『天皇陛下のプロポーズ』

一条真也です。
今日から6月、令和最初の水無月ですね。
125万部の発行部数を誇る「サンデー新聞」の最新号が出ました。同紙に連載中の「ハートフル・ブックス」の第134回が掲載されています。今回は、『天皇陛下のプロポーズ』織田和雄著(小学館)を取り上げました。

f:id:shins2m:20190530111325j:plain「サンデー新聞」2019年6月1日号 

 

「平成」が終わり、「令和」の時代となりました。わたしは平成元年に結婚したのですが、令和元年5月20日で結婚30周年を迎えました。今、改めて「結婚とは何か」ということを考えるために、本書を読みました。著者は昭和10年、日本人初のオリンピック金メダリスト・織田幹雄の次男として生まれました。中等科2年から高等科、大学まで学習院に通い、上皇陛下の2歳後輩でした。

 

著者が当時は皇太子であった陛下と初めてお会いしたのは、まだ東京に焼け跡が残る、昭和24年のこと。著者は成蹊中学1年生で、2歳年上の兄が学習院中等科で陛下と同級生でした。著者の兄と陛下は日ごろから仲が良く、その縁から「一緒にテニスのレッスンを受けないか?」と誘いを受けたそうです。昭和32年8月19日。運命の出会いがありました。軽井沢でテニスの対戦相手となった正田美智子さんのことを、陛下は「あんなに正確に粘り強く打ち返してくるのだから、かなわないよ。すごいね」と評されました。

 

では、美智子さまが結婚を決められた陛下のお言葉とは、どのようなものだったのでしょうか。詳しくは本書をご覧頂くとして、その時陛下は電話で「YESと言ってください」と強く押されたそうです。つまり、ご結婚の申し込みにYESと言ってください、と熱意を伝えられたのです。一方で、陛下は、皇室に嫁ぐことは普通の結婚とは違い、戸惑うことばかりであろうから、皇太子妃そして皇后となれば、そのお立場を深く理解する必要性があることを語られ、最後に「公的なことが最優先であり、私事はそれに次ぐもの」とはっきりと伝えられたそうです。

 

この言葉について、著者はこう述べます。
「それは、ご自身のお立場から公的なことが最優先であり、私的なことは後回しとなってしまうので、もしかしたら我慢や不自由を強いる結果になるかもしれない、という意味も含んでいるのではないかと推察致します。その上でどうしても結婚して頂きたいという、嘘偽りのない真っ正直で、誠実な陛下のお言葉と熱意。この言葉に美智子さまは心を動かされ、結婚を決意されたのではないかと思っております」

 

「浜の真砂」という言葉があるように、膨大な数の相手の中からたった一人と結ばれるとは、結婚とは何たる縁でしょうか! わたしたち夫婦は結婚30周年、わたしの両親も今年で結婚60周年を迎えましたが、すべての結婚は奇跡ともいえます。わたしは、上皇ご夫妻こそは戦後日本のベストカップルであると思います。
令和の御代になっても、お二人がいつまでもお元気でいらっしゃることを心から願っております。

 

天皇陛下のプロポーズ

天皇陛下のプロポーズ

 

 

 

 

 2019年6月1日 一条真也