死と再生を疑似体験する

一条真也です。
ようやく九州も梅雨明けしました。暑いです!
19日、北九州からスターフライヤーで東京に入りました。今日は監査役を務めている会社の監査役会に出席し、明日20日は業界の会議が4連発で入っており、夜は上智大学グリーフケアの連続講義を行います。
さて、わたしはNIKKEI STYLE「一条真也の人生の修め方」というコラムを連載しています。第36回目となるコラムが本日アップされました。


「死と再生を疑似体験する」



今回のタイトルは、「死と再生を疑似体験する」です。わたしらしき人物が棺に入っているイラスト付きですが、なんと三角巾まで頭に着けていてビックリです。最近、ビックリ腰じゃなくてギックリ腰になり、このイラストのように動けなくて寝たきり状態だったので、ちょっと複雑な心境であります。
先日、冠婚葬祭業を営んでいるわが社の施設でお客様感謝イベントを行いました。そこでは全国各地の「終活フェア」などで人気を呼んでいる「入棺体験」コーナーも設置しました。わたしは、お客様が来られる前に、試みに棺の中に入ってみました。



棺に入って目を閉じると不思議な感じで、本当に自分が死んだような気がしました。わたしは「これまでの人生に悔いはないか」と振り返り、自分の人生を遡ってみました。すると、いろんな思いが次から次へと浮かんできました。入棺体験は、自分を見つめ直す行為になると実感しました。わたしは「自分が人生を卒業する日はいつだろう。いずれにせよ、今日は残りの人生の第1日目だな」と思いました。わたしは、「死」と「再生」を疑似体験することができました。一度死んだと思って、生まれ変わったつもりで頑張りたいと思いました。



中国の上海では、「死亡体験館」という死亡と誕生をシミュレーション体験する施設が今年4月にオープンし、大きな話題を呼んでいるそうです。参加枠は1日24人までで、最初に初対面の12人が議論をします。そのテーマは、現在の自分の悩み、家族など身近な人の死などが中心で、一種のワークショップのようなものでしょうか。議論の後は、火葬場に移動し、実際に火葬炉に入れられる体験をします。火葬炉の中では、炎の映像とともに全身には熱風が吹きつけられ、さらには激しい音が鳴り響きます。あまりの恐怖に泣き出したり、失神したりする人もいるとか。その後は、母親の胎内を模したトンネルを通って、この世に誕生するという仕組みです。およそ3時間の「死と再生」の旅ですが、20〜30代の中国の若者を中心に問い合わせが相次ぎ、キャンセル待ちになるほどの人気だそうです。



「死亡体験館」は、中国らしいというか、少々ベタな印象も受けます。しかし、「死と再生」というのはイニシエーションそのものであり、生きる気力のなくなってしまった人々を「死んだ気」にさせることができるでしょう。また、死ぬのが怖くて仕方がない人にも有意義な施設になるかもしれません。いずれにせよ、一度、上海に行って「死亡体験館」を訪れてみたいと思います。とりあえず、手軽に「死と再生」が疑似体験できるのは、お棺に入ることではないでしょうか。みなさんも「入棺体験」の機会があれば、ぜひお棺にお入りください。そこには、思いもしなかった豊かな精神世界が待っていますよ!



なお、第37回目のアップは7月19日(火)を予定しています。
タイトルは「上智大学グリーフケアを語る」です。先述したように、明日、わたしは上智大学グリーフケア研究所の講座で「グリーフケアと人間学」について連続講義を行います。同研究所の島薗進所長、ならびに特任教授の鎌田東二先生との御縁で実現しました。「グリーフケア」とは、死別の悲嘆を回復するケアのことですが、現在の葬儀において最大のキーワードになっています。わたしもグリーフケア関係の著書が何冊もあります。しかし、もともと「グリーフケア」とはキリスト教カトリックから生まれた考え方です。そして、上智大学は日本におけるカトリックの総本山。はてさて、どんな話が飛び出すやら。次回は、そんな話を書きます。どうぞ、お楽しみに!



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年7月19日 一条真也