青木新門氏にお会いしました

一条真也です。
6日、富山に入りました。夜、作家の青木新門氏にお会いしました。場所は、JR富山駅前にあるオークスカナルパークホテル富山です。青木氏は、同ホテルを運営する冠婚葬祭互助会であるオークス株式会社の顧問を務めておられます。冠婚葬祭互助会業界の大先輩です!


青木新門氏と



映画「おくりびと」といえば、第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞、第81回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞してから時が過ぎましたが、あの興奮は今でも憶えています。日本映画初の快挙でした。この映画で主演の本木雅弘さんは、「ある本」に出会って大いに感動し、映画化の構想をあたためていたそうですが、その本こそ『納棺夫日記』。平成5年(1993)に単行本として桂書房から出版されベストセラーになった名作ですが、現在は版を重ね『定本納棺夫日記』と銘打って刊行され、文春文庫にも入っています。


その本の著者が青木氏その人なのです。青木氏は昭和12年、富山県下新川郡入善町のお生まれで、ながらく「納棺師」として葬儀の現場でご尽力しておられました。その尊いご体験が『納棺夫日記』には綴られているがゆえに、読み手の心を強く揺さぶる作品となっています。青木氏の著書についてはブログ『納棺夫日記』ブログ『それからの納棺夫日記』でご紹介していますが、多くの方に是非とも読んでいただきたい名著です。


永遠葬

永遠葬

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ブログ「『永遠葬』に反響続々!」で紹介したように、昨年上梓した拙著『永遠葬』(現代書林)を青木氏に献本させていただいたところ、氏はご自身のブログ「新門日記」の記事に以下のように書いて下さいました。
一条真也氏(=佐久間庸和 (株)サンレー代表・全国冠婚葬祭互助会連盟会長)から8月4日発売の新著『永遠葬』が送られてきた。内容は島田裕巳氏の『葬式は、要らない』や近著『0葬』を批判した『葬式は要る』という立場で、なぜ要るのかということを多くの事例や理由をあげて書かれた本である。島田氏が個の命にとらわれているのに対して、一条氏は永遠を見据えているのがいい。氏は京都大学こころの未来研究センターの研究員でもある。私も島田祐巳氏が『葬式は、要らない』を出した時、当時本願寺の教学研究所の所長をしておられた浅井成海師と対談形式で『葬式は要る』と題して出版する計画があった。ところが企画したPHP出版と打ち合わせていたら浅井氏が末期癌で急逝され、出版の話はたち切れとなってしまった。あの時島田氏の本を読んで感じたことは、NHKのクローズアップ現代のように、葬式や宗教を社会現象学的に取り上げているだけだと思った。事物の現象の本質が全くわかっていない人だと思った。現象の本質がわかっていないということは、死の本質がわかっていないということであり、宗教の本質がわかっていないということでもある。後から島田氏はマックスウェーバーの流れをくむ橋爪大三郎氏の弟子だと知って、なるほどと思ったものだった。こういう現象の上辺をなでたようなものを書いて時流に乗るのがうまい学者の本はよく売れるが、酒鬼薔薇聖斗の近著『絶歌』が売れるのと同じような市場経済優先の社会現象のように私には映るのだった。しかしそのことが多くの人を惑わす結果になるから困るのである」


青木新門氏の「新門日記」より



わたしは、このブログ記事を拝読して、大変感激いたしました。青木氏からはメールも頂戴し、「一度ぜひお会いしましょう」と言っていただきました。本当に光栄であり、ありがたいことでした。その後、メールのやりとりなどを重ねて、このたびの対面に至ったわけです。いろいろとご尽力いただいたオークスの牧常務には心より感謝申し上げます。


青木氏よりチベットの鳥葬についてレクチャーを受ける


会食のメンバーは、青木氏、牧常務、わたし、サンレー北陸の西課長の4人でした。オークスカナルパークホテル富山内にあるモダン和食店WAZA」の美味しい料理をいただきながら、わたしたちはさまざまな話で盛り上がりました。青木氏からはご著書『転生回廊』(文春文庫)を頂戴し、そこに写真が掲載されていたチベットの鳥葬についてのレクチャーも受けました。
わたしも、チベットは、ぜひ一度訪れてみたいです!


ちょうど今、わたしは島田裕巳氏と往復書簡を交わしているのですが、そのことなども話題に出ました。また、青木氏は「月への送魂」にご感心がおありとのことですので、今年の「隣人祭り 秋の観月会」にご招待させていただきます。よろしければ、講演もぜひお願いいたします!


『転生回廊』をプレゼントされました



その他にも、青木氏から貴重なアドバイスもたくさん頂戴しました。わたしにとって、葬儀の意味を改めて学ぶことができた有意義な時間となりました。最後に青木氏は「葬儀は絶対になくなりませんよ」と言われました。「『葬式は、要らない』じゃなくて、『葬式は、なくならない』ですよ」とも言われました。なお、青木氏は「新門日記」の「6月6日(月)晴れ」で以下のように書いて下さいました。ありがとうございます。
「自宅近くのオークスカナルパークホテルへ出向く。明日全国互助会連盟の定例総会があるため前泊された会長の佐久間庸和氏と会食する約束をしたからだった。佐久間氏は、小倉や金沢の冠婚葬祭会社サンレーの社長だが、一条真也というペンネームで『ハートフル・ソサエティ』『唯葬論』『死が怖くなくなる読書』といった本も出しておられる。氏は、新時代の葬儀の一つとして、月へ魂を送る『月への送魂計画』を提案する。超日月光を信じる私は違和感を覚えるが、奇抜なアイデアとして面白いと以前から思っていたので、一度お会いしたいと思っていたのであった。氏は、大変な読書家で豊富な知識を持っておられ、共通の知人も多かった。そんな方に会うと、話が弾む。しかし2時間の会食を終えて別れた後、余計なことまで話していたことを後悔しながら帰路の夜道を歩いていた」



さて、青木氏のいう「余計なこと」とは何でしょうか?
青木氏との会話はすべて楽しく有意義な内容でしたが、特に青木氏が「月への送魂」に興味を持っておられたことは意外でした。浄土真宗に代表される伝統的な葬儀しか認めておられないイメージがあったからです。氏が仏教に深い造詣を持ちながら、非常に柔らかい発想をされる方であることがわかり、嬉しくなりました。今度は、ぜひ、九州の夜空に上った満月を見上げながらお話したいです。青木新門先生、今日はお会いできて光栄でした。「一条さん、あなたに会いたかったんですよ」とのお言葉、嬉しかったです! 今後とも、御指導下さいますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年6月6日 一条真也