映画本に反響続々!

一条真也です。
ブログ「『葬式に迷う日本人』が発売されました」ブログ「『ミッショナリー・カンパニー』が発売されました」で紹介したように、22日に2冊の「一条本」が全国発売となりました。おかげさまで2冊ともまずまずのスタートを切ったようですが、ここにきてブログ『死を乗り越える映画ガイド』で紹介した本も各方面で話題になっているようです。


稲葉俊郎氏のブログ「吾」より



何人かの方には、版元の現代書林さんのご好意で『死を乗り越える映画ガイド』を献本していただきました。丁重な御礼の手紙や葉書やメールをたくさん頂戴しました。さまざまな方のブログやツイッタ―、フェイスブックなどでも同書を紹介して下さっています。感謝の気持ちでいっぱいです!
未来医師イナバ」こと東大病院の稲葉俊郎先生も、ご自身のブログ「」に「一条真也『死を乗り越える映画ガイド』」の記事を書いて下さいました。



冒頭に、稲葉先生は「一条真也さんの『死を乗り越える映画ガイド』(現代書林)はすごい! 何がすごいかと言うと、映画評を書いた本は数多くありますが、『死』を軸としてまとまあげた本は初めてです。でも、よく考えてみると人は、ほぼ例外なく『死』のシーンでは感動します。『死』というのは、生命を支える場所と深い関係があるのだと思います。
一条真也さんは実業家であり社長であり文筆家であり読書家であり・・・・様々な顔を持つ超人のスーパーマンです。ブログを毎日チェックしていますが、読んでいる方がおいつかないほどのブログ更新量! 
個人ブログだけではなく、同時に社長ブログまで同時連載しているという、ものすごさ。きっとこの量と質の高さは世界一でしょう」
いやはや、過分な評価に穴があったら入りたい気分です。(汗)



また、稲葉先生は以下のようにも書かれています。
「『死を乗り越える映画ガイド』を読んでいて、こんなにも映画で『死』や『葬』を取り上げたものが多いのか! ということにも改めて驚きましたし、冠婚葬祭という実務をされている人だからこその視点から読み解かれる文章にうんうんとうなりました。(自分も、医療職についているからこそ、医療ドラマや医療漫画はいろいろと気になります。)
人は、生まれ、生きて、死んでいく。そういうサイクルから逃れることはできません。ただ、人類という種にまで視点を広げてみると、個体としての人がなくなっても、人類としての種は残っています。共通祖先から600万年前に人類とチンパンジーは枝分かれしたとされますが、人類という物差しで考えると最低でも600万年いのちはつながっています。人類ではなく、生物や生命というスパンで考えてみると、実に40億年近くも生命は続いているのです。きっと、今後も地球が存在している限り続いていくでしょう」



稲葉先生の教養が滲み出ている文章ですが、「こうした生命曼荼羅のひとつの種として人類がいるわけですが、一条さんは『葬』(葬儀)というものを最重要視されています」として、さらに以下のように述べています。
「『葬』(葬儀)とは、人が死と生とをつなぐため、死者と生者をつなぐための重要な行為なのでしょう。生と死とが分断されないために。自分も一介の臨床医として激しく同意します。生と死とを結ぶものがない限り、生と死とは違う次元に存在する世界ですので、その段差はゆるやかに接続されません。生者と死者とも分断され、時や歴史や知恵は積み重なって行けないのではないでしょうか」



「葬」の本質を見事にとらえた名文であると思います。
そして、稲葉先生は以下のように述べるのでした。
「私たちは、映画やドラマを見る時、死の場面に出会うと思わず涙が出ます。死の場面とは、訳も分からず涙が出てしまうもので、死に対して人の心は大きく激しく動いてしまうものです。生命の深い歴史に込められた何かが発動し、呼び覚まされるのでしょう。そうした感覚は生きている人ばかりの日常の世界では忘れがちになります。そのために、平家物語など死をテーマにした古典作品は語り継がれてきたのだと思いますし、芸術はそのタイムマシンとしても機能していたはずです。そういう意味で、『死』をテーマにした映画というのは、人間の営みにおいて極めて重要なのではないかと思います。この『生者』の世界が、常に『死者』によって支えられていて、受け継がれてきている、という事実を思い出して忘れないためにも・・・・」
この後、稲葉先生は『死を乗り越える映画ガイド』で紹介した50本の映画について個別の感想を寄せて下さいました。本当に素晴らしい感想をありがとうございました!


