「敬老の日」の翌日に

一条真也です。
18日、早朝から松柏園ホテルの神殿で月次祭が行われました。皇産霊神社の瀬津神職が神事を執り行って下さいました。祭主であるサンレーグループ佐久間進会長に続いて、わたしはサンレー社長として玉串奉奠を行いました。

f:id:shins2m:20180918080743j:plain月次祭のようす

f:id:shins2m:20180918081817j:plain玉串奉奠を行う佐久間会長

f:id:shins2m:20180918081855j:plainわたしも玉串奉奠を行いました

f:id:shins2m:20180918080454j:plain一同礼!

f:id:shins2m:20180918085011j:plain天道塾のようす

f:id:shins2m:20180918083921j:plain佐久間会長が訓話をしました

神事の後は、恒例の「天道塾」を開催しました。
サンレーグループ第二創業期を拓いてゆくために従来の「佐久間塾」および「平成心学塾」を統合して新たに創設された勉強会です。まずは、佐久間会長が訓話を行いました。会長は、昨日の「敬老の日」に言及した後、卑弥呼聖徳太子、「かたち」の文化、守破離・・・・・・さまざまな話題を取り上げて、冠婚葬祭の意義について語りました。

f:id:shins2m:20180918092056j:plainわたしが登壇しました


その後、わたしが登壇しました。わたしは最初に、想定外の事態で法令試験を来月受けることになり、ここのところ勉強をしていることを話しました。他人が1年半かけてする勉強を約1ヵ月で仕上げなければなりません。毎日、字の小さい法律書と首っ引きなので、たいそう疲れます。「しかし、会社のために社長が頑張らなくてどうするか!」と述べました。それから、最近世間を賑わせている「パワハラ」「セクハラ」問題に触れ、結局は「礼」の問題であると指摘しました。「礼」とは、わが社のミッションである「人間尊重」であり、その心を忘れなければ「ハラスメント」などありえません。

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敬老の日」について話しました 


続いて、「敬老の日」の話題に移りました。
厚生労働省は毎年、敬老の日を前に、住民基本台帳をもとに100歳以上の高齢者を調査していますが、それによれば、今月1日の時点で、100歳以上の高齢者は全国で6万9785人と、去年より2014人増え、48年連続で過去最多を更新しました。男性が8331人、女性が6万1454人で、女性が全体の88.1%を占めています。

f:id:shins2m:20180918091904j:plain田中カ子さんに感動しました 


国内の最高齢は福岡市に住む田中カ子(かね)さんで、明治36年1月生まれの115歳です。福岡市東区の老人ホームで暮らす田中さんは、「老人の日」の前日、福岡市の高島市長の表敬を受けて花束をプレゼントされました。田中さんは、海外旅行などこれまでの人生で経験したことを語り、「人生楽しいです。最高です」と語りました。好奇心旺盛な田中さんですが、「何かしたいことはありますか?」と質問されると、「もう少し生きてみたい!」と言いました。この言葉に、わたしはものすごく感動しました。

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超高齢社会のこれから 


それにしても、7万人も100歳以上の老人がいる超高齢社会の日本は、これからどうなるのか。わたしは、ブログ『未来の年表2』で紹介した産経新聞論説委員の河合雅司氏の著書の内容を紹介しました。同書の「はじめに」で、河合氏は以下のように書いています。
「日本は劇的に変わっていく。例えば、25年後の2043年の社会を覗いてみよう。年間出生数は現在の4分の3の71万7000人に減る。すでに出生届ゼロという自治体が誕生しているが、地域によっては小中学校がすべて廃校となり、災害時の避難所設営に困るところが出始める。20~64歳の働き手世代は、2015年から1818万8000人も減る。社員を集められないことによる廃業が相次ぎ、ベテラン社員ばかりとなった企業ではマンネリ続きで、新たなヒット商品がなかなか生まれない。
高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は36.4%にまで進む。高齢者の数が増えるのもさることながら、80代以上の『高齢化した高齢者』で、しかも『独り暮らし』という人が多数を占める」

