君子は和して同ぜず 小人は同じて和せず(孔子)


一条真也です。
40歳を前にして、『論語』を読んだとき、不思議な感覚を味わいました。
孔子の言葉の1つひとつが、すべて当時のわたしが抱えていた問題に触れており、しかもその解決策を明快に示しているような気がしたのです。
実例を1つあげれば、当時の私は悪友との飲酒の習慣に悩んでいました。悪友たちとつるんでいたら、仕事の時間が削られてしまうが、腐れ縁はなかなか断ち切りがたいものです。どうしようかと非常に悩みました。そんなとき、『論語』を開くと、「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」と書いてあったのです。


論語 (岩波文庫 青202-1)

論語 (岩波文庫 青202-1)

「和」とは、自分の主体性を堅持しながら他と協調すること。
そして「同」とは、付和雷同のことです。したがって、この言葉の意味は「君子は協調性に富むが、無原則な妥協は排斥する。小人は逆である。やたらと妥協はするけれども、真の協調性には欠けている」となります。
わたしは結局、和と同を混同していたのです。
和が重視され、強調されるのは、それ自体は結構なことです。
でも、その前提として、1人ひとりの主体性がしっかりと確立されていなければなりません。それがあって、初めて本物の和が生まれてくるのです。そのことを悟ったわたしは、きっぱりと悪友との関係を断ち切りました。
わたしは、『論語』によって道を踏み外さずに済んだように思います。
わたしの考え方の基本にあるものは、やはり『論語』です。


孔子とドラッカー 新装版―ハートフル・マネジメント

孔子とドラッカー 新装版―ハートフル・マネジメント

*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2017年2月24日 佐久間庸和