「リチャード・ジュエル」

一条真也です。
昨日、ブログ「柴山文夫氏お別れ会」で紹介した博多で行われた行事の後、互助会業界の仲間であるメモワールの渡邊社長と出雲殿の浅井社長が小倉に来られました。夜は、わが社の松柏園ホテルで一緒にフグを食べ、それから小倉の夜の街に繰り出して痛飲しましたが、業界の未来について大いに語り合うことができ、有意義な一夜となりました。翌日、二日酔いのまま、映画「リチャード・ジュエル」を鑑賞。感動しました。早くも、今年の「一条賞」候補作に出合いました。


ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
アトランタオリンピックで起こった爆破テロを題材にした実録ドラマ。容疑者とされた爆弾の第一発見者と真実を求める弁護士の闘いを描く。メガホンを取るのは、俳優・監督としてさまざまな作品を世に送り出してきたクリント・イーストウッド。『スリー・ビルボード』などのサム・ロックウェル、『アバウト・シュミット』などのキャシー・ベイツ、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』などのポール・ウォルター・ハウザーに加え、オリヴィア・ワイルドジョン・ハムらが出演する」

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ヤフー映画の「あらすじ」は以下の通りです。
「1996年、アトランタで開催されたオリンピックで爆破テロ事件が発生する。警備員のリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)が爆弾の入ったバッグを発見したことで、多くの人々の命が救われた。だがFBIは、爆弾の第一発見者だということを理由に彼を容疑者として逮捕。リチャードを担当する弁護士のワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)が捜査に異議を唱える中、女性記者のキャシー・スクラッグス(オリヴィア・ワイルド)の記事をきっかけに容疑の報道は熱を帯びていく」

 

「リチャード・ジュエル」は、「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」「グラン・トリノ」といった作品、さらにはブログ「アメリカン・スナイパー」ブログ「ハドソン川の奇跡」ブログ「運び屋」で紹介した作品などで真実の物語を描き続けてきた巨匠クリント・イーストウッド監督の最新作です。英雄が一転して疑惑の人物になるという設定は「ハドソン川の奇跡」に似ていると思いました。

 

主役のリチャード・ジュエルを演じたポール・ウォルター・ハウザーも良かったですが、なんといっても弁護士のワトソン・ブライアントを演じたサム・ロックウェルが最高でした。この映画を観る直前に鑑賞した ブログ「ジョジョ・ラビット」で紹介した映画でも重要な役で出演していましたが、この「リチャード・ジュエル」におけるワトソンの存在感にはかないません。本当に、「こんな弁護士がいたら、いくら費用がかかっても依頼したい!」と思わせる情熱溢れる素晴らしい弁護士でした。



それにしても、無実の罪を被せられる怖さ!
「リチャード・ジュエル」に登場する1996年にアトランタで開催されたオリンピックで発生した爆破テロ事件では、FBIはジュエルを容疑者として扱いますが、結局は「証拠不十分」として逮捕には至りませんでした。でも、この世には身に覚えのないことで逮捕されたケースなど山ほどあります。『サメに襲われたら鼻の頭を叩け』で紹介した本には「万が一逮捕された際に覚えておくべく2つの重要事項」という項があります。

 

サメに襲われたら鼻の頭を叩け 最悪の状況を乗り切る100の解決策 (鉄人文庫)

サメに襲われたら鼻の頭を叩け 最悪の状況を乗り切る100の解決策 (鉄人文庫)

  • 作者:鉄人社編集部
  • 出版社/メーカー: 鉄人社
  • 発売日: 2019/02/18
  • メディア: 文庫
 

 

同書には、以下のように書かれています。
「万が一に備え必ず知っておかねばならないことが2つある。1つは『黙秘権』だ。刑事訴訟法に『あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要が無い旨を告げなければならない』と定められているように、警察官は黙秘権を被疑者に告知する義務がある。つまり、話したくないことは話さなくても良いというわけだ」
「もう1つの重要事項は、弁護士の助けだ。警察官の中には『1度は弁護士を呼べるが、2回目以降は高い費用がかかる』と言う者がいる。が、これは全くのデタラメ。金銭に余裕がなくとも、当番弁護士を無料で呼べるし、2回目以降も、日本弁護士連盟の法律援助事業の中の『刑事被疑者弁護援助』という制度を使うと、日弁連が費用を負担し、弁護士を派遣してくれる」



とにかく弁護士の助けを借りなければいけない場合は、不用意なことを発言せず、黙秘を貫くべきでしょう。当然ながら、国家=正義ではありませんので、自分が無実の罪を着せられそうなときは徹底的に抗戦する必要があります。映画「リチャード・ジュエル」のようにFBIが容疑者の家に盗聴器を仕掛けたりすることもあるようですが、どんなに相手が強大な存在であっても「自分は無実である」と堂々としなければなりません。

 

実際のジュエルは「アメリカ合衆国」と「メディア」という、この世で最も強大な2つの相手と闘って、勝利を手にしたのですから、凄いことです。国家の暴力とメディアリンチに勝ったのです。現在、逆境にあるすべての人に観てほしい映画です。きっと、闘うための勇気を得ることができるでしょう。最後に、記者会見を行ったジュエルの母親の涙の訴えには泣けました。キャシー・ベィツが素晴らしい演技を見せてくれましたね。母親の愛情こそ最強かもしれません。

 

2020年1月26日 一条真也