 

 

こうした高齢者が街中に溢れる社会とは、一体どんな様子なのでしょうか。河合氏は以下のように述べます。
「いま、東京や大阪といった大都会では、ラッシュアワーには5分と待たずに電車やバスがやってくる。なぜ、そんな過密ダイヤで運行できるのかといえば、乗客の大多数が人の流れについていける『若い世代』だからだ。たまに、車いすを使う障害者や杖をついた高齢者が、駅員の手を借りて乗降する場面に出くわす。ただ、それはあくまで少数派であり、駅員の手際よい作業でそんなに多くの待ち時間を要するわけではない。
しかし、2043年とは、総人口の7人に1人が80歳以上という社会だ。独り暮らしであるがゆえに否応なしに外出する機会は増えるが、若い世代の『流れ』についていける人ばかりではない。こんな過密ダイヤはとても続けられない」

f:id:shins2m:20180918094326j:plain2043年の日本社会とは


同書の第1部「人口減少カタログ」の序「国民の5人に1人が、古希を超えている」では、「高齢者の3人に1人が80代以上」として、こう書かれています。
「日本の高齢社会の特徴として、(1)高齢者の『高齢化』に加え、(2)独り暮らしの高齢者、(3)女性高齢者、(4)低年金・無年金の貧しい高齢者――の増大が挙げられる。このうち、すぐに社会に影響を及ぼしそうなのが、『高齢化した高齢者』および『独り暮らしの高齢者』の増大であろうと考える」

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葬儀の笑えない話

 

「笑えない実話」として、河合氏は親の葬儀の問題を取り上げます。
「親の葬儀も大変だ。高齢社会の次には『多死社会』がやってくる。前著『未来の年表』では火葬場の不足を取り上げたのだが、足りなくなるのは火葬場だけではない。私の知人には、火葬場の予約はできたものの住職の都合がつかず、結局は10日待ちとなった人もいる。
少子化の影響は、お寺も例外ではない。跡取り不足による廃寺や、住職がいないがために、1人の住職が複数のお寺を掛け持ちする場合もあるという。今後、葬式も法事も、自分たちが思い描いたスケジュール通りには進まないというケースが増えるだろう」

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「人生の修め方」が大切


この他、『未来の年表』には気分が滅入るような未来予測がたくさん書かれています。たしかに、これから大変な時代を迎えることは確かでしょう。こんな中、「終活」に関心を持つ人が多くなってきました。そんな「終活」の国内最大イベントが東京ビッグサイトで開催される「エンディング産業展」です。ブログ「エンディング産業展講演」で紹介したように、8月24日の11時から、わたしは「人生の修め方~『終活』の新しいかたち~」という講演を行いました。開場前から講演会場前には長蛇の列ができて、おかげさまで会場は超満員となりました。中に入れない方もいたほどでした。

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老いと死があってこそ人生!


冒頭、わたしは「アンチエイジング」という言葉についての異論を唱えました。これは「『老い』を否定する考え方ですが、これは良くありませんね」と述べました。そして、わたしは「老いと死があってこそ人生!」という話をしました。サミュエル・ウルマンの「青春」という詩がありますが、その根底には「青春」「若さ」にこそ価値があり、老いていくことは人生の敗北者であるといった考え方がうかがえます。おそらく「若さ」と「老い」が二元的に対立するものであるという見方に問題があるのでしょう。「若さ」と「老い」は対立するものではなく、またそれぞれ独立したひとつの現象でもなく、人生というフレームの中でとらえる必要があります。

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「人生の五計」とは


理想の人生を過ごすということでは、南宋の朱新仲が「人生の五計」を説きました。それは「生計」「身計」「家計」「老計」「死計」の5つのライフプランです。朱新仲は見識のある官吏でしたが、南宋の宰相であった秦檜に憎まれて辺地に流され、その地で悠々と自然を愛し、その地の人々に深く慕われながら人生を送ったといいます。そのときに人間として生きるための人生のグランドデザインとでも呼ぶべき「人生の五計」について考えたのでした。

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老年期は実りの秋である!


