「クリムゾン・ピーク」

一条真也です。
東京に来ています。12日に初雪が降りました。
その夜、日比谷の「TOHOシネマズみゆき座」で映画「クリムゾン・ピーク」を観ました。今年最初の映画鑑賞であります。


ヤフー映画の「解説」には以下のように書かれています。
「『パンズ・ラビリンス』などの鬼才ギレルモ・デル・トロが放つミステリーホラー。クリムゾン・ピークと呼ばれる屋敷で生活する女性が、次々と出現する亡霊たちに導かれるようにして同地に隠された恐ろしい秘密に近づいていく。『アリス・イン・ワンダーランド』などのミア・ワシコウスカ、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』などのトム・ヒドルストン、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインなど実力派が結集。謎と恐怖が交錯する物語に加え、ダークでありながら美麗なビジュアルにも引き込まれる」


クリムゾン・ピーク」の映画ポスター



また、ヤフー映画の「あらすじ」には以下のように書かれています。
「10歳のとき、死んだ母の幽霊と遭遇したイーディス(ミア・ワシコウスカ)。それ以来、彼女は亡霊を目にするようになる。トーマス(トム・ヒドルストン)と運命的な出会いを果たした彼女は、自分の父親が謎めいた死を遂げたのを機に彼と結婚。赤粘土の影響で雪が赤くなることからクリムゾン・ピークと呼ばれる山頂に立つ豪邸に、トーマスの姉ルシール(ジェシカ・チャステイン)と共に移り住むことに。三人での生活にも慣れてきたころ、体を真紅に染めた亡霊たちがイーディスの前に現れ奇妙な警告をする」


ギレルモ・デル・トロ監督の「パンズ・ラビリンス」は秀逸なダーク・ファンタジーでした。わたしと10年間以上も「ムーンサルトレター」で文通を交わしている宗教哲学者で京都大学こころの未来研究センター教授の鎌田東二先生も同作品を絶賛されていました。
今回の「クリムゾン・ピーク」は、ダーク・ホラーといった印象です。


運命の出会い

妖しい屋敷へ向かう

屋敷内を探索する

まさに、ザッツ・ゴシック・ホラー!



とにかく、今の時代に「よくぞ作った!」と感心するほどの本格的なゴシック・ホラーです。いわば、ガチガチのゴースト・ストーリーなのですが、悲惨な殺人事件の犠牲者の怨霊が事件を真相を主人公に知らせる場面を観ながら、わたしは「世田谷一家惨殺事件の犠牲者も、幽霊となって真犯人を示すことはできないか」などと考えました。亡くなった人の無念さ、口惜しさに想いを馳せることは幽霊談の基本だと思います。
しかしながら、この映画の場合、亡霊の造形がオドロオドロしすぎるのが残念でした。わたしは「これでは、まるでバタリアンだなあ」と思いましたね。


屋敷を怪しむ主人公

謎めいた準男爵

謎が謎を呼ぶ

屋敷には驚くべき秘密があった



映画の冒頭でも終わりでも、「幽霊は実在する」というナレーションが入るのですが、「人間はなぜ死者を想うのか」というサブタイトルを持つ『唯葬論』(三五館)の著者としては、いろいろと考えさせられるところが多い作品でした。特に、ブログ『アンチ・スペクタクル』でも言及した心霊写真のメカニズムのくだりは非常に興味深かったです。
たまには、ジェントルじゃないゴースト・ストーリーもいいですね。


最後に、みゆき座では「クリムゾン・ピーク」の上映前に新作映画の予告編が数本流れました。その中で「本年度アカデミー賞最有力!」と謳われた2作品に興味を惹かれました。「リリーのすべて」と「キャロル」です。
リリーのすべて」は、世界初の性別適合手術を受けたデンマーク人画家リリー・エルベと、その妻ゲルダとの愛­を描いた伝記ドラマです。ブログ「英国王のスピーチ」ブログ「レ・ミゼラブル」で紹介した映画でメガホンを取ったアカデミー賞監督であるトム・フーパーの作品です。


また、「キャロル」のうほうは『太陽がいっぱい』『殺意の迷宮』などで知られる作家パトリシア・ハイスミスの小説を基にしたラブロマンスです。1950年代ニューヨークを舞台に同性ながらも強く惹かれ合う女性たちの運命を美しく描いた作品だとか。「ブルージャスミン」のケイト・ブランシェットと「ドラゴン・タトゥーの女」のルーニー・マーラが共演し、「エデンより彼方に」のトム・へインズ監督がメガホンを取りました。わたしはケイト・ブランシェットが好きなので、ぜひ観たいです。それにしても、アカデミー賞最有力作品が「性転換」と「同性愛」の映画とは! これが時代のトレンドなのでしょうか? 
かつて、わたしが若い頃に政治評論家の細川隆一郎が「男は男らしく、女は女らしく!」と叫んでいた時代がなつかしいですね。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年1月13日 一条真也