一条真也です。
平成30年(2018年)を無事に迎えることができました。
ブログ「初詣」に書いたように、今年も門司の皇産霊神社を参拝しました。
わが家では、いつものように正月の飾りをしました。
鏡餅はもちろん、羽子板や干支にあたる戌の置物も飾りました。
正月を迎えると、「ああ、自分は日本人なのだ」と実感します。

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拙著『決定版 おもてなし入門』(実業之日本社)にも書きましたが、正月には日本流「おもてなし」の原点があります。
もともと正月というのは、年神を迎える年中行事です。古い信仰の形では、年神は祖霊神としての性格が強かったといわれています。ですから、お盆とは対の関係にあったといえます。詳しくは、拙著『ご先祖さまとのつきあい方』(双葉新書)をお読み下さい。

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かつての日本では盆と正月にはふるさとに帰省して、家族で過ごすということが当たり前に行われてきました。特にお盆休みが娯楽性を高める今では、正月だけが家族の絆を深める習慣と言えるでしょう。大晦日から新年を家族で迎え、年に一度、親戚が集まって会食をする。そして孫たちが祖父母からお年玉をもらうという光景が当たり前でした。今では孫たちのお年玉は振り込んでほしい、という親もいるというのですから、お年玉が単なるお金のやりとりになってしまったのは、本当に残念です。
ブログ『大人のお作法』で紹介した本で、著者である國學院大學客員教授の岩下尚史氏は、「正月の本義」として以下のように述べています。
「『伝統芸能』だの『伝統文化』といった言葉がやたらと取り沙汰されるようになったのは、わたくしたちの暮らしの中で昔から伝承されてきたいろいろな型が、ついに消えてなくなってしまう前触れなのかもしれません。極端なことを言うようですが、正月だってそのうち実体がなくなるでしょうね。おそらく今の80代の人たちが絶える頃には、寺社は別としても、古風な信仰を保つ人たちを除いては、単なる1月になるだろうと、わたくしは見ています」

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日本には各種の年中行事がありますが、その最たるものが正月です。
年中行事は、なぜ大切か。岩下氏は以下のように述べます。
「年中行事を大切にする心がけがあれば、生活に抑揚も出ます。
春の宵に内裏を飾り、端午の菖蒲冑に邪気を払い、七夕の五色の糸に願いを掛け、菊の着せ綿の香も高く、名月に畑の幸を供えて福徳を祈るなど・・・・・・季節ごとの風流を手取り足取り教えれば、書物からは決して得ることのできない、しめやかな情愛が子供に沁み込むことでしょう」
民俗学者の折口信夫は、年中行事を「生活の古典」と呼びました。
彼は、『古事記』や『万葉集』や『源氏物語』などの「書物の古典」とともに、正月、雛祭り、七夕、盆などの「生活の古典」が日本人の心にとって必要であると喝破しました。この観点から、わたしは今、年中行事についての入門書を書いています。来春、PHP研究所より刊行の予定です。日本人の「こころの未来」のため心を込めて書きますので、どうぞお楽しみに!
2017年1月1日 一条真也拝