それからわたしは、「老年期は実りの秋である!」という話をしました。今年の夏は本当に暑かったですね。わたしは50代の前半ですが、若い頃と違って暑さが体にこたえます。昔は夏が好きだったのですが、今では嫌いになりました。四季の中では、秋が好きです。古代中国の思想では人生を四季にたとえ、五行説による色がそれぞれ与えられていました。すなわち、「玄冬」「青春」「朱夏」「白秋」です。

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インドのライフサイクルを説明 


インドにも「老い」をテーマにしたライフライクルがありました。
ヒンドゥー教の「四住期」という考え方です。これは理想的な人生の過ごし方というべきもので、人間の一生を「学生期」「家住期」「林住期」「遊行期」の4つの段階に分けて考えます。最後の遊行期は、この世へのいっさいの執着を捨て去って、乞食となって巡礼して歩き、永遠の自己との同一化に生きようとしたのです。

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実りのある人生を考えよう!


こうして歴史をひもといていくと、人類は「いかに老いを豊かにするか」ということを考えてきたといえます。「老後を豊かにし、充実した時間のなかで死を迎える」ということに、人類はその英知を結集してきたわけです。人生100年時代を迎え、超高齢化社会現代日本は、人類の目標とでもいうべき「豊かな老後」の実現を目指す先進国になることができるはずです。その一員として、実りある人生を考えていきたいものです。

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死生観の確立を!


究極の「修活」とは死生観を確立することではないでしょうか。死なない人はいませんし、死は万人に訪れるものですから、死の不安を乗り越え、死を穏やかに迎えられる死生観を持つことが大事だと思います。ブログ『響~小説家になる方法~』で紹介したマンガが大きな注目を集めています。女子高生の鮎喰響が15歳の史上最年少で芥川賞直木賞をW受賞するというストーリーですが、彼女が書いた小説は「お伽の庭」といって死生観を描いたものでした。今後の展開で、彼女の小説は日本人の死生観に大きな革命を起こすことが予想されますが、まさに現在の日本人が最も求めているのが死生観だと思います。

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さあ、互助会の出番だ!


そして、ここで冠婚葬祭互助会の役割が大きくなってきます。互助会の会員さんは、そのほとんどが葬儀を前提とした高齢者の方々です。互助会は日本人の葬送文化を支えているわけですが、わたしは「亡くなったら葬儀をします」だけでは互助会の未来はないと思っています。会員さんがお元気なうちにお役に立てる互助会でなければなりません。そこで重要になってくるのが死生観です。高齢の会員様に「老いる覚悟」と「死ぬ覚悟」を自然に抱いていただけるようなお手伝いができれば、互助会の役割はさらに大きくなるでしょう。

f:id:shins2m:20180918095036j:plain最後は、もちろん一同礼!


その冠婚葬祭互助会の保守本流が全国冠婚葬祭互助会連盟(全互連)ですが、今日の夕方、全互連60周年記念募集イベント交流会が東京で開催されます。わが社からも、森さん、清澄さん、徳田さんという3人のスーパースターを連れていきます。全国の互助会のスーパースターたちが初めて会するわけですが、わたしが全互連会長時代に発案・提案したこともあり、感無量です。交流会では乾杯の音頭を取らせていただきますが、わたしは「日本人の儀式文化と相互扶助の心を守る互助会営業は最高の仕事です!」と訴えたいと思っています。最後に、「ぜひ、高い志を持って頑張りましょう!」と言って、降壇しました。その後、待たせてあった車に乗って北九州空港へと向かいました。

 

 

2018年9月18日 一条真也