イチローの言葉に思う

一条真也です。
米大リーグ、マーリンズイチロー外野手は、サンディ­エゴで行われたパドレス戦で2安打をマークし、ピート・ローズが持つメジャー記録の4256安打を日米通算で上回りました。今朝の各紙は、すべてイチロー選手の記録達成で埋め尽くされています。スポーツ紙だけでなく、一般紙もです。わたしは、昨日の記者会見で彼が語った言葉にとても感銘を受けました。


偉業達成を報道する各紙朝刊



記者会見で、イチロー選手は、「子どもの頃から人に笑われてきたことを常に達成しているという自負がある」と明かしました。小学生の頃、プロ野球選手になる夢を抱き、毎日コツコツ練習を重ねてきましたが、周囲からは「あいつ、プロ野球選手になるのか」と笑われたそうです。



それでも愛知・愛工大名電高で甲子園に出場し、1991年にドラフト4位でオリックスから指名を受けると、94年にプロ野球史上初のシーズン200安打以上を達成するなど一気にスターの座に駆け上がりました。



2001年に大リーグへ移った時は「首位打者になってみたい」と目標を掲げましたが、周りで真に受ける人は誰もおらず、彼は冷笑を受けました。しかし、そこからメジャー1年目で首位打者を獲得。04年には262安打を放ちシーズン最多安打を84年ぶりに更新と、活躍を続けてきたのです。


イチロー記者会見の記事



イチロー選手は、大リーグだけで通算4256安打を超える可能性について問われました。すると彼は、「常に人に笑われてきた悔しい歴史が、僕の中にあるので。これからもそれをクリアしていきたいという思いはもちろん、あります」と語りました。それを聞いて、わたしは感動しました。
「50歳で現役」という高いハードルにも挑むことを公言しているイチロー選手ですが、もう、その言葉を笑う者はいません。


「つねに人から笑われる」ような高い目標を掲げ続け、それを次々に達成していく奇跡の人生。彼の生き様には多くの人が勇気を与えられるでしょう。このわたしだって、これまで「冠婚葬祭屋が本を書いてどうする?」「冠婚葬祭屋が孔子を語ってどうする?」「冠婚葬祭屋にドラッカー理論が実践できるのか?」「大学教授などになれるはずがない」などと、これまで散々笑われてきました。宗教学者島田裕巳氏の『葬式は、要らない』や『0葬』に対抗して『葬式は必要!』や『永遠葬』を上梓したときも笑われました。
現在も、その島田氏との対談本の刊行、あるいは、儀式そのものの必要性を理論武装しようと試みる『儀式論』の出版などに対して、「そんなことをしてどうする」と笑う人もいるでしょう。


『儀式論』ですが、「儀式」の存在意義を明らかにするなど、わたしの手に余る壮大すぎるテーマです。しかし、「俺が書かねば誰が書く!」という気概と使命感で、「これを書き上げたら死んでもいい」という覚悟で書きました。
もちろん、わたしの人生など、偉大なイチローの人生と比べることなどできないことはよくわかっていますが、わたしも彼と同じ「なにくそ!」「今に見ていろ!」の精神で走り続けたいと思います。北島三郎の「兄弟仁義」という歌の三番には、「ひとりぐらいはこういう馬鹿が居なきゃ世間の目はさめぬ♪」という歌詞がありますが、わたしも、そういった心境であります。



そして、イチロー選手の記者会見で最も胸を打たれたのは、「アメリカに来て16年。これまでチームメイトとの間にしんどいことも多かったけど、今は最高のチームメイトに恵まれて感謝している」という発言でした。内野安打を含む単打を連発するイチロー選手の野球スタイルは、「チームに貢献していない」「打率狙いのセコい野球」などと酷評されてきました。おそらくはチーム内にもそんな空気があったのでしょう。しかし、42歳にしてようやく彼は「最高の仲間」を手に入れたのです。


ついに「最高の仲間」を手に入れたイチロー選手



「豊かな人間関係こそが最高の贅沢である」というのは、フランスの作家サン=テグジュペリの言葉であり、わたしの信条でもあります。イチロー選手は、お金も名声もすべて手に入れてきました。夢もすべて実現してきました。しかし、彼が最も欲しかった宝物とは「最高の仲間」であり、ついにそれを手に入れたという感動の表れが会見の涙だったのではないでしょうか。
わたしにも、全互連のみなさんという「最高の仲間」がいます。
今日はこれから、全互連の中核メンバーである117さんの50周年記念祝賀会が姫路で盛大に開催され、わたしも出席します。
最高の仲間たちに会えることが楽しみです!



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年6月17日 一条真也