アップデート・ウィズ・コロナ

一条真也です。
17日の夜、東京から北九州に戻ってきました。
18日、早朝から松柏園ホテルの神殿で恒例の月次祭が行われました。コロナ後のニューノーマル仕様で、コロナ以前よりも人数を減らしてソーシャルディスタンスに配慮し、マスクを着用した上での神事です。

f:id:shins2m:20200918080558j:plain月次祭のようす

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拝礼する佐久間会長

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わたしも拝礼しました

f:id:shins2m:20200918081952j:plain神殿での一同礼!

 

月次祭では、皇産霊神社の瀬津神職が神事を執り行って下さり、祭主であるサンレーグループ佐久間進会長に続き、わたしが社長として玉串奉奠を行いました。わたしは、会社の発展と社員の健康・幸福、それから新型コロナウイルスの疫病退散を祈念しました。

f:id:shins2m:20200918083152j:plain天道塾のようす

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最初は、もちろん一同礼!

f:id:shins2m:20200918083521j:plain訓話する佐久間会長

 

神事の後は、恒例の「天道塾」を開催しました。通常と人数は同じですが、会場の広さは3倍です。最初に佐久間会長が訓話を行いました。会長は会場を埋め尽くしたマスク姿の人々を前に、新しく首相になられた菅義偉氏が苦労人であることに触れ、「人間、苦労をしないといけない。苦労をしないと人間が弱くなります。苦労は人間の基本です」と述べました。

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政治家との思い出を語る佐久間会長

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熱心に聴く人びと

 

また、佐久間会長は互助会政治連盟の初代会長でもありますが、互助会法制化の際に大変お世話になった中曽根康弘元首相、村上正邦元労働相の思い出を語りました。会長は「村上正邦先生も苦労をされた方でしたが、政治家としてはキレ者でした。タイミングが合えば、首相にもなれた方だと思います」などと述べました。一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の初代会長および全日本冠婚葬祭互助会政治連盟の初代会長を務めた佐久間会長はまさに業界の生き字引であることを再認識しました。ちなみに、わたしは現在、両団体の副会長を務めています。さらには、一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の副理事長も務めています。

f:id:shins2m:20200918091137j:plain小倉織マスク姿で登壇しました

 

続いて、わたしが登壇しました。わたしは小倉織のマスクをしたまま、まずはブログ「武田七郎氏お別れの会」で紹介した、昨日参加したセレモニーについて話しました。ホログラフィーによって故人の生前の姿を再現し、ジェントル・ゴースト(優霊)づくりが実現されていた衝撃を語りました。ブログ「柴山文夫氏お別れ会」で紹介したセレモニーにしろ、最近の「お別れ会」は演出が進化しています。わが社も負けずに、最新の演出技術を心がけたいものです。

f:id:shins2m:20200918091238j:plainマスクを外して講話をしました

 

それからマスクを外して、菅首相が誕生したことに触れ、佐久間会長が初代会長を務めた互助会政治連盟から5人の大臣が出たことを紹介しました。菅首相も互助会政治連盟の顧問であり、互助会業界も政治力が以前より格段に強くなってきました。ぜひ、菅首相にお願いしたいことがあります。菅首相は一連のGoToキャンペーンを主導してこられた方です。ブログ「GoToウエディングの実施を!」にも書きましたが、ぜひ、菅新総理には、日本人が結婚式を挙げる政策を立てていただきたいと思います。結婚式の費用とか交通費などを助成する、いわば「GoToウエディング」です。「GoToウエディング」は「GoToトラベル」のように業界救済、つまり経済のためではなく、社会のために行うものです。日本は、いま最大の国難に直面しています。それは新型コロナウイルスの問題でも、中国の領土侵犯の問題でも、北朝鮮のミサイル問題でもありません。より深刻なのが人口減少問題です。

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日本の人口問題について語りました 

 

国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が発表した「日本の将来推計人口」(2017年)によれば、15年には約1億2700万人だった日本の総人口が、40年後には9000万人を下回り、100年も経たないうちに5000万人ほどに減少することが予測されます。ブログ『未来の年表』で紹介したベストセラーの著者である大正大学客員教授の河合雅司氏は、「こんなに急激に人口が減るのは世界史において類例がない。われわれは、長い歴史にあって極めて特異な時代を生きているのである」と述べています。人口減少を食い止める最大の方法は、言うまでもなく、たくさん子どもを産むことです。そのためには、結婚するカップルがたくさん誕生しなければならないのですが、現代日本には「非婚化・晩婚化」という、「少子化」より手前の問題が潜んでいます。

f:id:shins2m:20200918091710j:plain結婚式は結婚よりも先にあった!

