一条真也です。
現在は大変な終活ブームで、日本初の終活専門誌「ソナエ」(産経新聞出版社)も注目を集めています。その最新号(2018年新春号)が出ました。
表紙の写真は、女優の高島礼子さんです。
また、「永六輔さん亡き妻に送った1500通のラブレター 愛娘・麻理さん語る」「人生最大のショック伴侶との死別 あなたの幸せが故人の願い」「よくわかるお墓の引っ越し 手続きは?いくらかかる?古い墓石は?」「認知症にも効く香りのチカラ」「柏木由紀子さん 家族で歌い継ぐ『坂本九』」「これだけは知っておきたい香典のエチケット」「高島礼子さん 父の介護を15年」といった活字が躍っています。
「一条真也の老福論」第14回
「ソナエ」は今大注目の雑誌ですが、わたしも連載ページを持っています。その名も「一条真也の老福論」。「人生の終い方」から「人生の修め方」へ・・・・・・豊かな「老い」と「死」を迎えるためのヒントを毎回ご紹介しています。第14回目のタイトルは「『唯葬論』という考え方」です。
わたしは、葬儀は人類の存在基盤であると考えています。
約7万年前に死者を埋葬したとされるネアンデルタール人たちは「他界」の観念を持っていたとされます。それは、「ホモ・サピエンス」と呼ばれるわたしたち現生人に受け継がれました。「人類の歴史は墓場から始まった」という言葉を聞いたことがありますが、確かに埋葬という行為には人類の本質が隠されているといえます。それは、古代のピラミッドや古墳を見てもよく理解できるのではないでしょうか。
わたしは人類の文明も文化も、その発展の根底には「死者への想い」があったと考えます。そして、埋葬は文化のシンボルであり、墓は文明のシンボルであると思えてなりません。世の中には「唯物論」「唯心論」をはじめ、岸田秀氏が唱えた「唯幻論」、養老孟司氏が唱えた「唯脳論」などがありますが、わたしは「唯葬論」という考え方を提唱しています。わたしは、「ホモ・フューネラル」という言葉を提起しているのですが、この言葉に表現されるように人間とは「葬儀をするヒト」であり、人間のすべての営みは「葬」というコンセプトに集約されると考えます。
最期のセレモニーである葬儀は人類の存続に関わってきました。
故人の魂を送ることはもちろんですが、残された人々の魂にもエネルギーを与えます。もし葬儀を行わなければ、配偶者や子供、家族の死によって遺族の心には大きな穴があき、おそらくは自死の連鎖が起きたことでしょう。葬儀という営みをやめれば、人が人でなくなります。葬儀というカタチは人類の滅亡を防ぐ知恵なのです。わたしは、問われるべきは「死」ではなく「葬」なのだと考えます。
- 作者: 一条真也
- 出版社/メーカー: サンガ
- 発売日: 2017/12/25
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終活読本ソナエ(vol.19(2018年新春号) よくわかるお墓の引っ越し/父の介護15年・高島礼子さん (NIKKO MOOK)
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2018年1月14日 一条真也拝