生れ生れ生れて生の始めに暗く
死に死に死んで死の終りに冥し(空海)
一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、空海(774年~835年)の言葉です。空海は平安時代初期の僧で、「弘法大師」として知られる真言宗の開祖です。日本天台宗の開祖である最澄と共に知られ、嵯峨天皇・橘逸勢と共に三筆のひとりに数えられています。
「生れ生れ生れて生の始めに暗く 死に死に死んで死の終りに冥し」は、空海の『秘蔵宝錀』に出てくることばです。人間は誰しも暗闇の中から生まれてきて、死ぬときはまた暗闇に帰っていく。なぜ、人は生まれて、死ぬのか? それは誰にもわからないという意味です。わが家の宗派は真言宗であり、空海はいつか真正面から取り組んでみたい聖人でした。つねづね、わたしは「空海ほど凄い人はいない」と思っていました。それで、『超訳 空海の言葉』(KKベストセラーズ)という監訳書を上梓しました。
また、かつて、わたしは『図解でわかる!ブッダの考え方』(中経の文庫)という本を書きましたが、ブッダが開いた仏教と、わたしたち日本人が信仰している仏教は根本的に異なる宗教であると考えています。インドで生まれ、中国から朝鮮半島を経て日本に伝わってきた仏教は、聖徳太子を開祖とする「日本仏教」という一つの宗教と見るべきです。
日本一の弘法大師像の下で世界平和を祈念する
「太子信仰」という言葉に象徴されるように、聖徳太子を巡る伝説は多いことで知られます。まさに日本の歴史に燦然と輝く存在ですが、その聖徳太子に勝るとも劣らない超大物がもう一人います。「お大師さま」あるいは「お大師さん」として親しまれ、多くの人々の信仰の対象ともなっている弘法大師・空海です。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。
2020年9月6日 一条真也拝