 

わたしは、『儀式論』(弘文堂)において、人間は儀式という「かたち」によって不安定な「こころ」を安定させ、幸せになれるのではないかと述べました。儀式とは人間が幸福になるためのテクノロジーであると言えるでしょう。また同書の中で、わたしは「結婚式は結婚よりも先にあった」という自説を展開しています。一般に、多くの人は、結婚をするカップルが先にあって、それから結婚式をするのだと思っているのではないでしょうか。でも、そうではないのです。

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熱心に聴く人びと

 

日本人の神話である『古事記』では、イザナギイザナミはまず儀式をしてから夫婦になっています。つまり、結婚よりも結婚式のほうが優先しているのです。他の民族の神話を見ても、そうでした。すべて、結婚式があって、その後に最初の夫婦が誕生しています。結婚式の存在が結婚という社会制度を誕生させ、結果として夫婦を生んできたのです。結婚式があるから、多くの人は婚約し、結婚するのです。結婚するから、子どもが生まれ、結果として少子化対策となります。

f:id:shins2m:20200918091257j:plain「GoToウエディング」の実施を!
 

結婚がなくなれば、子どもの出生が少なくなり、子どもが成長して大人となり、老いていって次の世代へ繋がることもなくなります。すなわち、結婚は生命のサイクルの起点なのです。観光や外食と違って、結婚式は社会の維持のために絶対に必要です。冠婚業はけっして単なるサービス産業ではありません。日本という国を継続させていくエンジンのような存在です! 菅首相は、自民党総裁に選ばれた直後の挨拶で「私の目指す社会像は、自助・共助・公助、そして絆であります」と述べられました。自助・共助・公助、そして絆の社会とは、まさに相互扶助の互助社会ではありませんか! ぜひ、互助の精神で「GoToウエディング」の実施を切に願うものであります。

f:id:shins2m:20200918092040j:plain葬祭業はエッセンシャル・ワークである! 

 

結婚式も大事ですが、葬儀も重要です。最近、国会議員の先生方とお会いする中で、「葬祭業はエッセンシャル・ワークですね」と言われます。エッセンシャル・ワークとは医療・介護・電力・ガス・水道・食料などの日常生活を送る上で不可欠な仕事ですが、同じように大切な仕事と思われてきた教育はエッセンシャル・ワークではありません。日本中の大学は未だに閉鎖されています。神社や寺院や教会といった宗教もエッセンシャル・ワークではありません。感染が拡大すれば、それらの場所には入れなくなります。

f:id:shins2m:20200918092018j:plain紫雲閣は不滅である!

 

ただし、葬儀はエッセンシャル・ワークです。葬儀にはさまざまな役割があり、霊魂への対応、悲嘆への対応といった精神的要素も強いですが、まずは何よりも遺体への対応という役割があります。遺体が放置されたままだと、社会が崩壊します。それは、これまでのパンデミックでも証明されてきたことでした。何が何でも葬儀に関わる仕事は続けなければならないのです。葬儀が必要不可欠のエッセンシャル・ワークなら、わが紫雲閣は不滅です。また、このたびの台風10号では、100人以上の避難者を受け入れました。

f:id:shins2m:20200918093431j:plain紫雲閣スタッフは「地上の星」!

 

非常に強力な台風10号の襲来はマスコミでも過熱報道していましたので、自分の家も心配だったでしょうに、地域のみなさんの命を全力で守った紫雲閣のスタッフには感謝の気持ちでいっぱいです。わたしは、心から誇りに思います。あるお客様からは、「紫雲閣の人は『地上の星』やね」との有難い言葉を頂戴しました。それにしても「魂を送る場所」であった紫雲閣が「命を守る場所」となったことは画期的ではないでしょうか。「セレモニーホール」が「コミュニティホール」へと進化できたように思います。

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冠婚葬祭業は単なるサービス業ではない! 

 

冠婚業も葬祭業も、単なるサービス業ではありません。それは社会を安定させ、人類を存続させる重要な文化装置です。冠婚葬祭が変わることはあっても、冠婚葬祭がなくなることはありません。サンレーグループの互助会は、コロナの時代にさらなるアップデートを目指したいと思います。コロナからココロへ。一緒に『心ゆたかな社会』を創造しましょう!」と述べてから、わたしは降壇しました。

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佐久間会長が総括

f:id:shins2m:20200918094841j:plain最後は、もちろん一同礼!

 

わたしが降壇すると、佐久間会長が再び登壇し、総括を行いました。会長は「社長の話はこれまでで最も良かったと思います。たしかに少子化への最大の対抗策は、結婚式を増やすことです」と述べ、「亡くなられた武田七郎さんもさまざまな御苦労をされた上で大きな成果を収められた人格者でした。わたしが全互協の初代会長で通産省とのやり取りで苦心惨憺しているとき、あの方の一言に救われました」と、故人の思い出を語り、最後に「みなさん、人間には苦労が大切ですよ。そして、我慢が大切です。苦労が力になり、我慢が力になる!」と力強く訴えました。わたし自身、会社が最も厳しい時期に社長に就任し、少しは苦労や我慢をしたように思います。あの経験がなかったら、頭でっかちの評論家で終わっていたかもしれません。これからも「人間尊重」というわが社のミッションを大切に、謙虚さを忘れずに精進したいと思います。

 

2020年9月18日 一条真也