気業

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一条真也です。
わたしは、これまで多くの言葉を世に送り出してきました。この際もう一度おさらいして、その意味を定義したいと思います。今回は「気業」という言葉を取り上げることにします。


「気業」を提唱した『ハートビジネス宣言

 

「気業」という言葉は、1992年に上梓した『ハートビジネス宣言』(東急エージェンシー)で初めて提唱しました。企業とは「気業」です。経営者が元気な会社なら、会社も元気です。社長が陽気で強気なら、陽気で強気な会社になります。その逆に社長が陰気で弱気なら、会社もそうなるのです。特に人数の少ない小規模の企業になればなるほど、トップの気はストレートに反映します。

ハートフル・ソサエティ』(三五館)

 

まさに企業とは、経営者の気が社員に乗り移る一個の生命体なのです。わたしたち人間はハード(身体)とソフト(精神)の両方からできており、目に見える世界と見えない世界で生活しています。「色即是空」「空即是色」という言葉が示すように、見える世界と見えない世界は渾然一体なのです。「気」は見えない世界のエネルギーであり、ハートフル・ソサエティ、すなわち「心ゆたか社会」でのビジネスにおいて、重要なキーワードです。

f:id:shins2m:20200516165530j:plain心ゆたかな社会』(現代書林)

 

人間と同じく、人間が経営する会社も見える部分(色)と見えない部分(空)の二重構造になっています。色とは、資本金、土地、建物、設備、商品、貸借対照表損益計算書などです。労働力としての人間も色に入るでしょう。一方、空とは、会社のミッションやビジョン、経営者の思想や哲学、経営理念、社員のプロ意識、生きがい、働きがい、社風、企業文化などです。今後の企業は、色と空の両方をバランスよく充実させなければなりません。特に、人々が求心的になっていきます。

ハートフル・カンパニー』(三五館)

 

ハートフル・ソサエティにおいては、企業の空の部分が重要視されるでしょう。心ゆたかな会社、ハートフル・カンパニーの原点は、企業の経営理念、社長の哲学、そして社員の生きがいを確立することです。そして、そこには常に、元気、陽気、強気、勇気といったプラスの気が流れていなければならないのです。ホテル業や冠婚葬祭業など、お客様に元気や勇気を与えるホスピタリティ・サービス業においては、すべての会社が「気業」を目指すべきでしょう。サンレーでは、かつて「気業宣言」を行いました。

f:id:shins2m:20201110212539j:plainサンレーの「気業宣言」

 

2020年11月17日 一条真也