世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない(宮沢賢治)


一条真也です。
今回は、日本の詩人で童話作家宮沢賢治の言葉を紹介します。
賢治は、1926年に『農民芸術概論綱要』を書きました。
『農民芸術概論綱要』は、途方もない巨大なスケールを持った思想書です。


その「序論」には、「われらはいっしょにこれから何を論ずるか」と書かれています。また、その言葉に続いて、以下のように書かれています。



おれたちはみな農民である ずいぶん忙しく仕事もつらい
もっと明るく生き生きと生活をする道を見付けたい
われらの古い師父たちの中にはそういう人も応々あった
近代科学の実証と求道者たちの実験と
われらの直観の一致に於て論じたい
世界がぜんたい幸福にならないうちは
個人の幸福はあり得ない
自我の意識は個人から集団社会宇宙と次第に進化する
この方向は古い聖者の踏みまた教えた道ではないか
新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある
正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識して
これに応じて行くことである
われらは世界のまことの幸福を索ねよう 
求道すでに道である
(『農民芸術概論綱要』序論より)



この賢治の言葉に触発されたわたしは、「ハートピア」という言葉を思いつきました。心の理想郷としての「ハートピア」には2つの種類があります。
ひとつは天国とか極楽とか呼ばれる、あの世の 理想郷のことで、これをハートピア・ゼアと呼びます。
もうひとつは、この世でわれわれが創造するべき愛と平和 の波動に包まれた心の共同体で、これをハートピア・ヒアと呼びます。



ハートピア・ヒアは幸福な人々がつながった心のネットワークです。 真の心の理想郷は、私的幸福である「ハートフル」と公的幸福である「ハートピア」が調和して初めて生まれます。また、わたしたちの心は一見バラバラのようでも実は深いところでつながっていることを心理学者のカール・グスタフユングは発見しました。ユングはすべての人間の心に共通する底流があると考え、それを「集合的無意識」と 名付けました。



われわれの心が深部でつながっているのなら、賢治のいうように「世界が一の意識になり」 「世界のまことの幸福」を獲得することも夢ではないはずです。そのときこそ、ハートピア・ヒアがわれわれ の前に出現するのだと、わたしは信じています。なお、今回の宮沢賢治の名言は『ハートビジネス宣言』(東急エージェンシー)にも登場します。


ハートビジネス宣言』(東急エージェンシー



2017年10月21日 一条真也