『アントニオ猪木 闘魂語録大全』

アントニオ猪木 闘魂語録大全

 

一条真也です。
19日、都道府県をまたいだ移動自粛もクリアになり、ようやくプロ野球も今シーズンの開幕を迎えました。日本に元気が戻りつつあるような気がしますが、こんなときは「元気ですかっー!?」が口癖のあの人のことを思い出します。
そこで、『アントニオ猪木 闘魂語録大全』アントニオ猪木著(宝島社)を読みました。これまで宝島社の昭和プロレス本は「これでもか!」というくらいに紹介してきましたが、「さすがにネタも尽きただろう」と思っていたら、まさかの猪木の名言本が出ました。これは読まねば! 

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本書の帯

 

本書の帯には、リング上で対戦相手にナックルパートを見舞う鬼の形相をした猪木の写真が使われ、「人生にもビジネスにも効く! 言葉の『闘魂ビンタ』108発」「馬鹿になれ」「恥をかけ」「一歩踏み出せ」「難局にこそ『非常識』が必要だ!」「常識を超えた発想と行動力を生む全思考」と書かれています。

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本書の帯の裏

 

また帯の裏には、「人に気をつかって平均点とってるやつに光るだけのエネルギーなんかありっこない」「リング側に、カリスマ的な絶対性があってこそ、ファンの方がついて来るんです」「やっぱり人間、怒りがないとダメだな」「そもそも俺は詐欺師が大好きなんだ」「今日の絶対は明日の絶対ではない」「感じただけでもアクションを起こさなければ無意味」と書かれ、カバー前そでには「日本には、イノキが足りない――。未曽有の難局にこそ、‟過激な非常識”が必要だ」と書かれています。

 

元気があれば何でもできる アントニオ猪木流「燃える」成功法則58

元気があれば何でもできる アントニオ猪木流「燃える」成功法則58

  • 作者:松本 幸夫
  • 発売日: 2013/04/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

猪木の語録は、これまでも何冊か刊行されていますし、本書と似たコンセプトの本として、ブログ『アントニオ猪木流「燃える」成功法則58』で紹介した本があります。同書は、2013年7月21日に行われた参議院選挙において、日本維新の会から出馬し、同会内最多得票となる35万6606票を獲得して当選、18年ぶりの国政復帰を果たした猪木の生き方から「苦しいとき、どん底の時にこそ、過激に生きなければならない」というメッセージを根底にした成功への指南書でしたが、本書は2019年6月26日に政界を引退し、2020年2月に喜寿を迎えた猪木自身の言葉を集めた本です。過去約40年にわたる新聞・雑誌などでのインタビューや連載から厳選した闘魂語録108個を収録。

 

本書の「目次」は、以下の通りです。

「はじめに」

第一章 仕事
        真のプロフェッショナルに必要なこと

第二章 発想
        大衆の心を摑む「非常識」という哲学

第三章 行動

        一歩を踏み出さなければ何も始まらない

第四章 人間
        修羅場を乗り越え辿りついた猪木流人間学

第五章 自信
        自分の殻をブチ破るための勇気が出る言葉

第六章 組織
        闘う組織のリーダーに求められる条件

〈完全年表 アントニオ猪木 過激なる77年の軌跡〉
〈出典一覧〉

 

全部で108ある言葉の中から、わたしの心に特に響いた12の名言をここに紹介させていただきたいと思います。なお、●に続く言葉は名言に添えられたタイトルです。

 

力道山のDNAを受け継ぐプライド

 

「闘魂」とは何か。俺は自分自身に
打ち勝つことだと解釈している。

 

 

 ●「世間」を巻き込む環状線理論

 

プロレスは、ある意味、劣等意識がある。新聞も扱わない。じゃあ、どうやったら扱うんだ、書くんだ。そういう戦いがいろんな場面である。

 

 

●時代の空気を感じる

 

先導動物っていうのがいるんです。
アフリカの草原にね。
群れをなしている中でも、
必ず一頭だけが耳をそばだてて
風をうかがっている。
人間の社会もそうだと思う。

 

 

●運気のつかみ方

 

運のいいヤツ、
つまりラスベガスで
ギャンブルに勝つようなヤツというのは、勝ったら、あっさりその場を去っていく。その見切りが優れているのだ。

 

 

●日本人の悪しき国民性

 

今怒らないヤツは
後になって
文句言う資格はない。

 


 

●毒を食らわば皿まで

 

たとえ嫌いな相手でも
一度その人間を
飲み込んでしまう度量が
必要だと思う。

 

 

●時間を我慢できるか

 

本当に自分の目で見て体験している
世界さえ持っていれば、人が何を言おうとそれは変えられない。
それさえあれば待つこともできるし、
壁を打ちやぶることができる。

 

 

●本当の強さ

 

負けなければ人間は強くなれない。

 

 

●猪木哲学の根本原理

 

バカになれ。
恥をかけば本当の自分が見える。

 

 

●人と争うことを恐れるな

 

ケンカとは全人格の放電である。

 



●未来を閉ざさないために

 

別れ際というのは綺麗であるべきだ。

 



●猪木流の死生観

 

死というのは
素晴らしい世界だと思うね。
みんなは
悲しく
しすぎるんじゃないかな。

 



この最後の「死というのは素晴らしい世界だと思うね。みんなは悲しくしすぎるんじゃないかな」という言葉には、非常に感動しました。解説ページで、猪木氏は「私は宗教家じゃないから、なんともいえないけど、死というのは素晴らしい世界だと思うね。みんなは悲しくしすぎるんじゃないかな。もうひとつの新しい世界というか、来世に向かって旅立っていくときは、もっと祝福すべきなんじゃないかって・・・・・・」と述べています。まさに、「ロマンティック・デス」の世界ではないですか! もっと、早くこの名言を知っていれば、『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)で取り上げたかったです!

 

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

死を乗り越える名言ガイド 言葉は人生を変えうる力をもっている

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2020/05/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

正直言って、わたしはもう昭和&平成プロレスの検証本は食傷気味でした。しかし、猪木とあれば話は別です。天龍源一郎長州力前田日明武藤敬司らを超えるプロレス界最大のカリスマといえば、“燃える闘魂アントニオ猪木しかいません。本書には、常識を超えた発想と行動力でカリスマとなった天才レスラーの思考が網羅されています。コロナ禍という前代未聞の難局を乗り切るためにも、わたしたちには「猪木の思考」が必要であると思った次第です。

 

アントニオ猪木 闘魂語録大全

アントニオ猪木 闘魂語録大全

 

 

2020年6月20日 一条真也