死を乗り越える孔子の言葉

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いまだ生を知らず、
いずくんぞ死を知らん。
孔子

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、孔子(紀元前551年~紀元前479年)の言葉です。孔子は、春秋時代の中国の思想家で、儒家の始祖です。「礼」による社会秩序の再建を目指しましたが、政治的には失敗。教育者として生涯を終えました。漢代以後は各王朝から聖人として祀られ、儒教は中国思想の根幹となりました。

 

論語 (岩波文庫)

論語 (岩波文庫)

 

 

孔子の言葉は『論語』の先進編に登場します。「まだ生について十分理解していないのに、どうして死を理解できるだろうか」という意味です。孔子はまた、「五十にして天命を知る」という言葉も残しています。人生100年時代を迎えた今だからこそ、この孔子の言葉に重みを感じています。50歳という年齢から新しいこと(天命)をはじめても、健康であればあと50年が残ります。孔子の言葉がリアルなミッションとして伝わってくるのはわたしだけでしょうか。

 

いま、亡くなった親の葬儀を行わないといった風潮があります。「礼」と「孝」を重んじた聖人・孔子の言葉をもう一度かみしめてみてはいかがでしょうか。50歳を超え、やがて親を見送るとき、初めて人は「死」が持つ本当の意味を知るのかもしれません。母親が葬儀を営む巫女であった孔子は、何よりも葬礼を「礼」の中心に置きました。

 

彼は、礼制に詳しい単なる知識人や学者ではなく、「礼」に関わる事実の持つ意味を徹底的に考えました。たとえば古代中国の礼制に「三年の喪」というものがあります。父親が亡くなったとき、子が喪に服する期間のことです。弟子の宰我という秀才が、三年では長すぎると意見を述べました。すると孔子は、「いや必要だ。自分は赤子、幼児として父母にたいへんお世話になったから、そのお返しをするのだ」と答えています。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。また、孔子の生涯および思想に関しては、『世界をつくった八大聖人』(PHP新書)に詳しく紹介されています。

 

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2020/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

2020年7月24日 一条真也