まずはじめに感謝してしまえ(中村天風)

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一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、異色の哲学者・中村天風の言葉です。
多くの指導者を教えた中村天風は、生涯を通じて感謝の重要性を説きました。彼は、「ありがとう」という気持ちを持ち続けていれば、不平、不満、怒り、怖れ、悲しみなどは自然に消えてなくなると訴えたのです。究極のポジティブ・シンキングですね。「とにかく、まずはじめに感謝してしまえ」というのも天風の言葉です。

 

運命を拓く (講談社文庫)

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わたしたちは、感謝すべき出来事があって、その後に感謝するのが普通です。しかし天風は、「とにかく、まずはじめに感謝してしまえ」と説きました。いま、ここに「生きている」というだけでも、大きな感謝の対象になるというのです。そうは言われても、「感謝を先にしろ」と言われても、なかなかできるものではありませんね。

 

ここで登場する天風の教えは、非常に実践的です。どうしたら感謝本位の生活ができるのかに言及し、それが「三行」の生活としてまとめられています。わかりやすく言うと、正直・親切・愉快に日々過ごしていくことです。この3つの行いを実践することによって、感謝することが容易にできるようになっていくというのです。

 

冠婚葬祭という営みこそ、感謝の「こころ」を「かたち」にしたです。最近では自分たちを主役と思う新郎新婦が増えてきましたが(それとともに離婚も増えましたが)、結婚式とはもともと両親や参列者に対して新郎新婦が感謝を表明する行事です。また、葬儀とは故人に対して哀悼の意とともに感謝の意を表す儀式です。

 

ですから、結婚式の花嫁の手紙でも、葬儀の友人代表の弔辞でも、最後の一文は「ありがとうございました」という言葉が圧倒的に多いわけです。通過儀礼もしかり。初宮参りにしろ、七五三や成人式にしろ、いずれも神様に「生かしていただいて、ありがとうございます」と感謝する儀式です。冠婚葬祭こそは、人々が「ありがとう」と言う最大の機会となっているのです。

 

2019年7月17日 一条真也