食人夫婦と殺人ピエロ

一条真也です。
8月26日、ホラー映画の巨匠トビー・フーパー監督が米カリフォルニア州で死去しました。74年の生涯でしたが、映画「悪魔のいけにえ」で1974年にデビューし、その後のホラー映画に強い影響を与えたことで知られます。ファンだったフーパー監督の訃報に接したわたしは、追悼の想いを込めて「悪魔のいけにえ」のDVDを観ましたが、やはり半端なく怖い作品でした。間違いなく、ホラー映画の歴史に残る名作と言えるでしょう。

しかし、フーパー監督の死去からちょうど1ヵ月の9月26日、CNNがとんでもないニュースを配信してきました。
殺人と人肉食の容疑で夫婦逮捕、30人被害か ロシア」の見出しで、以下のように書かれています。
「ロシア国営メディアは25日、南部クラスノダール地方で複数の被害者を殺害して遺体の一部を食べていたとして、35歳の男とその妻が警察に逮捕されたと伝えた。1999年以来、30人もの人々が殺害された可能性もあるとされ、捜査当局はロシア史上、最悪級の人肉食事件とみて調べている。RIAノーボスチ通信によると、今月に入り、クラスノダールの路上に落ちていた携帯電話から、バラバラにされた女性の遺体の前で自撮りした男の写真が見つかった。この女性の遺体は翌日になって、付近にあったかばんの中から発見された。携帯電話の持ち主の男は当初、女性の殺害を否定。遺体を見つけて一緒に写真を撮った後、携帯電話をなくしたと主張していた。しかしその後、この女性と、2012年に殺害された別の人物の2人について、殺害を認めたという。
これまでの捜査では、加工された人の手が入ったガラス容器が見つかった。容疑者の男はこの手について、一緒に写真を自撮りした遺体の一部だと供述しているという。警察はこれまでのところ、被害者7人の身元を特定したが、多くの被害者については現時点で詳しいことは分かっていない。
モスクワの捜査委員会はCNNの取材に対し、事件の詳細を認め、ロシアで発生した連続殺人事件の最新のものだとした。今年に入り、元警察官のミハイル・ポプコフ被告がすでに受けていた22件の有罪判決に加えて、60件の殺人で起訴された。同被告は20年近くにわたって犯行を行っていたという」


このニュースを知ったわたしは仰天し、「事実はホラー映画よりも奇なり!」と思いましたが、30日になってまたもやCNNが恐怖のニュースを配信しました。「『殺人ピエロ』の犯人か、事件から27年後に女逮捕」の見出しで、以下のように書かれています。
「米フロリダ州ウェストパームビーチ郊外の自宅で1990年、息子やその友人と食事をしていた女性がピエロの格好の人物に殺害された事件で、同州パームビーチ郡の保安官事務所は30日までに、殺害現場から約1300キロ離れたバージニア州アビンドンで容疑者の女を逮捕したと明らかにした。
シーラ・キーン容疑者(54)は殺害された女性の夫と事件の12年後に結婚していた。26日に逮捕され、殺人罪で訴追された。パームビーチ郡の検察当局によれば、検察は容疑者がフロリダ州に戻り次第、死刑を求刑するか明らかにするという。
事件では90年5月26日、女性の自宅敷地内の道路に白い車が進入。当局によれば、ピエロの格好をして風船2つと花を持つ人物が車から現れた。女性が玄関で応対したところ、ピエロは贈り物を手渡したという。ピエロはこの後、銃を取り出して女性の顔面に発砲し、車に戻って静かに去って行った。女性は2日後に病院で死亡した。捜査当局は当時、容疑者を特定したものの、有罪に持ち込むのに十分な証拠がないとしていた。
長年にわたり事件の突破口を開けない状況が続いていたが、同保安官事務所の未解決事件担当班は2014年に捜査を再開。目撃者に改めて事情聴取を行ったほか、1990年当時は利用できなかったDNA技術を使って証拠を調べたという。また、容疑者が殺害された女性の夫と2002年に結婚していたことも発覚。バージニア州ワシントン郡の保安官によれば、容疑者が逮捕された際、2人は一緒に車に乗っていた。フロリダ捜査当局は、夫は訴追されていないものの引き続き調べを進める方針だとしている。
最初の捜査時にも2人は男女関係にあるとのうわさがあったが、当時2人は否定していた。捜査員らは今回の逮捕に当たり、事件当日に容疑者の自宅近くの小売店で風船や花が購入されたことを突き止めていると言及。ただ捜査が進行中のため、DNA鑑定で補強された証拠を含め詳細を明らかにしていない」


ピエロはその外見だけでも怖いのに、殺人ピエロとは!
スティーヴン・キオド監督の「キラークラウン」そのものではないですか!
なんでも、このところ世界各地で、不気味なピエロの格好で人を脅かすという悪質ないたずらが多発しているそうです。このいたずらはアメリカで流行し、その後イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、オランダなど、世界中を巻き込んでの騒ぎとなっています。まあ、ピエロのメイクや扮装をしていれば素顔がわからないので、犯罪をおかすには恰好かもしれませんね。それにしても、ピエロから殺される被害者の恐怖は想像に余りあります。


今夜、『21世紀ホラームービー年代記山崎圭司/岡本敦士+別冊映画秘宝編集部:編(洋泉社)という本を読みながら、「これから、どんなホラー映画が作られるかな?」などと考えていたのですが、このロシアの食人夫婦とアメリカの殺人ピエロは確実にホラー映画のモデルとなることでしょう。
いやあ、世界には、とんでもない殺人鬼がいるものですね!!



2017年9月30日 一条真也