東京で考えたこと

一条真也です。
26日の朝、スターフライヤーで東京に来ました。84年前のこの日、東京では「二・二六事件」が起こりました。1936年(昭和11年)2月26日から2月29日にかけて、皇道派の影響を受けた陸軍青年将校らが1483名の下士官兵を率いて起こした、いわゆるクーデター未遂事件です。

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東京へ向かうスターフライヤーの機内で 

 

あれから84年の時が過ぎ、東京は不気味な静寂に包まれています。新型コロナウィルスの感染が拡大する中、日本で最も危険な都市です。本当はあまり東京出張したくなかったのですが、この日は監査役を務めている互助会保証株式会社の監査役会および取締役会に参加するために、やむをえず東京にやって来ました。マスクを装着したスターフライヤーの乗客たちも、なんだかピリピリしていました。

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羽田空港にて 

 

昨日は、知人から、新型コロナウィルスは耐熱性に乏しいので「お湯を飲んで予防」とのチェーン・メールがLINEで来ました。「なんだか怪しいな」と思いましたが、案の定しばらくしてから、「先ほどの情報はデマでした。すみません」と追信が届きました。スポーツや芸能の興行はどんどん中止や延期になっています。プロ野球のオープン戦・サッカーのJリーグ・バスケットボールのBリーグ・バレーボールのVリーグラグビートップリーグ・大相撲の奉納土俵入りも、ジャニーズ・EXILE・Perfume・米津玄師の公演も、みんなすべてです。今日、安部首相は「3月中旬まで、大規模イベントの中止・延期」を要請しました。ますます自粛ムードが加速することでしょう。


わたしが関わっていた上智大学の死生学公開講座も動画配信のみに変更されました。全互協のグリーフケアPT会議も延期になり、全互連の移動理事会は中止になりました。わが社の冠婚責任者会議は延期、衣装仕入れ会は中止になりました。アメリカのCDC疾病対策センター)は、感染が広がる新型コロナウイルスについて「世界的なパンデミックに近付いている」という懸念を示しました。日本中、いや世界中が不安に覆われています。なにより不安かつ腹立たしいのは、日本国内でマスクが買えないことです。昨日は、横浜でマスクをめぐって流血の暴行事件も起きました。政府によれば、すぐにマスクは行き渡るとのことでしたが、ドラッグストアでもどこでも在庫がありません。



なんでも、日本で売られているマスクの大部分は中国の工場で作っているとかで、それで供給が追い付かないそうです。しかし、マスクのような衛生用品の製造を中国に依存しているというのは間違っていませんか。国もコメなどの国内生産を守っているように、マスクのように国民の健康生活に欠かせない物資は国内での生産体制を整えるべきでは?
「産業の空洞化」という言葉は死語かもしれませんが、日本企業が人件費の安い中国に生産拠点を移してずいぶん時間が経ちます。トヨタユニクロも中国に工場を建設し、莫大な利益を上げています。日本が軍事的にアメリカの属国と見る人は多いですが、経済的には中国の属国と見られても仕方がありません。「資本主義だから当たり前」なのかもしれませんが、まさかマスクまで中国に依存していたとは!

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インバウンドの中国人観光客が消えました

 

製造業だけではありません。今回の新型コロナ騒動で中国人団体客が来日しなくなったため、各地の観光業が打撃を受けています。東京の銀座から姿を消したのをはじめ、京都や奈良、金沢や博多や別府や那覇も一気に中国人の姿が減りました。しかし、これまで、小売業界もホテル業界も、インバウンドの中国人観光客に頼り過ぎていたのではないでしょうか。わたしはいつも「異常だなあ」と思っていました。ようやく正常な姿に戻ったような気もします。今後、騒動が収まった後は、中国人観光客は日本に帰ってくるのでしょうか。そもそも、この騒動は収まるのでしょうか?
もうすぐ3月。「ひな祭り」の季節が近づいています。
日本人は、もっと冷静にならなければなりません。

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もうすぐ「ひな祭り」です

 

そして、いよいよ「東京オリンピック中止」の可能性が叫ばれ始めました。国際オリンピック委員会(IOC)で最古参委員であるディック・バウンド氏は「東京五輪の開催判断の期限は5月下旬」との見方を示しました。この頃、ロンドン市長選が行われ、新市長が「五輪のロンドン開催」を提言すると見られています。わたし個人の見解は、日本人として大変残念ではありますが、また儀式や祭典やイベントの重要性を誰よりも知っているつもりですが、もはや東京五輪の開催は厳しいと思います。日本政府は、ダイヤモンド・プリンセス号の感染防止の対処を完全に誤りました。また、もっと早く中国観光客の入国を止めるべきでした。

これから日本国内での感染拡大を想定した場合、海外から選手や観客を日本に集めるのはリスクが高すぎます。「中止」だと選手があまりにも気の毒ですので、「ロンドンに開催地を変更」でいいではないですか。「日本が30兆円の経済損失」などという声も聞こえますが、この際、金のことなど言っている場合ではありません。だいたい、スポーツの祭典であるオリンピックに参加する選手の健康を損なう可能性があるのは本末転倒ではないですか。エンブレム盗作の一件に始まって、新国立競技場の建設費問題、東京から札幌へのマラソン会場変更、そして今回の新型コロナウィルス感染拡大まで、とにかく、ここまでケチがつきまくった東京オリンピックは中止すべきでしょう。TVで「東京オリンピック中止」の可能性が一切発言されないのも嘘くさいというか、TV局の利害が絡んでいるからでしょうね。じつは、多くの日本国民が「もう、オリンピックはいいよ」と思っているのではないかと推察するのですが・・・・・・。

 

2020年2月26日 一条真也