リーダーシップとは、意義ある人生を生み出すこと(ドラッカー) 


一条真也です。
今回の名言は、経営学ドラッカーの言葉です。
ドラッカーは「マネジメント」とともに「リーダーシップ」についても多くの名言を残していますが、その中で「リーダーシップとは、意義ある人生を生み出すこと」という言葉がわたしは一番好きです。


新訳 現代の経営〈上〉 (ドラッカー選書)

新訳 現代の経営〈上〉 (ドラッカー選書)

人を導く者を日本語で「指導者」、英語で「リーダー」といいます。リーダーに求められるのがリーダーシップだと一般には思われています。しかし決して誤解してはならないことは、リーダーシップはいわゆる管理職の人間だけに必要なのではなく、会社なら社員全員が持つべきものなのです。
リーダーシップというと、いわゆる英雄たちが身につけていたような人間的魅力のことだと思うかもしれません。そして、そのような魅力は生まれつき人に備わっている資質であると思うかもしれません。ところが、ドラッカーは『現代の経営』(ダイヤモンド社)で述べています。
「リーダーシップとは、人を惹きつける資質ではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。リーダーシップとは、仲間をつくり人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない。」
(上田惇生訳)


未来企業―生き残る組織の条件

未来企業―生き残る組織の条件

しかし、リーダーシップが重要でないということではありません。
『未来企業』(ダイヤモンド社)において、ドラッカーはこうも言っています。
「リーダーシップは重要である。だがそれは、いわゆるリーダー的資質とは関係ない。カリスマ性とはさらに関係ない。神秘的なものではない。平凡で退屈なものである。」(上田惇生訳)
リーダーシップとは、人間の生き方そのものに関わっています。組織の階層構造は人間がつくったものです。それは、ときとしてリーダーシップのあり方を型にはめ、人が生まれながらに持っている貴重な才能を押し殺してしまうことがあります。けれども、そんな状況の下でも、リーダーシップを発揮することは誰にでもできるのです。



では、どうすれば自分の可能性を引き出し、伸ばすことができるのか。
それは、こういう問いにつながります。
「あなたの仕事は、人生を注ぎ込むに値するものだろうか?」
これほど大事な問題を、あなたはどう考えているのでしょうか。これは人間としての根本的な問いであり、一人ひとりの人生に関わる問いでもあります。誰もが、人の役に立ちたいと心の底で思っています。自分の存在が他人のやる気をくじいているのか、それとも逆に活気づけているのかということに、無関心でいてよいのでしょうか。



リーダーシップの本質とは、意義あるビジネスを生み出すこと、さらに言えば、意義ある人生を生み出すことにあります。過去と他人は変えられませんが、未来と自分は変えられます。変えられるのは自分だけであり、自分だけが自分を変えられるのです。自分の一番良いところを引き出すこと、自分の「強み」を生かすこと、自分の周囲に人々がのびのびと成長できるような環境をつくってあげること、これが真のリーダーシップではないでしょうか。
なお、今回のドラッカーの名言は『最短で一流のビジネスマンになる! ドラッカー思考』(フォレスト出版)にも登場します。


2018年7月21日 一条真也