儀式継創とは何か 

一条真也です。
18日、早朝から松柏園ホテルの神殿で月次祭が行われました。皇産霊神社の瀬津神職が神事を執り行って下さいました。祭主であるサンレーグループ佐久間進会長に続いて、わたしはサンレー社長として玉串奉奠を行いました。


月次祭のようす

玉串奉奠を行う佐久間会長

わたしも玉串奉奠を行いました

一同礼!

天道塾のようす

佐久間会長が訓話をしました



神事の後は、恒例の「天道塾」を開催しました。
サンレーグループ第二創業期を拓いてゆくために従来の「佐久間塾」および「平成心学塾」を統合して新たに創設された勉強会です。まずは、佐久間会長が訓話を行いました。会長は、ブログ「サンクスフェスタ八幡」で紹介した前日のイベントに言及し、最近の社葬事情についての感想を述べ、最後はホテル業界の動向などを説明しました。


わたしが登壇しました



その後、わたしが登壇しました。
わたしは最初にブログ「サンクスフェスタ八幡」で紹介した前日のイベントについて言及してから、ブログ「全互連総会 in 沖縄」ブログ「全互連懇親会 in 沖縄」で紹介した行事について報告しました。それから、懇親会の大トリで歌った「まつり」の前口上を披露しました。以下の通りです。
「初宮祝いに七五三、成人式に結婚式、長寿祝いに葬儀を経て、法事法要・・・・・・人生は祭りの連続でございます。そのお世話をするのが冠婚葬祭互助会。互助会の保守本流は全互連。今日は、全互連の第60回総会。ああ、めでたいなあ。嬉しいなあ。今日は祭りだ、祭りだ!!」


儀式なくして人生なし



ここでいう人生の「まつり」とは、人生儀礼です。通過儀礼ともいいますね。
わたしは、「儀式なくして人生なし」と考えています。
社会学者エミール・デュルケムは、ブログ『宗教生活の原初形態』で紹介した本の中で「さまざまな時限を区分して、初めて時間なるものを考察してみることができる」と述べています。これにならい、「儀式を行うことによって、人間は初めて人生を認識できる」と言えないでしょうか。


人間は儀式的動物である!



儀式とは世界における時間の初期設定であり、時間を区切ることです。
それは時間を肯定することであり、ひいては人生を肯定することなのです。さまざまな儀式がなければ、人間は時間も人生も認識することはできない。
まさに、「儀式なくして人生なし」ではありませんか!
儀式とは人類の行為の中で最古のものであり、哲学者ウィトゲンシュタインは「人間は儀式的動物である」との言葉を残しています。わたしは、儀式を行うことは人類の本能ではないかと考えます。本能であるならば、人類は未来永劫にわたって結婚式や葬儀を行うことでしょう。


儀式は「心」と「魂」のコントロール



さらに、「人間にとって儀式とは何か」について考えてみましょう。
わたしは、「カタチにはチカラがある」と考えています。「カタチ」というのは儀式のことです。儀式には力があるのです。儀式とは「心のコントロール術」であり、さらには「魂のコントロール術」です。
「体はウソをつかない。心はウソをつく。魂はウソをつけない」とは鎌田東二先生の名言ですが、心と魂に働きかけるテクノロジーが儀式です。七五三、成人式、結婚式、長寿祝い、葬儀・・・みんな、そうです。死後の法事・法要は故人の魂と遺族の心をコントロールします。


儀式の「継承」と「創新」について



ブログ「終わった人」にも書きましたが、定年後の人間の心も大きな不安に揺れ動いています。その配偶者や家族の心も不安です。ここに何らかの儀式を創新すべきではないでしょうか。全互協には儀式継創委員会という組織がありますが、ぜひ同委員会には、定年退職後の夫婦の絆を強めるような新しいセレモニーを考えていただきたいと思います。誕生、成長、成人、結婚、加齢、死亡といった多大なストレスからくる不安を解消する儀式はこれまで通り「継承」し、定年、離婚、独居、痴呆といった新しい不安を解消する儀式を「創新」する必要があると思います。


儀式文化について語りました



ちょうど明日、開催される同委員会に参加するため、わたしは東京に出張します。会議では委員のみなさんに最新刊『決定版 年中行事入門』(PHP研究所)をお配りする予定です。
いわゆる「儀式」とは、「人生儀礼」と「年中行事」に大別されます。
人生儀礼は一度限りで、年中行事は繰り返されるものですが、どちらも「時間を肯定する」という思想が共通しています。世の中には「変えてもいいもの」と「変えてはならないもの」があります。年中行事の多くは、変えてはならないものだと思います。なぜなら、それは日本人の「こころ」の備忘録であり、「たましい」の養分だからです。「これからも、わが社は儀式の継承と創新に努めていきたいものです」と訴えて、降壇しました。


高い志をもって頑張りましょう!

最後は、もちろん一同礼!



2018年6月18日 一条真也