松永文庫

一条真也です。
各地で大雨の被害が甚大ですが、北九州でも猛烈な豪雨が降りました。
そんな中、5日の午前中にブログ『映画という物体X』でも紹介した北九州市門司にある映画史料館の「松永文庫」を訪れました。


松永文庫にて

松永文庫の概要


公式HPには以下のように説明されています。
松永文庫は1997年に(平成9年)10月、松永武門司区長谷)が映画研究ためにおよそ60年にわたって収集した映画芸能関連の資料を、自宅を開放して無料公開し誕生しました。2009年(平成21年)11月、これらの資料すべてを北九州市に寄贈。北九州市文化施設として、門司市民会館内(門司区老松町)で無料一般公開されました。2013年(平成25年)からは、旧大連航路上屋にて資料展示を行っています」


入口を入ると・・・・・・

松永文庫のようす


「フィルム・アーカイブの眼で見た映画」というサブタイトルがついた『映画という《物体X》』(立東舎)の第3章「映画保存の周辺」では、著者の岡田秀則氏が「映画はなくても映画史は立ち上がる」として、以下のように「松永文庫」について以下のように述べています。
「そこには具体的なドキュメントが、人の声が、建造物の記憶が、用意されていなければならない。北九州の『松永文庫』の所蔵コレクションで特に大きな価値を感じるのは、戦前期に地元の劇場がそれぞれ発行していた週刊の映画館プログラムであり、地元の興行主が保存していた資料である。この小さくて薄っぺらな映画館プログラムは、どの地域においてもローカルな映画史の姿を教えてくれる最高のドキュメントである。
地方の『館プロ』は東京ではまず入手が困難であり、また活用の面でも、その地域にあってこそ生きてくる資料だ。『過去』を『現在』として、すぐに眼前に引き出せること。それに名前をつけたものを私たちは『アーカイブ』と呼ぶのではないか。だから、『アーカイブ』はむしろ『レトロ』とは逆のベクトルを持つ概念だと感じる」


「スポーツ映画資料展」が開催中!

「格闘技」コーナーもありました

なつかしいボクシング映画が・・・

高倉健が座ったベンチに座る



この日は、「スポーツ映画資料展」が開催中で、柔道やボクシングなどの格闘技やプロレス関連の映画のポスターなども展示されていました。
門司港ロケで知られる映画「あなたへ」で実際に主演の高倉健が座ったベンチなども置かれ、人気を呼んでいました。


松永室長、内海さんと



松永武氏は、1935年(昭和10年)門司生まれ。
19歳で映画監督を目指して京都へ。その後、海運関係の仕事に従事しながら、映画研究のため資料の収集を始めました。現在、松永文庫室長として北九州市の映画、芸能文化の発展に精力的に寄与しておられます。
この日は、「出版寅さん」こと内海準二さんが東京から来ていたので、3人で記念撮影しました。松永文庫は「旧大連航路上屋」にあります。
そう、ここはブログ「仏教文化交流シンポジウム」で紹介したイベントの会場でもありました。そのときのパネルディスカッションでコーディネーターを務めたのが、まさに内海さんだったのです。


仏教文化交流シンポジウム」(2013年9月21日)のようす



じつは、日本最初の総合葬祭会館として知られる小倉紫雲閣の大ホールを映画館としても使う計画があり、そのオープン記念イベントして「死を乗り越える映画シンポジウム」の開催を企画しています。パネルディスカッションでは、松永室長やわたしも出演予定で、『死を乗り越える映画ガイド』(現代書林)の編集者でもある内海さんがコーディネーターを務めてくれることになっています。セレモニーホールを舞台に、「老い」と「死」をテーマにした修活映画の時代を拓きたいと願っています。どうぞ、お楽しみに!


死を乗り越える映画ガイド あなたの死生観が変わる究極の50本

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*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2017年7月6日 一条真也