ダリ展   

一条真也です。
28日、東京に来ました。昼間、「出版寅さん」こと内海準二さんと六本木で打ち合わせをした後、国立新美術館で開催されている「ダリ展」を鑑賞しました。久々にダリの世界を堪能し、魂を異次元に遊ばせました。


国立新美術館の正門前で

ダリ展」にやってきました!



サルバドール・ダリは(1904年5月11日―1989年1月23日)は、スペイン・フィゲーラス出身の画家です。シュルレアリスムの代表的な作家として知られます。「天才」と自称して憚らず、数々の奇行や逸話が有名です。



公式HPによれば、今回の展覧会の見所は以下の3点です。
1 スペインとアメリカのダリ・コレクションの全面協力!
2 ダリの創作活動の全貌を網羅的に紹介
3 ダリ・ワールド出現!


また、今回の展覧会構成は以下のようになっています。
CHAPTER1 初期作品(1904−1922)
CHAPTER2 モダ二ズムの探究(1922−1929)
CHAPTER3 シュルレアリスム時代(1929−1938)
CHAPTER4 ミューズとしてのガラ
CHAPTER5 アメリカへの亡命(1939−1948)
CHAPTER6 ダリ的世界の拡張
CHAPTER7 原子力時代の芸術(1945−1950s)
CHAPTER8 ポルト・リガトへの帰還、あるいは晩年の作品
                 (1960−1980s)


「ダリ的世界の拡張」といえば、アメリカに亡命したダリは、ヒッチコックマルクス兄弟、そしてウォルト・ディズニーといった映画人たちと共に仕事をしました。ルイス・ブニュエルの「アンダルシアの犬」やヒッチコックの「白い恐怖」といったダリが製作の協力した映画が会場で上演されていました。ともに人間の目玉をトラウマ的に描いていますが、ダリは目玉に魅せられていたのでしょうか?


さらには、ディズニーとの合作アニメ「Destino」も会場で上演されていましたが、あまりの完成度の高さに息を呑みました。天才と天才が合体すると、これほど完璧な世界が現出するのだという事実を思い知りました。


「奇妙なものたち」1935年頃

「狂えるトリスタン」1938年



じつは、「未来医師イナバ」こと東大病院の稲葉俊郎先生のブログ「」の「ダリ展@国立新美術館」という記事を読んで、無性に行きたくなったのです。「一条真也、島田裕巳『葬式に迷う日本人』」の1つ前の記事でした。


ラファエロの聖母の最高速度」1954年

「素早く動いている静物」1956年頃



稲葉先生はブログに以下のように書いています。
「小学生のころ、Daliに出会い、熱病にうなされたように好きになった。親にねだり画集を何冊も購入した。小学生なりにDali研究を続けた。特に、彼が日本への原爆を機に画風と絵の質が変化したことにも興味を持った。Daliは本気で科学と芸術と宗教を統合しようとしていた」
わたしはこれを読んで嬉しくなりました。なぜなら、わたしも小学校のときにDali病に罹り、「将来はシュールレアリスムの画家になる!」と決心して油絵を習っていたぐらいなのです。


『SF教室』筒井康隆編(ポプラ社)の函と本体

『SF教室』で紹介されたダリ「炎のジラフ」



わたしがダリの名を知ったのは、『SF教室』筒井康隆編(ポプラ社)という児童書でした。ポプラ・ブックスの1冊で、函入りでした。いま奥付を見ると、初版が昭和46年4月10日となっています。わたしが持っている本は昭和48年8月30日の4版です。ちょうど10歳のときに購入したことになります。この本では、「SFの新しい波」としてJ・E・バラードなどを紹介する流れでシュールレアリスムに言及し、ダリの「炎のジラフ」を紹介しています。小学生のわたしは、これを見て身体に電流が走ったようにシビれてしまったのです。稲葉先生と同じく、わたしも何冊もダリの画集を親に買ってもらいました。


『SF教室』で紹介された手塚治虫火の鳥

星新一も『SF教室』で初めて知る



稲葉先生は「高校を卒業したら最初にしようと決めていたことが、宝塚の手塚治虫記念館に行くことと、スペインのフィゲラスにあるDali美術館に行くことだった」と書かれていますが、『SF教室』には手塚治虫の名作『火の鳥』も紹介されており、これも入手して読みました。あと、星新一ショートショートも『SF教室』で初めて知りました。わたしの精神を構成している要素のかなりの部分は同書にルーツがあるのかもしれません。


稲葉先生は「自分の中にいる内的な小学生の自分とも久しぶりに再会したことも、感動した。ああ、自分の中に、過去も現在も未来も重なって生きているのだと、確認した日だった」と書かれていますが、これもまったく同感です。その頃、藤子不二雄のマンガ『魔太郎がくる!』で知ったルネ・マグリットの不思議絵にも夢中になりました。


シュールレアリスムの世界を満喫しました



今でも、絵画といえば、ダリ、マグリット、エルンスト、ルソー、キリコ、そしてシャガールといったシュールレアリスムの画家たちが好きです。彼らの絵を眺めていると、わが魂が自由になるような気がします。


これが本日の戦利品だ!!



ダリ展」を鑑賞した後は、売店で買い物をしました。
ダリの歪んだ置時計、タロットカード、ペンケース、それにストレスフリーなどを購入しました。わが書斎が賑やかになることでしょう。




*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年11月28日 一条真也