冠婚・衣裳責任者会議  

一条真也です。
26日の午後から、サンレーグループ冠婚・衣裳責任者会議が開催されました。会場は、松柏園ホテルバンケット「ザ・ジュエルボックス」でした。各地から、わが社の誇る“むすびびと”たちが集結しました。

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一同礼!

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社長訓示を行いました

 

17時から、わたしが「社長訓話」を行いました。
わたしは冒頭に「あと2ヶ月で平成が終わります」と言いました。平成が終わって新元号となったとき、あらゆる「時代遅れのもの」が一気に消え去ります。もちろん、結婚式や葬儀、七五三や成人式などは消えてはならないものです。それらは「こころ」を豊かにする「かたち」だからです。

f:id:shins2m:20190226174538j:plain「こころ」と「かたち」について 

 

人間の「こころ」は、どこの国でも、いつの時代でも不安定です。だから、安定するための「かたち」すなわち儀式が必要なのです。そこで大切なことは先に「かたち」があって、そこに後から「こころ」が入るということ。逆ではダメです。「かたち」があるから、そこに「こころ」が収まるのです。 

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「こころ」が不安に揺れ動く時は・・・

 

人間の「こころ」が不安に揺れ動く時とはいつかを考えてみると、子供が生まれたとき、子どもが成長するとき、子どもが大人になるとき、結婚するとき、老いてゆくとき、そして死ぬとき、愛する人を亡くすときなどがあります。その不安を安定させるために、初宮祝、七五三、成人式、長寿祝い、葬儀といった一連の人生儀礼があるのです。

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『おもてなし幻想』を紹介する 

 

それから、わたしはブログ『おもてなし幻想』で紹介した本の内容を中心に話しました。「デジタル時代の顧客満足と収益の関係」というサブタイトルがついています。「一般的に、顧客ロイヤリティを上げるには、感動的な顧客サービスが必要だと思われていますが、9万7千人のお客さまに、顧客サービスの対応経験について統計的な調査をしたところ、その結果は私たちの想定とはまったく異なるものだった!つまり、『感動的な顧客サービスは、顧客ロイヤリティを上げていくことには関係がなく、ある程度の顧客サービスを行っていれば、顧客ロイヤリティは一定に保たれる』ということだったのだ」と書かれています。

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社長訓示のようす 

 

同書では、「ひとが問題解決のために、顧客対応した場合、顧客ロイヤリティに4倍悪影響を及ぼす」と説く。たとえばその背景理由のひとつに、商品についてポジティブな体験をしても、25%しか周りに伝えないのに対して、顧客サービスでネガティブな経験をしたら、65%が周りに伝えるというのです。では、わたしたちはどのような顧客サービスを提供すれば良いのでしょうか?・・・・・・ヒントは、『顧客に努力をさせない』ことでした。

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社長訓示のようす

 

調査から得られたデータによると、企業に対してよい経験をした人のうちでそれを3人以下に話したという人が45%だったのに対し、嫌な経験を10人以上に話したと答えた人は48%でした。加えて、ウェブやソーシャルメディアは顧客にとって自分の意見を主張するとても手軽な手段だという厳しい現実があると指摘され、「ブログ、ツイッターフェイスブック、LinkedIn・・・・・・。これらは例外なく、顧客が声高に何百、何千、いや何百万ものあなたの現在の顧客や潜在顧客に働きかけることを可能にする。有名企業のフェイスブックのページを見てみれば、やたら目につくはずだ。サービスの悪さについて書かれたコメントだらけである。企業の不当な扱いを受けたと感じれば、顧客は世間にその事実をぶちまけて知ってもらおうとする」と述べられています。

f:id:shins2m:20190226171645j:plain『「おもてなし」という幻想』を紹介する

 

続いて、同じく「おもてなし」についての本として、ブログ『「おもてなし」という幻想』で紹介した本の内容について話しました。こちらは「10年先の日本をつくるインバウンド立国論」というサブタイトルがついています。数年前から消費者のニーズは「モノ」から「コト」に移ったと言われていますが、著者は以下のように述べています。
「アジアの富裕層は宝石や時計などの高級品やファッション、化粧品、食事より、最も旅行とレジャーにお金を費やすというデータもあります。やはり『モノ』ではなく『コト』、つまり体験にお金をかけるということです。JR九州が導入した豪華寝台列車の『ななつ星』は、2割が外国人客だと言われています。ななつ星は一番安くても1泊2日で1人30万~45万円、3泊4日では1人63万~93万円、最高料金となる展望客室は3泊4日コース2人利用料金で190万円という価格設定になっています」

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「モノ」から「コト」から「情」へ

 

 さらに「コト」の次に来るのは「情」ではないかという著者は、以下のように述べています。
「多くの国を訪れた私から見ると、日本ほど礼儀正しくて、思いやりのある国はありません。東日本大震災のときに、被災地で略奪が起きていない様子を見て、外国人は大変驚いていました。どこかで災害が起きると、すぐに支援物資があちこちから届いて、ボランティアが現地に続々と駆けつけます。そういう日本人の感情や友情、心情を外国人観光客にも向けられるようになれば、日本は世界から愛される国になるでしょう。日本は可能性に満ちた国なのです」

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ホスピタリティに終わりはない!

