人生100年時代のキーワード

一条真也です。
16日の午後、東京から北九州に戻りました。
17日は、早朝から松柏園ホテルの神殿で月次祭が行われました。

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月次祭のようす

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柏手を打つ佐久間会長

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わたしも柏手を打ちました

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一同礼!

 

皇産霊神社の瀬津神職が神事を執り行って下さり、祭主であるサンレーグループ佐久間進会長に続いて、わたしが社長として玉串奉奠を行いました。わたしは、社業の発展と社員のみなさんの健康を祈願しました。

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天道塾のようす

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互助会事業について語る佐久間会長

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「人生100年時代」について発表する佐久間室長

f:id:shins2m:20190517090501j:plain非常に濃い発表内容でした

 

神事の後は、恒例の「天道塾」を開催しました。
まずは佐久間会長が登壇し、簡単に挨拶しました。会長はここ数十年の北九州の企業の盛衰の流れに言及し、冠婚葬祭互助会事業の普遍性と将来性を訴えました。その後、佐久間室長が「人生100年時代の会員ビジネスの方向性」をテーマに45分ほど話しました。各種のデータや実例に基づいており、非常に濃い発表内容でした。

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最後に、わたしが登壇しました

 

それから、わたしが登壇して総括を行いました。
まず、わたしは「平成から令和へ向かう中、天皇陛下の一連の退位儀式および即位儀式は内外のメディアで中継されましたが、ここまで、儀式というものに国民の関心が集まったことは過去に例がないように思います」と述べました。やはり先帝の生前退位によって「お祝い」ムードが強いことも一因でしょう。ぜひ、この流れの中で至るところで冠婚葬祭が大切にされ、「おめでとう」と「ありがとう」の声が行き交うハートフル・ソサエティを実現したいものです。


人生の修め方』(日本経済新聞出版社

 

それから、佐久間室長の発表の内容に言及して、互助会は前向きな「人生の修め方」を発信することが重要ではないかと述べました。ブームになった「終活」という言葉は就職活動を意味する「就活」をもじったもので、「終末活動」の略語だとされています。ならば、わたしも「終末」という言葉には違和感を覚えてしまいます。死は終わりなどではなく、「命には続きがある」と信じているからです。そこで、わたしは『人生の修め方』(日本経済新聞出版社)などで、「終末」の代わりに「修生」、「終活」の代わりに「修活」という言葉を提案してきました。

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「人生を修める」ことについて

 

「修生」とは文字通り、「人生を修める」という意味です。よく考えれば、「就活」も「婚活」も広い意味での「修活」ではないでしょうか。学生時代の自分を修めることが就活であり、独身時代の自分を修めることが婚活です。そして、人生の集大成としての「修生活動」があります。戦後の日本人は「修業」「修養」「修身」「修学」という言葉で象徴される「修める」という覚悟を忘れてしまったように思います。

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互助会は「修活クラブ」だ!

 

しかしながら、これからの“人生100年時代”においては「修める」覚悟が求められます。老いない人間、死なない人間はいません。死とは、人生を卒業することであり、葬儀とは「人生の卒業式」にほかなりません。老い支度、死に支度をして自らの人生を修める。この覚悟が人生をアートのように美しくするのではないでしょうか。冠婚葬祭互助会の会員様の多くは高齢者の方々です。ならば、互助会とは巨大な「修活クラブ」であると言えるかもしれません。


老福論〜人は老いるほど豊かになる

 

互助会を「修活クラブ」ととらえたとき、「グランド」というキーワードが浮かび上がってきます。拙著『老福論〜人は老いるほど豊かになる』(成甲書房)で初めて提唱したのですが、「グランド」とは、グランドホテル、グランドバザールの「グランド」です。また、グランドマザー、グランドファーザーの「グランド」です。わたしは、両者をあわせて「大いなる老いの」という意味で使っています。わが社には、サンレーグランドホテルがあります。

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老福社会のコンセプトとしての「グランド」

 

そして、グランドライフ、グランドカルチャー、グランドシティなど老福社会における一連のキーワードを貫くコンセプトが「グランド」です。
グランドライフは、これまで余生とか老後とかシルバーライフとか呼ばれてきたもので、老いるほど豊かになり幸福になる老福人生です。いま、「プラチナ」という言葉もよく使われるようですが、プラチナには金満的なイメージがありますので、グランドのほうが良いと思います。

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グランドカルチャーが老後を豊かにする!

 

グランドカルチャーは、高齢者にふさわしい文化です。かつての日本人は煩悩と苦労つづきの時代を力いっぱいに生き、できるだけ早く隠居しました。そして、盆栽、茶道、囲碁、俳句、水墨画、写経、能、相撲、落語、陶芸、骨董、園芸、琴、三味線、小唄、詩吟などのさまざまな文化を楽しんだのです。それらは若者のような運動神経や体力が求められるものではなく、経験と知恵が求められる、世界にも稀に見る「老熟」と「老成」の文化です。それらの高齢者のための老福文化をグランドカルチャーと呼びます。

f:id:shins2m:20190517094326j:plain「死」は人生の「グランドフィナーレ」となる! 

 

そして、グランドシティは、人が老いるほど豊かになり幸福になれるグランドライフを実現する老福都市です。また、シティ・オブ・グランドマザーズ・アンド・グランドファーザーズです。そこに住む高齢者たちが安心して生活でき、学び、遊び、買い物することができる高齢者のための街です。当然、医療や介護施設の充実、また老人マンションや葬祭会館などの選択肢の多さも必要とされます。「グランド」というコンセプトを得て、「老い」は光り輝き、その目的地である「死」は人生の「グランドフィナーレ」となるでしょう。以上のような話をしてから、わたしは降壇しました。

 

2019年5月17日 一条真也