死を乗り越える最澄の言葉

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心形久しく労して一生此に窮まれり(最澄

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、最澄(766/767年~822年)の言葉です。最澄は「伝教大師」として知られます。大陸に渡って仏教を学び、帰国後、比叡山延暦寺を建立し、天台宗の開祖となりました。

 

日本人のこころの言葉 最澄

日本人のこころの言葉 最澄

 

 

最澄は、真言宗の開祖である空海を語る際に必ず比較される同時代の偉大な宗教家です。比叡山延暦寺を本山とし、天台宗を広めていきました。最澄の生涯や教えについて書く余裕がありませんが、法然親鸞栄西道元日蓮といった日本仏教史の巨人たちもはじめは天台の僧侶であったことを考えれば、天台宗こそは「日本仏教のゆりかご」であり、最澄が「偉大なる教育者」であったことがよくわかります。一方の空海は「宗教における超天才」であったと思います。

 

最澄と空海(小学館文庫)

最澄と空海(小学館文庫)

  • 作者:梅原 猛
  • 発売日: 2005/05/11
  • メディア: 文庫
 

 

「我が為に仏を作ること勿れ、我が為に経を写すこと勿れ、我が志を述べよ」
最澄大乗仏教の理想追求に生涯を捧げ、その力も尽きようとする死に臨んで、この言葉「心形久しく労して一生此に窮まれり」を遺しました。弟子達に遺した遺誡の一つにあげられています。822年、57歳の生涯を閉じました。

 

最澄と天台教団 (講談社学術文庫)

最澄と天台教団 (講談社学術文庫)

 

 

自ら歩んだ理想追求の道が、これからも弟子たちの手によって受け継がれてゆくことを願った言葉だと思います。わたしは思想を残すことでこそ、その思いは永遠になると思いますし、それゆえに教育者としての最澄の生き方に強い共感を覚えます。年齢を重ねた者はみな「教育者たれ」。それが未来への希望ではないでしょうか。最澄の辞世の言葉は、そんなことを教えてくれています。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2020/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

2020年9月19日 一条真也拝