「エビータ」

一条真也です。
16日の夜、ミュージカル「エビータ」を観ました。
劇団四季さんからご招待いただき、小倉のアルモニーサンク・ソレイユホールに行ってきたのです。さすがは天下の劇団四季、素晴らしい舞台でした。小倉の街がブエノスアイレスに変わりました。エビータの亡骸が入った棺のシーンから始まって、エビータの墓が台座しか作られなかったという終わり方なのですが、まるでこの舞台そのものがエバ・ペロンの葬儀のようだと思いました。

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アルモニーサンク・ソレイユホールの前で

 

公式サイトの「はじめに」には、こう書かれています。
「1952年、南米アルゼンチン。民衆からエビータの愛称で親しみを込めて呼ばれ、聖女として崇められた一人の女性が逝った。彼女の名は、エバ・ペロンアルゼンチンの片田舎に私生児として生まれた一人の少女エバ。彼女が大統領夫人となり、33歳でその生涯を終えるまでの一生を描いた『エビータ』は、アンドリュー・ロイド=ウェバーの最高傑作と言われています。『ジーザス・クライスト=スーパースター』で衝撃的デビューを飾ったティム・ライスとアンドリュー・ロイド=ウェバー。現在では、世界のミュージカル界をリードする“巨匠”となった二人ですが、その共同作業が最も豊かに実を結び、大きな成果となった作品が『エビータ』なのです」

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続いて、「はじめに」には、以下のように書かれています。
「『エビータ』は、『ジーザス・クライスト=スーパースター』と同様、まずレコードの形で世に出され、特に『アルゼンチンよ 泣かないで(DON'T CRY FOR ME ARGENTINA)』は、瞬く間にヨーロッパ中で大ヒットとなりました。こうしたレコードでの大成功を背景に1978年、ロンドン公演がオープン、大ヒットミュージカルとなりました。ニューヨークでは79年に開幕、80年のトニー賞では最優秀ミュージカル作品賞を含む7部門で独占受賞を果たしました」



さらに、「はじめに」には、以下のように書かれています。
劇団四季での初演は1982年。ロイド=ウェバーが紡ぎだす多彩な音楽と重層的なテーマを併せ持つ『エビータ』への新しいアプローチは、劇団四季にとって魅力ある試みとなりました。 アルゼンチンの貧困と社会の歪みが生み出したエビータという偶像に視点を置いた、ハロルド・プリンスの手によるドライな演出のオリジナル版。演出家 浅利慶太は、それを独自の視点で魅力的な奥行きのあるものへと咀嚼し、一人の女性の人生という視点から描ききりました。ロイド=ウェバーの最高傑作を、演出、装置、衣裳、振付に至るまで磨き上げた本作は、『エビータ』の決定版と言えます」

 

公式サイトの「ストーリー」には、こう書かれています。
「1952年7月、大統領夫人エバ・ペロン死去。享年33歳。厳かに運び込まれる彼女の棺。エバ国葬が行なわれている。国民は希望を失い、悲嘆に暮れている。その傍らには、この狂乱を冷ややかに眺めているチェの姿があった。チェは思っていた。エビータと呼ばれ愛されたエバ・ペロンは、祖国アルゼンチンと、民衆の期待を裏切って、自分ひとりが栄華をほしいままにして、今、世を去ったと。エビータは、1919年5月7日、ブエノスアイレスから150マイルほど離れた、パンパ(アルゼンチン地方特有の草原地帯)の寒村に生まれ、エバ・マリア・ドゥアルテと名づけられた。私生児だった」



続いて、「ストーリー」には、こう書かれています。
「1926年、幼い頃から貧困とその惨めさを嫌というほど味わってきたエバ。貧しさゆえ、私生児ゆえに蔑まれた経験は、彼女の中で中流階級への敵意となって根付いていった。富と名声に憧れ、首都ブエノスアイレスに思いを馳せるひとりの少女が、そこにいた。1934年エバ15歳。生まれ故郷のナイトクラブで知り合ったタンゴ歌手、マガルディと共に、都会ブエノスアイレスに出て来た。野心を抱いたエバは、男から男へと渡り歩きながら人生の階段を登っていく。ラジオを通じてスターとなったエバは、福祉大臣ペロンとチャリティ・コンサートで出会い、たちまち意気投合。1946年、労働者の心を掌握したペロンは大統領に就任、エバも念願のファーストレディの座を手に入れる」



そして、「ストーリー」には、こう書かれているのでした。
「『泣かないで アルゼンチーナ

 この身 果てるとも 心から結ばれた 永遠の仲間たち

 これだけなの この世に残しておきたいのは

 たったひとつのまごころを あなたのもとに』

死を目前にしたエバの脳裏を、過ぎ去った様々なできごと、栄光に満ちた日々、様々な人々の姿がよぎっていく・・・・・・」

 

舞台を観ていて、わたしは、マドンナが主演した映画「エビータ」を思い出しました。また、エビータがナイトクラブの女性から大統領夫人にまで上りつめたところはデヴィ夫人と重なる部分もあったのですが、彼女が33歳で亡くなったことは、現在33歳である女優の沢尻エリカ容疑者のことを想いました。もちろん、彼女はまだ亡くなってはいませんが、このたびの逮捕でいろんなものを失いました。NHK大河での大役も失い、それは女優にとっては死にも等しいでしょう。

 

わたしは、人間というのは急上昇すればするだけ、その反作用によって急スピードで転落するのではないかと思っているのですが、エビータが若くして栄光も権力も手に入れた場面で、狂言回しであるチェが「その栄光は転落の始まり」と不気味な言葉を吐きます。それを聴いて、わたしは沢尻エリカのことを連想したのでした。ブログ「人間失格 太宰治と3人の女たち」にも書いたように、わたしは女優としての彼女を高く評価しています。美貌と才能に恵まれた彼女が、また日本映画界に復帰する日が来るのを願っています。

 

2019年12月16日 一条真也