UFOとパンデミック

一条真也です。
UFOが大きな話題になっていますね。
国防総省は、海軍が撮影した「謎の空中現象」として、未確認飛行物体(UFO)のような円盤状の物体が雲の上を高速で飛んでいるような様子が記録されている3種類の映像を公開しました。このところ支持率が急速に低下しているトランプ政権が米国民の「注意そらし」をしたのではないかという見方が一般的ですが、わたしは、新型コロナウイルスによるパンデミック(感染の世界的大流行)は「宇宙人の襲来」に似ていると思っていましたので、非常に驚きました。両者が似ている理由は、この記事の中で書いていきます。

f:id:shins2m:20200428221805j:plainヤフー・ニュースより 

 

28日にCNNが配信した「米国防総省、UFO映像3本を正式公開」という記事には、以下のように書かれています。
「米国防総省はこのほど、海軍が赤外線カメラでとらえた『未確認航空現象』の映像3本を正式公開した。この映像は、過去に民間企業から公表されていた。映像には、高速で動き回る未確認飛行物体(UFO)と思われる物体が映っている。このうち2本では、その動きの早さに乗員が驚きの声を上げていた。1本には、ドローン(無人機)かもしれないと推測する音声が入っている。米海軍は昨年9月の時点で、この映像が本物であることを確認していた。今回、正式公開に踏み切った理由について国防総省の報道官は、『出回っている映像が本物なのかどうか、映像にはまだ何かあるのかどうかに関する一般の誤解を解くため』と説明する」



さらに、記事には以下のように書かれています。
「徹底検証を行った結果、この映像を公開しても、機密性の高い機能やシステムが漏えいすることはなく、未確認航空現象による軍事空域侵犯に関するその後の調査に影響が出ることもないと判断した」としている。海軍はその後、パイロットがUFOと思われる物体を目撃した場合の報告手順を定めた公式ガイドラインを制定した。今回の映像は、元ミュージシャンのトム・デロング氏が共同創設した民間企業が2017年12月~18年3月にかけて公表していた」

f:id:shins2m:20200428222336j:plainヤフー・ニュースより 

 

国防総省が公開したUFO画像について、日本の河野防衛大臣がコメントを出しました。28日に「産経新聞」が配信した「UFOとの遭遇に備え『手順定めたい』 河野防衛相」という記事には、以下のように書かれています。
河野太郎防衛相は28日午前の記者会見で、米国防総省が未確認飛行物体(UFO)のような円盤状の飛行物体を記録した映像を公開したことに関連し、自衛隊がUFOに遭遇した際に備えて『(対応の)手順をしっかり定めたい』と述べた。河野氏は『正直に言うと、私はUFOを信じてはいない』と前置きし、映像公開について『米国から真意や分析を聞きたい』と語った。また、自衛隊機のパイロットがUFOに遭遇したことは『ないと聞いている』と述べる一方、万が一遭遇した際の映像の撮影や報告の段取りについて航空自衛隊をはじめとする各自衛隊に検討を求めた。米国防総省が公開したのは海軍が撮影した『謎の空中現象』とする3種類の映像で、同省は『映像に残された現象の正体は分からないままだ』としている」



米海軍が撮影した3種の映像はすでに広く知られたものですが、どうして今頃、米国防総省が正式公開し、「正体は分からないままだ」などと発表したのか。しかも、国内での感染者がついに100万人を超えて、アメリカが大変な時期に!
いろいろと推測できますが、いくつかの見方を示したいと思います。まずは、感染拡大で外出自粛している国民に「謎」や「ミステリー」や「ロマン」といった娯楽を提供したのではないかということです。なんでも、人はワクワクすればするほど、免疫力が上がるそうですから。
しかし、「神話なき国」であるアメリカにとって、UFOやエイリアンといった存在はまさに「現代の神話」であり、TVドラマの影響もあってエイリアンによるアブダクション(誘拐)を心から恐れる米国民は多いです。というわけで、娯楽というよりも恐怖を提供したとの見方もありますが。



 別の見方もあります。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、WHOは「パンデミック」を宣言しました。これを陽にとらえて前向きに考えた場合、世界中のすべての人々が国家や民族や宗教を超えて、「自分たちは地球に棲む人類の一員なのだ」と自覚したということが言えるでしょう。そして、今回のUFO映像の公開は、その自覚を強化させる目的があるのではないかということです。

 


宇宙船地球号」とは、アメリカの思想家・デザイナーであるバックミンスター・フラーが提唱した概念・世界観です。地球上の資源の有限性や、資源の適切な使用について語るため、地球を閉じた宇宙船にたとえて使われています。安全保障についても使われることがあり、「各国の民は国という束縛があってもみんな同じ宇宙船地球号の乗組員だから、乗組員(国家間)の争いは望まれない」というように使われます。わたしたちが「宇宙船地球号」の乗組員であることを自覚する、その最大の契機を今回のパンデミックは与えてくれるのではないでしょうか?