佐藤修氏の「CWSコモンズにようこそ」より



続いて、「サロンの達人」こと佐藤修さんです。HP「CWSコモンズにようこそ」の左欄にある「ブック」をクリックすると読めます。
最初に、佐藤さんは「一条さんは、映画は人間の『不死への憧れ』が生み出した技術だと言います。 映画は、『時間を生け捕りにという芸術』であり、かけがえのない時間をそのまま『保存』するというのです。たしかにその通りです。さらに一条さんは、人間の文化の根底には「死者との交流」という目的があり、映画は『死者との再会』という人類普遍の願いを実現するメディアでもあると言います。『映画館という洞窟の内部において、わたしたちは臨死体験をするように思います』とさえ、言うのです。一条さんの、映画への思い入れを感じます」と述べられています。



また、佐藤さんは以下のようにも述べています。
「作品の1つひとつの紹介は、一条さん自らの思いを重ねながら、死生観を問いかけてくれる内容になっています。通読すると言うよりは、映画のタイトルを見ながら、気が向いた時に読んで、さらに気が向けば映画を見るという、まさにガイドブックです。50本の作品の紹介のあと、一条さんは『あとがき』で、もう1本、紹介しています。それは、新藤兼人監督の『裸の島』です。私が大学生だった頃の映画です」


ブログ「裸の島」で紹介した映画について、佐藤さんは述べます。
「舞台は、瀬戸内海にある、飲み水はもちろん、野菜を育てる水さえ隣の島から運んでこなければいけない小さな島に住む家族の話です。その家族の息子が急死し、そのお葬式が描かれています。そのお葬式を見て、一条さんは、感動したのです。『わたしは、こんなに粗末な葬式を知りません。こんなに悲しい葬式を知りません。そして、こんなに豊かな葬式を知りません。貧しい島の貧しい夫婦の間に生まれた少年は、両親、弟、先生、同級生という、彼が愛した、また愛された、多くの“おくりびと”を得て、あの世に旅立って行つたのです。これほど豊かな旅立ちがあるでしょうか』
そして、こう言います。『「裸の島」は、いわば極限までに無駄なものを削った生活だからこそ、人間にとって本当に必要不可欠なものを知ることができるのです。そして、その必要不可欠なものこそ、水と葬式でした』」
最後に、佐藤さんは「『裸の島』の紹介を通して、一条さんの死生観の真髄が伝わってくるような気がします。映画好きな方は、ぜひ、手に取ってみてください」と書いておられます。佐藤さん、ありがとうございました。


不識庵の面影」より



一条本を語るなら、この人を忘れてはなりません。ご存知、「ベスト50レビュアー」こと不識庵さんが、自身のブログ「不識庵の面影」の記事「死を乗り越える映画ガイド」において、以下のように書いておられます。
「既刊の『死が怖くなくなる読書』(現代書林)の映画版というべき内容です。一条先生は、読書を『古今東西、読書は豊かな知識のみならず、思慮深さ、常識、人間関係を良くする知恵、ひいてはそれらの総体としての教養を身につけて上品な人間をつくるメディア』と定義されていますが、本書は映画というメデァアが『死生観』を涵養し『癒し』をもたらしてくれるという視点から厳選した50タイトルを紹介しておられます」



また、不識庵さんは、本書に登場する50本(実際は51本)の映画のタイトルを列挙した後で、以下のようにも書いておられます。
「前作の『死が怖くなくなる読書』でも同様だったのでしょうが、テーマに基づくとはいえ、名作映画を取捨選択するためには『いかに映画を観倒してきたか』がモノをいいます。周知のとおり、一条先生は希代の映画通として知られ、映画について該博な知識をお持ちです。50タイトルで選外となった膨大な作品でも『オススメ映画』がいくらでもあるはずですから、本書に掲載する映画の選定作業は楽しくもあり切なくもあり、といったところでしょうか。いずれにしても、映画をこよなく愛する一条先生が本書に込めた愛情は想像に難くありません。そのせいもあってか、コラムというフリースタイルで『映画から死を学んだ』『ホラー映画について』『SF映画について』『ファンタジー映画について』で実に多彩な映画作品が紹介されています」



さらに、不識庵さんは以下のように書かれています。
「本書で一条先生は、映画と写真という2つのメディアの特性を比較し、『映画を含む動画撮影技術が生まれた根源には人間の「不死への憧れ」がある』と洞察されています。写真は『時間を殺す芸術』、動画は『時間を生け捕りにする芸術』だと解説され、写真は『死』のメディア、映画は『不死』のメディアだと喝破されています。さらに昨夏に上梓された『唯葬論』(三五館)で詳述された論旨の一部も引用されながら、人間の文化の根底には『死者との交流』という目的があることにふれ、映画が『死者との再会』という人類普遍の願いを実現するメディアでもあるとも述べられています。本書の白眉は『映画館を訪れるたびに死者となっている』という発見でしょう」



最後に、不識庵さんは以下のように述べるのでした。
「本書に紹介されている映画はDVDやブルーレイで購入あるいはレンタルできるものばかり。是非、本書を『きっかけ』として選定された映画鑑賞されることをオススメします。さらに言えば映画は劇場(映画館)で鑑賞する習慣を身につけたいものです。『闇の中からスクリーンに映し出される光』を体感しながら『見ず知らずの人とも作品を通じて繋がっている』ことを体感する醍醐味は『有縁社会』『ハートフル・ソサエティ』そのものです。
本書が提示する『死を見つめる眼差し』は『こころ豊かな人生』への重要なヒントに満ち溢れています。読書がそうであるように、映画も観る者の精神を豊かにする『こころの王国』への入り口です!」
この文章を読んで、わたしは不識庵さんもまた、非常に映画を愛しておられることに気づきました。いつもながらの秀逸な書評に心より感謝!


死を乗り越える映画ガイド あなたの死生観が変わる究極の50本

死を乗り越える映画ガイド あなたの死生観が変わる究極の50本

*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年10月23日 一条真也