MS責任者会議  

一条真也です。
18日、大阪で震度6弱の大きな地震が発生しました。
この地震の犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたします。
その日の日の午後から、 サンレーグループの全国MS責任者会議が行われました。MSとは「MEMBERS SERVICE(メンバーズ・サービス)」であり、「MORAL SUPPORT(モラル・サポート)」のことです。日々、「人の道」としての冠婚葬祭の重要性をお客様に説明している人たちです。
会議の冒頭、各種の表彰を行いました。


社長訓話前の一同礼!

優績者にトロフィーを渡しました

各種表彰を行いました

サンレーグループ全国MS責任者会議のようす



わたしは、16時半から、いつものように60分ほどの社長訓話をしました。
まずは、「モラルと冠婚葬祭」について話しました。厚生労働省の「平成27年(2015年)人口動態統計の年間推計」によれば、2015年の離婚件数は22万5000件にのぼります。1998年以降、日本人の離婚率が30%台を切ることはなく、3組に1組が離婚している状態が続いています。価値観の多様化といえば聞こえはいいですが、自由気ままに結婚し、子育てもいい加減にやり過ごした挙句、「価値観」の相違を理由に離婚してしまう。そんな日本人が増えています。


「モラルと冠婚葬祭」について話しました

『大学』の八条目について



中国の四書五経の1つである『大学』には八条目という思想があります。「格物 致知 誠意 正心 修身 斉家 治国 平天下」ですが、自己を修めて人として自立した者同士が結婚し、子どもを授かり家庭を築いていきます。国が治まり世界が平和になるかどうかは、「人生を修める」という姿勢にかかっているのです。かつての日本は、孔子の説いた「礼」を重んじる国でした。しかし、いまの日本人は「礼」を忘れつつあるばかりか、人間の尊厳や栄辱の何たるかも忘れているように思えてなりません。それは、戦後の日本人が「修業」「修養」「修身」「修学」という言葉で象徴される「修める」という覚悟を忘れてしまったからではないでしょうか。


「ナシ婚」の理由とは?



「みんなのウェディング」の「『ナシ婚』に関する調査2015」(有効回答数316)によれば、2014年の婚姻件数約65万組(厚生労働省2014年人口動態統計)に対し、結婚式件数は約35万組(2005年 サービス産業実態調査)、つまり入籍者のおよそ半数弱が結婚式をしていないと考えられます。このアンケートによれば、「ナシ婚」の三大理由は4年連続で、「経済的事情」「さずかり婚」「セレモニー的行為が嫌」となっています。これは、冠婚葬祭に代表される儀式の意味を子どもに教えることができなかった「この親」にして「この子」ありとでも言えばいいでしょうか。


荒れる成人式」から「直葬」へ



荒れる成人式」が社会問題となって久しいです。
毎年のように検挙される「若者ならぬ馬鹿者」が後を絶たない。成人式で「あれこれやらかす輩」が登場するのは1990年代の半ば以降だとか。いまの40歳以降の世代ですね。結婚式も挙げず、常軌を逸した成人を持つ親たちを待っているのは「直葬」という遺体処理です。この親たちは自分の両親を「家族葬」や「直葬」で送っていますが、果ては自分も子どもたちから「直葬」されるか、死んでも遺体処理もされず「生きていること」にされ、年金の不正受給の盾にされかねません。ブログ「万引き家族」で紹介した映画には、まさにそのような年金の不正受給が描かれていました。


日本人のモラルをサポートせよ!



家族以外の参列を拒否する「家族葬」という葬儀形態はかなり普及しています。この状況から、日本人のモラル・バリアはすでに葬儀にはなくなりつつあることは言を待たない。家族葬であっても宗教者が不在の無宗教が増加しています。インターネットで僧侶を依頼するのはまだ手厚いとすら考えることもできます。さらには、通夜も告別式も行わずに火葬場に直行する「直葬」も都市部を中心に広がっています。究極は遺骨を火葬場に捨ててくる「0葬」の登場です。しかしながら、わたしたちは「直葬」や「0葬」がいかに危険な思想を孕んでいるかを知らなければなりません。葬儀を行わずに遺体を焼却するという行為は、「人間の尊厳」を最も蹂躙するものなのです。


コミュニティセンターについて



続いて、わたしはコミュニティセンターについて話しました。
わが社は「セレモニーホールからコミュニティセンターへ」をスローガンに掲げています。従来の「葬儀をする施設」から「葬儀もする施設」への転換を目指しているのです。たとえば、各地の紫雲閣を「子ども110番の家」「赤ちゃんの駅」に登録したり、常備薬やAEDを設置したりしています。
さらには、「小倉紫雲閣」の大ホールに代表されるように、映画、演劇、音楽コンサートなども上演できる地域の文化の殿堂化をめざします。


高齢者のお手伝いをしたい!



