全互協新年行事 

一条真也です。東京に来ています。
22日は亀戸の「アンフェリシオン」で一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の新年行事が行われました。

f:id:shins2m:20200122104924j:plainアンフェリシオンの入口

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アンフェリシオンの入口前で

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この日のインフォメーション

f:id:shins2m:20200122134846j:plain副会長として理事会に参加

 

この日、同所で11時から冠婚葬祭文化振興財団の評議員会、11時30分から正副会長会議、12時40分から歴代会長と正副会長等との懇談会が開かれました。また、13時40分から14時40分まで理事会が開催されました。

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新春講演会で開会の挨拶をする浅井委員長

 

14時50分からは、新春講演会です。
講演者は上智大学グリーフケア研究所島薗進所長で、テーマは「グリーフケアが求められる時代」でした。冒頭、儀式継創委員会の浅井委員長が開会挨拶を行いました。浅井委員長は、「現代は、一人ひとりが、自らの生きがいを求める時代、人間らしい死に方を求める時代です。葬儀の現場においても、グリーフケアが必要になっていると言われています。グリーフケアを行うには、グリーフケアの実践を遂行できる知識や援助技術が必要になります。上智大学グリーフケア研究所は、日本で初めてグリーフケアを専門とした教育研究機関で、2009年に設立。グリーフケアの実践を遂行できる専門的な知識・援助技術を備えた人材を育成するノウハウを持っている同研究所から、所長の島薗進先生にご講演いただくことは光栄なことでありかつ意義深いものです。また、講演に続き、ディスカッションも行われるので、グリーフケアが業界の発展にどのように役立っていくのかを聴かせていただけるものと期待しています」と述べました。

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新春講演は島薗先生の「グリーフケアが求められる時代」

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新春講演会のようす

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講演する島薗先生

その後、島薗先生がⅠ「医学・心理学の所見として」、Ⅱ「遠ざかる死と死生の文化」、Ⅲ「グリーフケアの集いの形成」、Ⅳ「東日本大震災と悲嘆のスピリチュアリティ」、Ⅴ「社会関係資本という視点」、Ⅵ「ケア人材育成と社会関係資本」のテーマで講演されました。非常にわかりやすく、グリーフケアの現代性とその可能性、重要性について語って下さいました。参加者はみな、熱心にメモを取っていました。その姿を見て、わたしは「この熱意があれば、互助会業界にグリーフケアが浸透する日も遠くない」と確信しました。

f:id:shins2m:20200122160300j:plainパネルディスカッションのようす

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わたしも登壇しました

第二部はパネルディスカッションです。
島薗先生、上智大学グリーフケア研究所の粟津賢太先生とともに、わたしもパネリストとして登壇しました。コーディネーターは全互協の儀式継創委員会の平田委員でした。

f:id:shins2m:20200122160401j:plainパネルディスカッションで発言しました 

 

パネルディスカッションで「グリーフケアが冠婚葬祭互助会にとってなぜ必要になっているのか」について質問されたわたしは、次のように答えました。
「冠婚葬祭互助会は、結婚式と葬儀の施行会社ではなく、冠婚葬祭に係る一切をその事業の目的としています。確かに結婚式と葬儀を中心に発展してきた業界ではありますが、結婚式と葬儀のいずれも従来は近親者や地域社会で行なってきたものが、時代の流れにより対応できなくなり、事業化されてきたとも言えます。グリーフケアについても、葬儀後の悲嘆に寄り添うということから考えると、まさに冠婚葬祭の一部分と言えると思います。このグリーフケアについても、従来は近親者や地域社会が寄り添いクリアしてきた部分でしたが、現在その部分がなくなり、今必要とされているのです」

f:id:shins2m:20200122160434j:plainパネルディスカッションで発言しました 

 

続いて、わたしは以下のように述べました。
グリーフケアは、もちろん互助会にとっても必要なものですが、簡単なものではなく、大変デリケートなものです。しかしながら、グリーフケアの担い手がなくなり必要とされている現代、人の人生をトータルにサポートするという目的からしても避けて通ることはできません。わたしたち互助会業界こそ、最もふさわしい担い手ではないでしょうか。災害支援協定などもそうですが、地域の人々が望んでいるや困っていることを担い、それを生業とするのが冠婚葬祭互助会の使命であり、将来的に地域において生き残っていく道だと考えています」

f:id:shins2m:20200122160508j:plainパネルディスカッションで発言しました 

 

続いて、わたしは以下のように述べました。
「現場を見てみましても、地方都市においては、一般的に両親は地元に、子息は仕事で都市部に住み離れて暮らす例が多く、夫婦の一方が亡くなって、残された方がグリーフケアを必要とれる状況を目の当たりにすることが増えています。地域社会との交流が減少している中、葬儀から葬儀後において接触することが多く故人のことやその家庭環境が分かっている社員が頼りにされるという状況も増えています。互助会としては、このような状況を放置することはできません。しかしながら、グリーフケアの確かな知識のない中、社員の苦悩も増加しており、グリーフケアを必要とされている方はもちろん、社員そして会社のために必要だと言えます。弊社のケースを見てみても、グリーフケアに取り組むことによって、その重要性を理解した互助会の社員が仕事にプライドを持つことができることを指摘したいと思います」

f:id:shins2m:20200122160533j:plainパネルディスカッションで発言しました 

 

