大切なものは目に見えない(サン=テグジュペリ)   


一条真也です。
今回は、フランスの作家サン=テグジュぺリの言葉です。
彼の代表作『星の王子さま』には、「本当に大切なものは目に見えない」という有名な言葉が出てきます。わたしが心の支えにしている言葉です。


星の王子さま―オリジナル版

星の王子さま―オリジナル版

サービス業、それもホテル業や冠婚葬祭業のようなホスピタリティ・サービス業の価値とは何でしょうか。それは、ずばり、目に見えないものを扱うことです。思いやり、感謝、感動、癒し、夢、希望など、この世には目には見えないけれども存在する大切なものがたくさんある。そして、その目に見えない本当に大切なものを売る仕事がサービス業なのですね。



製造業はモノを残し、建設業は地図に残る仕事です。
ならば、サービス業とは心に残る仕事にほかなりません。愛用している自動車やパソコン、またビルや橋を見ても、それに関わった人たちの顔は浮かんできません。でも、サービス業は違います。サービス業とは、サービスしてくれた人の顔が浮かんでくる仕事です。お客様の心に自分の顔が浮かんでくる仕事、こんな贅沢なことはありませんね。



見えないものを形にして、目に見えるようにすることほど素敵なことはありません。そんなことが可能なのかと思うかもしれませんが、もちろん可能です。見えないものを形にするとは、茶道、華道、日本舞踊などの芸道がそうですし、剣道や柔道などの武道もそうです。ヨガや気功なども含めて、一般に身体技法というものは見えないものを見えるようにする技術なのです。広い意味での芸術や芸能もそうです。それらは、「こころ」を「かたち」にするテクノロジーだと言えるでしょう。



そして、サービス業において見えないものを形にする技術とは何か。
それは、挨拶、おじぎ、しぐさ、笑顔、愛語、といったものです。
わたしたちが普段から心がけているこれらのものこそ、本当に大切なものを目に見える形でお客様に提供することができます。
挨拶にしてもお辞儀にしても、もちろんマニュアルがありますね。マニュアルに書かれた、また上司や先輩から指導された基本は、繰り返し行ない、徹底してゆくことが必要です。それらが無意識に行なえるレベルにまで高まったとき、やっと一流のプロのサービスマンと呼べるでしょう。そして、「サービス」は「ホスピタリティ」へと進化します。
なお今回の名言は、わたしが本名で書いた『ホスピタリティ・カンパニー』(三五館)でも紹介しました。


ホスピタリティ・カンパニー

ホスピタリティ・カンパニー

2017年11月30日 一条真也