシャルワークであると考えています。葬儀にはさまざまな役割があり、霊魂への対応(宗教儀礼)、悲嘆への対応(グリーフケア)といった精神的要素も強いですが、まずは何よりも遺体への対応という役割があります。遺体が放置されたままだと、社会が崩壊します。それは、これまでのパンデミックでも証明されてきたことでした。その反動で、感染が収まると葬儀というものが重要視されていきます。人々の後悔や悲しみ、罪悪感が高まっていったのだと推測されます。今回も、コロナ禍が収まれば、もう一度心ゆたかに儀式を行う時代が必ず来ます。いずれにせよ、何が何でも葬儀に関わる仕事は続けなければなりません。そして、医療や介護の現場と同じく、人生の卒業式である葬儀の現場においても「同じ日は1日もない」のです。


「同じ日は1日もない」は、葬祭業だけでなく、ブライダル業界も同じです。現在、感染拡大を受けて、せっかく10月くらいから増え始めてきた結婚式が再びキャンセルされ続けています。ホテルや結婚式場で働かれている方々はきっと大きな不安を抱えて年末を迎えられることでしょう。しかし、結婚式は絶対に必要なものです。結婚式があるからこそ、結婚する覚悟が生まれ、夫婦が生まれ、子どもが生まれ、国も民族も存続していくことができます。業界を挙げての「GoToウエディング」の実施のお願いは残念ながら叶いませんでしたが、この国から結婚式がなくならないよう、わたしたち冠婚葬祭業界は必死で戦っています。結婚式は、さまざまな「思い出」と「感謝」が詰まった場でもあります。ぜひ、盛岡の音楽教室「東山堂」のCMをご覧下さい。これほど、結婚式の素晴らしさを見事に表現したCMを、わたしは他に知りません。
最後に、わたしたちの人生においても「同じ日は1日もない」ということを忘れてはならないと思います。

 

2020年12月26日 一条真也拝