一条真也です。
4月4日は、中国の清明節です。日本の彼岸のように先祖のお墓参りをする日ですが、今日は、例年にも増して、中国にとっては特別な1日になりました。習近平国家主席をはじめとする指導者や全国の国民が新型コロナウイルスに感染して亡くなった犠牲者たちに黙祷を捧げたのです。
武漢市で黙祷を捧げる防護服姿の人々(AFP時事)
時事通信社の「JIJI.COM」が4日に配信した「習氏、コロナ死者に黙とう 全国で追悼活動 中国」という記事には、「国営中央テレビが伝えた。中国本土の死者は湖北省武漢市を中心に3300人以上。習指導部は1月下旬から実施した本格的な対策が効果を上げていると誇る一方で、『局地的な感染リスクは依然存在する』(李克強首相)と認め、警戒している。追悼活動として午前10時(日本時間同11時)から3分間、防空警報のサイレンのほか車や列車などの警笛が鳴り響く中、黙とうが行われた。中国各地や在外公館では半旗を掲げて哀悼の意を示し、公共の場での娯楽活動が中止された」と書かれています。
中国の武漢から世界中に拡大したとされる新型コロナウイルスですが、この日ばかりは、多くの中国の人々が亡くした家族、友人、同僚などを偲んで追悼しました。生き残った人々も大変な苦労をしたわけで、いまだに精神的な傷が大きいと思われますが、今日の追悼式は1つの節目になったようです。CCTV(中央テレビ局)でも、朝から追悼特別番組がずっと放送され、多くの国民がそれを見て涙を流したり、亡くなった方々に黙とうを捧げたとのことです。中国は共産主義国家、すなわち唯物論の国ですが、拙著『唯葬論』(サンガ文庫)でも訴えましたが、死者を想うことは人類普遍の営みです。そのことを改めて認識しました。
1日も早い収束を願うばかりです。
2020年4月4日 一条真也拝