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近刊『心ゆたかな社会』(現代書林)

 

もうすぐ、100冊目の「一条本」となる『心ゆたかな社会』(現代書林)が刊行されます。2005年に上梓した『ハートフル・ソサエティ』(三五館)のアップデート版で、当初は『ハートフル・ソサエティ2020』という題名を考えていました。そこでも「グローバル」という言葉について深く考察しました。今回のパンデミックですが、わたしは新しい世界が生まれる陣痛のような気がします。なぜなら、この問題は国際的協力なくしては対処できないからです。アメリカと中国とか、日本人と韓国人とか、キリスト教イスラム教とか、そんなことを言っている余裕はありません。人類が存続するためには、全地球レベルでの協力が必要とされます。もはや、人類は国家や民族や宗教の違いなどで対立している場合ではないのです。

 

宇宙戦争 (偕成社文庫)

宇宙戦争 (偕成社文庫)

 

 

その意味で、「パンデミック」は「宇宙人の襲来」と同じようなものです。新型コロナウイルスも、地球侵略を企むエイリアンも、ともに人類を「ワンチーム」にしてくれる外敵なのですから。よく考えてみると、こんなに人類が一体感を得たことが過去にあったでしょうか。戦争なら戦勝国と敗戦国があり、自然災害なら被災国と支援国がある。しかし今回は、すべての国が当事者であり、全人類が「一蓮托生」なのです。「人類はみな兄弟」という倫理スローガンが史上初めて具現化したという見方もできます。
今回のパンデミックを大きな学びとして、人類が大気汚染、森林伐採、温暖化をはじめとした地球環境問題、そして長年の悲願である戦争根絶を視野に入れた平和問題と真剣に向き合うことができることを望むばかりです。



新型コロナウイルスの感染拡大が世界平和への契機になるという事実に気づいたアメリカが、「パンデミック宣言」に加えて、米国民をはじめとした人類に「宇宙人の襲来」を連想させるようなUFO映像を正式公開したと考えるのは、いくら何でもロマンティック過ぎるでしょうか? 
世界の現状を見ると、パンデミックという呉越同舟の関係にありながら、アメリカと中国が「平和」とは程遠い小競り合いをしています。今回のUF0映像公開を穿った目で見るなら、UFOのようなオカルトを引き合いに出して、新型コロナウイルスが中国の武漢にある研究所が開発した生物兵器であるという陰謀論を米国民に信じさせようとする意図さえ読み取ることも可能です。さらには、UFOが中国の軍事兵器であるというメッセージにも読み取れます。なにしろ、あのトランプ大統領がわざわざ、この大変な時期に映像を公開したのですから、キナ臭いこと、この上ありません。

f:id:shins2m:20200312220411j:plainワンチームで行こう!

 

しかし、わたしはやはり何事も陽にとらえたい(前向きに考えるという意味で、陽性反応にとらえるという意味ではありません。念のため)です。そして、アメリカと中国が協力して新型コロナウイルスを克服することを願っています。
人類はこれまでペストや天然痘コレラなどの疫病を克服してきましたが、それは、その時々の共同体内で人々が互いに助け合い、力を合わせてきたからです。韓国と北朝鮮も新型コロナ対策について電話会議を行いましたが、この動きをぜひ世界的に広めたいものです。



あわせて、新型コロナはITの普及によって全世界にもたらされている悪い意味での「万能感」を挫き、人類が自然に対しての畏れや謙虚さを取り戻すことを求めます。ウイルスの感染拡大は人智を超えた世界です。そして、UFOも人智を超えた世界です。人智を超えた世界に対して、人類は謙虚にならなればなりません。最後に、わたしは、この広大な宇宙に意識を持った存在が地球にしか存在しないというのは、あまりにも非現実的であり、おそらく宇宙には隣人がいるのではないかと考えています。

 

2020年4月28日 一条真也