さらに、わたしは以下のように述べました。
グリーフケアは悲嘆への対応、『冠婚葬祭』のなかで『葬』と『祭』に関わることが多く、『大切な人を亡くしたこと』に対してどのようなことが出来るかということです。これまでは『葬』の儀式以後に法事法要といった儀式でその一部に対応してきましたが、現在の宗教離れや考え方の多様化によって機能不全に陥ってきたことは否めません。冠婚葬祭互助会は生まれてから『死』を迎えるまで人生の通過儀礼に関わっています。葬儀が終わっても法事法要のお世話など故人だけでなくその家族にも寄り添い続け、また新たな『生』や『死』に対しても家族と一緒に寄り添っていきます。

f:id:shins2m:20200122160324j:plainパネルディスカッションのようす

f:id:shins2m:20200122160648j:plainパネルディスカッションで発言しました 
 

そして、わたしは以下のように述べました。
「『死』以降のサイクルの中で家族をはじめとしたグリーフケアが必要な方にその機会や場所をすることは冠婚葬祭互助会とお客様のつながりを途絶えさせず新たな顧客として囲い込むことが出来るといったメリットがあげられます。他にも冠婚葬祭互助会が人生に必要な儀式やグリーフケアを行うことによって、今まで寺院が担ってきた精神的な欲求を満たすインフラとしての存在価値を冠婚葬祭互助会が担っていくことにもつながってくると考えられます」

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島薗先生の発言を拝聴する

 

2番目のテーマとして、 「冠婚葬祭互助会がグリーフケアに取り組むことで、地域社会との関係がどのように変わっていくか」が提示されました。それについて、わたしは、以下のように答えました。「グリーフケアにとどまらず、地域社会が困っていることや必要としていることに関わっていくのは、冠婚葬祭互助会のような地域密着型の企業にとっては事業を永続的に続けていくために必要なことです。それは社会的責任(CSR)を果たすことにつながり、地域に認められる存在となる重要なキーポイントだと思います」

f:id:shins2m:20200122162453j:plainパネルディスカッションで発言しました 

 

また、わたしは以下のようにも述べました。
グリーフケアに限っても、グリーフケアが必要な人が増加していくことは、地域社会にとって不安要因となったり、地域交流を阻害する要因にもつながりますが、グリーフケアにより地域社会に復帰する人が増えることは、これらの要因を取り除くことになり、地域社会の交流が途絶えることなく継続したり、活発化していくことに繋がるかもしれません。その担い手が冠婚葬祭互助会だと認知されたら、それはまさにCSRを果たし、地域社会に認められる存在へとつながっていくのではないでしょうか」

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笑いも出ました

 

さらに、わたしは以下のように述べました。
「互助会が冠婚葬祭のすべてとグリーフケアを行うことによって人が生きていくうえで必要な儀式とケアが行えることになります。古来よりその役目を担ってきた地域の寺院の代わりに不可欠な精神的なインフラとして存在していくことで地域社会に必要なものとして、より根差していけるのではないでしょうか。また、地域ごとにセレモニーホールを持つ冠婚葬祭互助会は寺院が担ってきた地域コミュニティの中心としての存在となり得ることが可能です。それは人と人が関わりあう地域社会の活性化にもつながっていくと考えられます」

f:id:shins2m:20200122163245j:plain活発な語り合いが行われました

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閉会の挨拶をする金森副会長

 

三者三様で、グリーフケアについて活発な語り合いが行われ、パネルディスカッションは1時間にわたって大いに盛り上がりました。終了後は盛大な拍手が起こって、感激しました。わたしは一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会の副会長、上智大学グリーフケア研究所客員教授として、両者の間に橋を架けるというミッションがあります。ぜひ、このミッションをきちんと果たし、グリーフケアの資格認定制度をスタートさせ、互助会業界にグリーフケアを普及させたいと思います。最後は、全互協の金森副会長の挨拶があり、新春講演会&パネルディスカッションは無事に幕を閉じました。

f:id:shins2m:20200122170717j:plain新年賀詞交歓会で挨拶する全互協の山下会長

f:id:shins2m:20200122173055j:plain鏡割りのようす

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カンパ~イ!

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新年賀詞交換会のようす

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新年賀詞交換会

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国会議員の先生方と名刺交換しました

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浅井委員長、全日本仏教青年会の谷理事長と

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広報・渉外委員会の志賀委員長と

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最後は、齋藤前会長の一本締めで

 

そして、17時から新年賀詞交換会が開催されました。多くの国会議員の先生方もお越し下さり、御挨拶を頂戴した後、みなさんで鏡割りをしていただきました。鏡割りには、わたしも副会長として参加させていただきました。身の引き締まる思いでした。最後は、齋藤前会長の中締めの挨拶と一本締めで約2時間の新年賀詞交歓会は幕を閉じました。

 

2020年1月23日 一条真也