サンレーの本社のある北九州市は日本一の超高齢都市として知られています。その中には、「八幡紫雲閣」がある八幡東区の大蔵のように坂道が多い街もあります。そこには多くの高齢者が住んでおられ、日々の買い物やゴミ出しにも苦労をしておられます。こういった問題を解決する「買い物支援」「ゴミ出し支援」にも積極的に取り組みます。これらの取り組みは、「日本経済新聞」や「日経MJ」などでも紹介されました。


セレモニーホールからコミュニティセンターへ!



セレモニーホールをコミュニティセンターに進化させるというのは、ある意味で「紫雲閣の寺院化」とうことでもあります。かつての寺院は、葬儀が行われる舞台でありながらも、近隣住民のコミュニティセンター、カルチャーセンターでもありました。仏教伝来以来1500年ものあいだ、日本の寺院は生活文化における3つの機能を持っていました。「学び・癒し・楽しみ」です。
まず、「学び」ですが、日本の教育史上最初に庶民に対して開かれた学校は、空海の創立した綜芸種智院でした。また江戸時代の教育を支えていたのは寺子屋でした。寺は庶民の学びの場だったのです。


寺院の機能とは何か?



次の「癒し」ですが、日本に仏教が渡来し最初に建立された寺である四天王寺は4つの施設からなっていました。「療薬院」「施薬院」「悲田院」「敬田院」の4つですが、最初の3つは、順に病院、薬局、家のない人々やハンセン病患者の救済施設であり、敬田院のみが儀式や修行を行う機関でした。
最後の「楽しみ」とは、いわゆる芸術文化のことを指しますが、日本文化ではそもそも芸術、芸能は神仏に奉納する芸であって、それ自体が宗教行為でした。お寺を新築するときの資金集めのための勧進興行などがお堂や境内で大々的に行われました。こう考えてみると、「学び・癒し・楽しみ」は仏教寺院がそもそも日本人の生活文化において担っていた機能でした。


「お寺ルネッサンス」に向かって



しかし、明治に入って、「学び」は学校へ、「癒し」は病院へ、「楽しみ」は劇場や放送へと、行政サービスや商業的サービスへと奪われてしまい、寺に残った機能は葬儀だけになってしまいました。「セレモニーホールからコミュニティセンターへ」というスローガンは、ある意味で寺院の本来の機能を蘇えらせる「お寺ルネッサンス」でもあるのです。そこでは、グリーフケアという「癒し」の機能を最重視します。


サンレーグランドホテル



思い起こせば、わが社は、2004年に高齢者複合施設「サンレーグランドホテル」を北九州市八幡西区に作りました。セレモニーホールと高齢者用のカルチャーセンターなどが合体した前代未聞の施設として大きな話題になりました。今では、「盆踊り」や「観月会」などの年中行事の舞台でもあります。そして、コミュニティセンターは長寿祝いの場であり、さらには死別の悲嘆を癒すグリーフケアの場でもあります。


人生を修めるお手伝いを!

最後は、もちろん一同礼!



サンレーの提供するサービスは、けっして葬儀だけではありません。
サンレー互助会の会員でいれば、葬儀だけでなく、さまざまなサービスを受けることができるのです。わたしたちは、「死んでから葬儀で使える互助会」ではなく、「生きているうちから使える互助会」をきちんと構築し、そのメリットを会員様に広く訴えていかなければなりません。そして、会員様が人生を修めるお手伝いをさせていただきたいものです。
なお、社長訓話後は、サンレー本社から松柏園ホテルに移動して、懇親会が開催されました。大いに飲み、語り合った一夜でした。



2018年6月19日 一条真也