桜と冠婚葬祭

一条真也です。
各地で桜の開花宣言がニュースになっています。わたしはかつて、人の一生を桜に例えて、結婚式は満開のとき、葬儀は散るときとして、「花は咲き やがて散りぬる 人もまた 婚と葬にて 咲いて散りぬる」という歌を詠みました。


花は咲きやがて散りぬる人もまた婚と葬にて咲いて散りぬる

 

日本人は、花に大きな関心を寄せてきました。花は、その変化がはっきりと目に見える「かたち」であらわれることから、自然の中でも、時間の流れを強く感じさせます。特に日本においては桜が「生」のシンボルとされました。結婚する新郎新婦は、人間界の花として、「花婿」「花嫁」と呼ばれました。また、桜ほど見事に咲いて、見事に散る花はありません。そこに日本独自の美意識や死生観も生まれました。そんなことを考えていたら、今日のヤフー・ニュースの「エンタメ」TOPに興味深い2つの記事を見つけました。

 

f:id:shins2m:20190325164257p:plain 

 

1つは「スポニチアネックス」配信の記事です。
篠山輝信&雨宮萌果アナ挙式・披露宴、紀信氏が撮った!」という見出しで、「今年1月に結婚した俳優の篠山輝信(あきのぶ=35)とNHK雨宮萌果アナウンサー(31)の挙式・披露宴が24日、都内のホテルで行われた。親族や友人らが出席し、アットホームな雰囲気で2人を祝福した。輝信の父で写真家の篠山紀信氏(78)も動き回って自ら息子夫妻の晴れ姿を撮影。関係者は『巨匠自らカメラを手にして笑顔いっぱいでした。本当にうれしそうでしたよ』と振り返った」

 

f:id:shins2m:20190325164326p:plain

 

もう1つは、「デイリー」配信の記事です。
内田裕也さん4・3にロック葬 希林さんも愛したポスターを再現した祭壇に」という見出しで、「17日に亡くなったロック歌手・内田裕也さん(享年79)のお別れの会が4月3日に東京・青山葬儀所で営まれることが25日、分かった。関係者への取材によると、内田さんの音楽、内田さんが愛した音楽が流れる“ロック葬”となる」と書かれています。その他にも、クロちゃんの結婚宣言、大浦龍宇一さんの結婚、織本順吉さんの死去のニュースなどが並んでいます。

 

f:id:shins2m:20190325164349p:plain

 

篠山紀信さんも、故内田裕也さんも同年代ですが、それぞれ、わが子の結婚披露宴、自身の葬儀の話題で「時の人」となったのでした。もうすぐ平成が終わりますが、新時代の到来とともに、あらゆるものが変化することが予想されます。
しかし、世の中には、変えてもいいもと変えてはならないものがあります。演出などはアップデートで変わっていきますが、結婚式や葬儀の本質は昔から変わりません。わたしは、「縁」という目に見えないものを実体化して見えるようにするものこそ冠婚葬祭であると思います。結婚式や葬儀、七五三や成人式や法事・法要のときほど、縁というものが強く意識されることはありません。冠婚葬祭が行われるとき、「縁」という抽象的概念が実体化され、可視化されるのではないでしょうか。

 

 
このたび、わたしは『決定版 冠婚葬祭入門』(PHP研究所)を上梓しました。同書を読まれたみなさんが、新しい時代の訪れとともに冠婚葬祭の重要性を知り、人生の節をきちんと修める「かたち」によって揺れ動く「こころ」が安定され、幸福になられることを願っています。新元号となっても、「こころ」を豊かにする「かたち」である冠婚葬祭は永久に不滅です! 改元まで、あと37日です。

 

2019年3月25日 一条真也