 

しかし、『「おもてなし」という幻想』で最も共感したのは、「ホスピタリティに終わりはない」として述べられた以下のくだりでした。
「今はAIに奪われる職業と生き残る職業についての話題をよく耳にします。また、インバウンドでのビッグデータをAIとどう連動させることができるか、等の勉強会や有識者委員会に招かれた事もあります。私は、AIが台頭しても人によるおもてなしはなくならないと考えています。モノやコトはAIでも提供できるでしょうが、『情』は人間にしか提供できないからです」
「やはり最後に残るのは人と人との触れあいなのでしょう。おもてなしは一番アナログでシステム化したくなる部分かもしれませんが、非効率だからこそ、人に感動を与えられるのではないでしょうか」

f:id:shins2m:20190226172512j:plain「IT社会」の本質とは?

疑いもなく、現代は高度情報社会そのものです。
高度情報社会は「IT社会」とも呼ばれます。拙著『最短で一流のビジネスマンになる!ドラッカー思考』(フォレスト出版)に書いたように、オーストリア生まれの経営学ピーター・ドラッカーは、早くから社会の「情報化」を唱え、後のIT革命を予言していました。ITとは、インフォメーション・テクノロジーの略です。ITで重要なのは、もちろんI(情報)であって、T(技術)ではありません。その情報にしても、技術、つまりコンピュータから出てくるものは、過去のものにすぎません。ドラッカーは、IT革命の本当の主役はまだ現われていないと言いました。本当の主役、本当の情報とは何でしょうか。

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「おもてなし」について

 

日本語で「情報」とは、「情」を「報(しら)」せるということ。情はいまでは「なさけ」と読むのが一般的ですが、『万葉集』などでは「こころ」と読まれています。わが国の古代人たちは、こころという平仮名に「心」ではなく「情」という漢字を当てました。求愛の歌、死者を悼む歌などで、自らのこころを報せたもの、それが万葉集だったのです。すなわち、情報の情とは、心の働きにほかなりません。本来の意味の情報とは、心の働きを相手に報せることなのです。
では、心の働きとは何か。それは、「思いやり」「感謝」「感動」「癒し」といったものです。そう、真の情報産業とは、けっしてIT産業のことではなく、ポジティブな心の働きをお客様に伝える産業、つまりは冠婚葬祭業に代表されるホスピタリティ・サービス業、おもてなし産業のことなのです。

f:id:shins2m:20190226174759j:plain日本のおもてなしを世界に輸出する!

 

そして、「日本のおもてなしを世界に輸出する」として、著者はこう述べるのでした。
「私は、日本は多くの外国人が何度も訪れるような観光先進国となる可能性を秘めていると思います。それは、日本のおもてなしは最高だからです。『外国人はおもてなしを受けるために日本に遊びに来るのではない』という意見もありますが、多くの外国人が日本人の親切さや丁寧さに感動して帰って行っています。自然や四季の多彩さ、伝統文化の奥深さも日本の魅力であるのは間違いありません。しかし、最後に心を動かすのはやはり人の『情』です。日本のおもてなしは世界で通用する一大産業なのです」
日本のおもてなしがこれから世界で通用する可能性とその方法について、わたしは『決定版 おもてなし入門』(実業之日本社)で詳しく述べました。「ジャパニーズ・ホスピタリティ」としての「おもてなし」はやはり最大級の時代のキーワードだと確信します。

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懇親会のようす

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挨拶する佐久間会長

社長訓話が終わった後は、松柏園の大広間で懇親会が開かれました。最初に佐久間会長が挨拶し、「わが社の仕事は、冠婚・葬祭・互助会からなる三位一体の事業です。三方良しの精神で頑張りましょう。今の日本が最も困っている問題は、少子高齢化です。婚活で世直しをしながら、わが社の冠婚部門の発展にもつなげていただきたい!」と述べました。

f:id:shins2m:20190226180103j:plain松柏園の大広間で

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カンパ~イ!

 

次にわたしが床の間の桃の花を指さして、「今日は、桃の花の色のネクタイをしてきました。もうすぐ春ですね。人生の春は結婚です。花嫁さんや花婿さんは人間界の花です。どうか、多くの花を咲かせるお手伝いがしたいものです」と述べました。それから、東常務の音頭で乾杯しました。

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懇親会のようす

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各地から参集したみなさんは、お酒や料理を楽しみながら会話の花を咲かせました。最後は、北陸本部の小久保事業部長による中締めの挨拶でした。小久保事業部長は、サンレー オリジナルの「末広がりの五本締め」で締めました。これをやると、みんなの心が本当にひとつになる気がします。その後も、松柏園のラウンジで二次会を開催。わが社のコンパは和気あいあいと続いたのであります。

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もうすぐ春です!

 

2019年2月27日 一条真也