「ザ・サークル」

一条真也です。
10日に公開された「ザ・サークル」を観ました。
ブログ「美女と野獣」で紹介した映画に続くエマ・ワトソンの主演作ですが、トム・ハンクスとの豪華共演でSNS企業の恐怖を描いています。


ヤフー映画の「解説」には以下のように書かれています。
「『美女と野獣』などのエマ・ワトソントム・ハンクスと共演した、巨大なソーシャル・ネットワーキング・サービスがもたらす脅威を描くサスペンス。SNS企業に就職し、自らの24時間を公開することで世界中から注目されるヒロインを通して、想像もしなかった事態を映し出す。監督を『人生はローリングストーン』などのジェームズ・ポンソルトが務める。ジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、エラー・コルトレーンビル・パクストンらが共演」



また、ヤフー映画の「あらすじ」には以下のように書かれています。
「世界一のシェアを誇るSNS企業『サークル』に勤めることになったメイ(エマ・ワトソン)。サークルの経営者ベイリー(トム・ハンクス)は、オープンでシェアし合う社会を理想としていた。ある日、新サービスが発表され、メイは自らの24時間をネットワークで全世界に公開するモデルケースに選ばれる。すぐさまメイは1,000万以上のフォロワーに注目されるようになるが・・・・・・」


さて、公開初日に観た「ザ・サークル」ですが、ガッカリしました。
SNSの恐怖というテーマそのものは興味深いし、エマ・ワトソントム・ハンクスの主演というのも話題性満点ですが、とにかく脚本がダメダメでした。物語の展開や人物描写もすべてが中途半端に終わっています。
ここまで言うのも何ですが、恐ろしく完成度の低い作品でした。
あと、前半の画面が暗くて眠くなり、かなりの時間を睡眠に費やしてしまったように思います。まあ、それだけ面白くなかったということですね。


エマ・ワトソン演じるメイの実家の様子も照明が暗くてイライラしたのですが、せっかく若くて美しい女性の私生活を24時間覗けるのだから、もっとセクシーなシーンがあっても良かったと思います。
まあ、メイの両親の秘め事は全世界に公開されてしまいましたが、あれは、ただただ「イタい」出来事でしかありませんでしたね。


トム・ハンクスはIT企業の経営者であるベイリーを淡々と演じていました。こいつがもっと悪い奴だともっと面白かったのでしょうが、悪さ加減も中途半端で、とにかく観ていてストレスがたまりました。劇中でベイリーが行うプレゼンの場面はスティーブ・ジョブズを彷彿させますが、「今さら、なんだかなあ」と思ってしまいます。だいたい、この人、いつもジーンズ履いてコーヒー飲んでるけど、あまりにもステレオタイプなIT社長という感じですね。


さて、サークル社は世界ナンバーワンのシェアを誇る超巨大SNS企業です。憧れの企業に採用されたメイは、ある事件をきっかけに、カリスマ経営者のベイリーによって、超小型カメラによる新サービス「シーチェンジ」のモデルケースに大抜擢されます。自らの生活をすべてカメラの前にさらけ出したメイは、またたく間に1000万人超のフォロワーを得てアイドル的な存在になるのでした。


ザ・サークル」の日本版宣伝用コピーは「『いいね!』のために、生きている。」です。残念ながら、この映画は「いいね!」とは言われないでしょう。「いいね!」といえば、わたしは、ブログ『群れない力』で紹介した本に登場する「なにが『いいね!』だ!」という言葉を思い出してしまいます。
世の中にはフェイスブックをやっている人が多いようですが、わたしは思うところあってフェイスブックをやりません。よく「フェイスブックで友達申請しました」などの言葉を聞くたびに、ミョーな違和感を感じてしまいます。また、「いいね!」にもある種の違和感を感じていましたので、同書の著者である関口智弘氏の言葉に深く共感しました。最高のキーワードである「なにが『いいね』だ!」について、関口氏は次のように喝破します。
「な〜にが『いいね』だ。つーか、誰だよお前?って感じの、よくわからない、向こうはこっちを知っているのかもしれないけど、こっちは誰だかわからないような人からのコミュニケーションのオファー。気持ち悪いんで、自宅に呼んで一緒に飯を食ってもいいと思うような人以外は、全員バッサバッサと消しまくりました」


また、SNSの脅威という点では、ブログ「スノーデン」で紹介した映画も思い出しました。この映画を観て、「震撼した」とか「スマホをいじるのが怖くなった」とかいう人がいたそうですが、わたしはそんな感情は少しも抱きませんでした。もともと国家とは、そういうものだと思うからです。
インターネットそのものがアメリカの発明ですが、最初から隠し事をせず、堂々と「すべての情報はアメリカ合衆国が管理します」と宣言すればよかったのでしゃないでしょうか。だって、アメリカのような多民族国家が、国民を監視するのは不思議でも何でもないと思います。
わたしのように頼まれもしないのに毎日ブログを書いて自分の個人情報をダダ漏れさせている人間からすれば、どうでもいいことです。自分から言いたいことを発信するのはいいですが、ネットの履歴とか購入データなどを勝手に利用されたりするのはノー・サンキューですね。


現代社会において個人情報が完璧に保護されているというのは、もはや幻想に過ぎません。『超監視社会』ブルース・シュナイアー著、池村千秋訳(草思社)のアマゾン「内容紹介」には次のように書かれています。
スマホの履歴やオンラインでの購買履歴、グーグルでの検索、フェイスブックの利用だけで、あなたの性癖はバレている――。すべてがネットにつながれる時代、詳細な個人情報は巨大企業が握り、データは国家による個人の監視強化を促し、私たちは超監視社会とも呼ぶべき社会を生きている。コンピュータセキュリティの専門家がネットの向こう側から見たこの社会の危うさに警鐘を鳴らす。何気ないネット、スマホ利用から想像を超える情報監視が進む実態を赤裸々に描いた衝撃の一冊」


わたしはSNSが嫌いです。フェイスブックは絶対にやらないし、インスタグラムもやりません。「写真だけ撮って、どうすんの?」という感じです。さらには、ラインさえやりません。最近、娘にメールを送っても返信してこないので注意すると、「いま、ラインの時代だよ」と言いやがります。どうも、娘や妻はラインをやっているようなので、何かの陰謀に巻き込まれないかと心配しています。また、わたしはツイッタ―もやりません。「バカ製造機」の異名をもつツイッタ―ですが、文字数の少なさもトラブル多発の原因だと思います。
だいたい、140字以内で言いたいことが言えますか!  
なので、今日も数千字の文字をブログに書き込むのでした。こんなわたしですが、なぜか毎日のように「広瀬すず」さんから一方的にツイートが送信されてきます。フォロワー登録していないのに、一体どうして??
理由がわからず不可解ですが、彼女は「かわいい」としか言えませんので、ツイートなんか送られるより、直接本人に会いたいです!


2017年11月10日 一条真也