「フューネラルビジネス」取材  

一条真也です。
17日、12時半からリーガロイヤルホテルで開催されたロータリークラブの小倉5クラブ合同例会に出席。その後、14時から サンレー本社で業界誌のインタビュー取材を受けました。総合ユニコムが発行している「月刊フューネラルビジネス」の取材です。

f:id:shins2m:20200217122652j:plainRC小倉5クラブ合同例会に参加しました

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インタビュー取材のようす

 

同誌はフューネラル業界のオピニオン・マガジンとして知られています。互助会経営者には、基本的に同業者が読む業界誌の取材を受けたがらないという傾向がありますが、わが社は「天下布礼」の旗を掲げていますので、少しでも業界発展のためになるならとインタビューをお受けしました。また、今回は「グリーフケア特集」の取材ということなので、万障繰り合わせて時間を作りました。

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グリーフケアについて話しました

 

わたしは、グリーフケアの普及が、日本人の「こころの未来」にとっての最重要課題と位置づけています。上智大学グリーフケア研究所客員教授として教鞭をとりながら、社内で自助グループを立ちあげグリーフケア・サポートに取り組んでいます。2020年からは、副会長を務める全互協と同研究所のコラボを実現させ、互助会業界にグリーフケアを普及させるとともに、グリーフケアの資格認定制度の発足にも取り組んでいます。全互協内にグリーフワークPTを発足させ、わたしが座長として2021年秋にグリーフケア資格認定制度を開始するべく活動を進めています。このあたりを、お話できる範囲で話しました。

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グリーフケアの本質とは?

 

それから「グリーフケア」の本質についての話をしました。グリーフケアの目的は主に2つあります。「死別の喪失に寄り添う」ことと「死の不安を軽減する」ことです。人間にとって最大の不安は「死」です。死の不安を乗り越えるために、人類は哲学・芸術・宗教などを発明し、育ててきました。哲学・芸術・宗教は「死の不安を軽減する」ために存在していると言っても過言ではなく、それらの偉大な営みが「グリーフケア」という一語のもとに集約されてきています。「こころの時代」と言われてきて久しいですが、「こころの時代」とは「死を見つめる時代」であり、「グリーフケアの時代」です。

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グリーフケアと互助会について

グリーフケアが冠婚葬祭互助会にとってなぜ必要になっているのか」についても話しました。冠婚葬祭互助会は、結婚式と葬儀の施行会社ではなく、冠婚葬祭に係る一切をその事業の目的としています。確かに結婚式と葬儀を中心に発展してきた業界ではありますが、結婚式と葬儀のいずれも従来は近親者や地域社会で行なってきたものが、時代の流れにより対応できなくなり、事業化されてきたとも言えます。グリーフケアについても、従来は近親者や地域社会が寄り添いクリアしてきた部分でしたが、現在その部分がなくなり、今必要とされているのです。「血縁」や「地縁」が希薄化する一方で、遺族会自助グループに代表される「悲縁」を互助会が育てているとも言えます。

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なぜ、資格認定制度が必要か?

 

地方都市においては、一般的に両親は地元に、子息は仕事で都市部に住み離れて暮らす例が多く、夫婦の一方が亡くなって、残された方がグリーフケアを必要とれる状況を目の当たりにすることが増えています。地域社会との交流が減少している中、葬儀から葬儀後において接触することが多く故人のことやその家庭環境が分かっている社員が頼りにされるという状況も増えています。互助会としては、このような状況を放置することはできません。しかしながら、グリーフケアの確かな知識のない中、社員の苦悩も増加しており、グリーフケアを必要とされている方はもちろん、社員そして会社のために必要です。そのための資格認定制度であると考えます。

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グリーフケアは互助会のCSRである!

 

グリーフケアは悲嘆への対応、「冠婚葬祭」のなかで「葬」と「祭」に関わることが多く、「大切な人を亡くしたこと」に対してどのようなことが出来るかということです。これまでは「葬」の儀式以後に法事法要といった儀式でその一部に対応してきましたが、現在の宗教離れや考え方の多様化によって機能不全に陥ってきたことは否めません。冠婚葬祭互助会は生まれてから「死」を迎えるまで人生の通過儀礼に関わっています。葬儀が終わっても法事法要のお世話など故人だけでなくその家族にも寄り添い続け、また新たな「生」や「死」に対しても家族と一緒に寄り添っていきます。それは社会的責任(CSR)を果たすことにつながり、地域に認められる存在となる重要なキーポイントだと思います。

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さまざまな質問をお受けしました

 

互助会が冠婚葬祭のすべてとグリーフケアを行うことによって人が生きていくうえで必要な儀式とケアが行えることになります。古来よりその役目を担ってきた地域の寺院の代わりに不可欠なとして存在していくことで地域社会に必要なものとして、より根差していけるのではないでしょうか。また、地域ごとにセレモニーホールを持つ冠婚葬祭互助会は寺院が担ってきた地域コミュニティの中心としての存在となり得ることが可能です。それは人と人が関わりあう地域社会の活性化にもつながっていくと考えられます。この日の取材では、以上のような話をしました。

f:id:shins2m:20200217152620j:plain柴山社長の思い出を話しました

 

最後に、ブログ「柴山文夫氏お別れ会」でも書いたように、ラックの柴山社長は数年前に最愛のお嬢様を亡くされ、それを機にグリーフケアの重要性を唱えておられました。ブログ「全互協総会in仙台」で紹介した昨年8月22日の業界の会合では、「歴代会長と正副会長の懇談会」に出席され、「互助会こそグリーフケアに取り組むべき」「グリーフケアによって、葬祭スタッフは仕事に誇りを持てる」「早急にグリーフケアの資格認定制度の立ち上げを!」と強く訴えられました。

f:id:shins2m:20200124133147j:plain故人の遺志を必ず継ぎます!

 

その後、全互協内にグリーフケアPTが発足し、わたしが座長になりました。2021年秋スタートを目指して、資格認定制度も動き始めました。昨年11月25日に行われた互助会保証の取締役会の終了後、そのことを互助会保証の会長に就任されたばかりの柴山氏にお伝えすると、当時かなり衰弱した様子だった氏はニッコリと笑って「それは良かったですね。頑張って下さい!」と言って下さいました。それが、わたしとの最後の会話になりました。その約3週間後に柴山氏は人生を卒業されたのです。わたしは、「柴山氏の遺志を継ぎ、必ずや互助会業界にグリーフケアを浸透させたいです」と述べました。

 

2020年2月17日 一条真也