「鬼滅の刃」の本、書いてます!

一条真也です。
28日、サンレー本社で人事委員会が開催され、さまざまな重要事項を話し合いました。コロナ禍であっても、会社の未来のために全集中の呼吸で頑張ります!
全集中の呼吸といえば、いま、社会現象にまでなった「鬼滅の刃」の本を書いています。



ブログ『鬼滅の刃』ブログ「アニメ版『鬼滅の刃』」ブログ「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」には大量のアクセスがありました。たとえば、劇場版のブログは映画公開から1ヵ月以上も経ってからUPしたにもかかわらず、グーグル検索の全2000万件以上の中で3位に入りました(11月28日現在)。
ブログを読まれた出版社の方から連絡があり、今月の25日に東京・日比谷の帝国ホテルで面会しました。そして、『なぜ、コロナ禍で「鬼滅の刃」は大ヒットしたのか』という本を書くことになりました!

 

今月になって、「鬼滅の刃」に興味を抱きました。
あることがきっかけで、猪の被り物をした伊之助の姿をTVで観て、衝撃を受けたのです。すぐ、アニメ全26話を観たいと思いました。Netflixに加入すれば観れることを知り、その場で加入。その日のうちにほぼ全話を一気に観ました。翌日は、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」も観ました。そして、さらにその翌日、アマゾンから届いた原作コミックス既刊22巻を一気読みしました。つまり、アニメ、映画、コミックの順で2日半で制覇したことになります。

f:id:shins2m:20201116145023j:plain運命の出会い!

 

本当は、「鬼滅の刃」のように、あまりにも流行になったものはスルーしたいと思っていました。しかし、プレジデント・オンラインに桶谷功氏(インサイト代表)が寄稿した「『鬼滅の刃にはあるが、ワンピースにはない』敏腕マーケターが見抜く決定的違い」という記事を読んで考えが変わりました。桶谷氏は、「これだけヒットしているのなら、一度は見ておかねばなりません。家族とは都合が合わなかったので、オジサン1人で映画館に行ってきました。ちなみに、このようにブームを巻き起こしているものがあったら、たとえ自分の趣味ではなかろうが、軽薄なはやりもの好きと思われようが、必ず一度は見ておくべきです。社会現象にまでなるものには、どこか優れたものがあるし、『時代の気分』に応えている何かがある。それが何なのかを考えるための練習材料に最適なのです」と述べていますが、「その通りだな」と思えました。

f:id:shins2m:20201116144906j:plain冒頭から巨大なグリーフが発生!(アニメ版より)

 

それで、実際に体験してみて、「社会現象にまでなるものには、どこか優れたものがあるし、『時代の気分』に応えている何かがある」というのは大当たりでした。まず、この物語のテーマとは、わたしが研究・実践している「グリーフケア」ではないですか! 
鬼というのは人を殺す存在であり、悲嘆(グリーフ)の源です。そもそも冒頭から、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が家族を鬼に惨殺されるという巨大なグリーフから物語が始まります。また、大切な人を鬼によって亡き者にされる「愛する人を亡くした人」が次から次に登場します。それを鬼殺隊に入って鬼狩りをする人々は、復讐という(負の)グリーフケアを行います。しかし、鬼狩りなどできない人々がほとんどであり、彼らに対して炭治郎は「失っても、失っても、生きていくしかない」と言うのでした。強引のようではあっても、これこそグリーフケアの言葉でしょう。わたしは、大いに感銘を受けました。

f:id:shins2m:20201129162555j:plain鬼滅の刃』を読み解きます!
 

炭治郎は、心根の優しい青年です。鬼狩りになったのも、鬼にされた妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を鬼から聞き出すためであり、もともと「利他」の精神に溢れています。その優しさゆえに、炭治郎は鬼の犠牲者たちを埋葬し続けます。無教育ゆえに字も知らず、埋葬も知らない伊之助が「生き物の死骸なんか埋めて、なにが楽しいんだ?」と質問しますが、炭治郎は「供養」という行為の大切さを説くのでした。これは教育上にも良い漫画だと思いました。さらに、炭治郎は人間だけでなく、自らが倒した鬼に対しても「成仏してください」と祈ります。まるで、「敵も味方も、死ねば等しく供養すべき」という怨親平等の思想のようです。『鬼滅の刃』には、「日本一慈しい鬼退治」とのキャッチコピーがついており、さまざまなケアの姿も見られます。鬼も哀しい存在なのです。

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全集中の呼吸で書きます! 

 

版元は、なんと年内の刊行を希望しています。これまで、わたしが書いた原稿を活用できるにしろ、あまりにもスケジュールがタイトです。まあ今年は忘年会ラッシュから解放されるでしょうから、師走に執筆の時間も取れるでしょう。「オレはやれる! 絶対にやれる! 俺はやれる男だ!」「がんばれ! 人は心が原動力だから」という炭治郎の言葉を我がこととして、頑張ります。その後の編集者との打ち合わせで、もしかしたら、『「鬼滅の刃」に学ぶ』とか『「鬼滅の刃」のここに学べ!』などのタイトルになるかもしれませんが、とにかくサイは投げられました。
コロナ禍にもかかわらず社会現象にまでなった大ヒット作品を通じて、わたしは儀式やグリーフケアの本質と重要性を説き、さらには日本人の宗教観にも迫ってみたいと思います。どうぞ、お楽しみに!

 

2020年11月28日 一条真也