「ヒトラー暗殺、13分の誤算」

一条真也です。
東京に来ています。20日の夜、日比谷のTOHOシネマズシャンテで映画「ヒトラー暗殺、13分の誤算」を観ました。ある男がヒトラーの暗殺を企てた史実を基にした作品で、ドイツ国家が隠し続けた衝撃の感動実話です。


ヤフー映画の「解説」には以下のように書かれています。
「ある男が単独でナチスドイツの独裁的指導者アドルフ・ヒトラーの暗殺を企てた史実を基に、男が犯行に至る過程や処刑が延びた理由など数々の謎に迫る戦争ドラマ。男の犯行までの生活ととらわれの日々を交錯させ、過激な犯行に及んだ男の心理や、第2次世界大戦直後から終戦直前まで男を生かしたナチスの狙いをひもといていく。監督は、『ヒトラー 〜最期の12日間〜』などのオリヴァー・ヒルシュビーゲル。主人公の勇気と信念が胸に迫るとともに、独裁政権の恐ろしさに戦慄する」



また、ヤフー映画の「あらすじ」には以下のように書かれています。
「1939年11月8日、ドイツ・ミュンヘンナチス指導者のヒトラーの演説が行われた。演説を予定よりも早く終わらせ退場したヒトラーだったが、その直後、会場が爆破される。逮捕されたのは、ゲオルグ・エルザー(クリスティアン・フリーデル)という男だった。ゲシュタポは犯行の黒幕を吐かせようとエルザーを拷問にかけるが、彼は爆破装置の製作や設置を一人で行ったと告白する」


映画に登場する歴史上のヒトラー暗殺未遂事件とはどのようなものか?
Wikipedia「ヒトラー暗殺計画」には以下のように書かれています。
「1939年11月8日、当時36歳の家具職人ゲオルク・エルザーによる爆破事件。ヒトラーは1923年11月8日のミュンヘン一揆を回顧するため、毎年その日にビアホール『ビュルガーブロイケラー』で約1時間半ほど演説するのが恒例だった。機械工作の才能が有ったエルザーは、時計仕掛けの時限装置付き爆弾を製作し、約35日間かけてホール内のコンクリート柱をくりぬいて穴を開け、その中に演説時間内に爆発するようセットした爆弾を仕掛け、演説中のヒトラーを爆殺しようとした。11月8日午後8時、ヒトラーは予定通りにビュルガーブロイケラーに到着。8時10分頃から演説を開始したが、その日は演説を短縮し、予定を早めて9時12分頃にはビアホールから出た。数分後の9時20分、爆弾が爆発し8人が死亡、63人が負傷した。負傷者の中にはエーファ・ブラウンの父親もいた。折りしも第二次世界大戦勃発から2ヶ月、ヒトラーは情勢の検討と西方攻撃作戦の準備のため、至急ベルリンへ戻る予定だった。11月8日夜は悪天候のため飛行機ではなく、時間のかかる列車でミュンヘンからベルリンへ移動するため、例年より早めに演説を終了し会場から退席する事となり、運良く爆発に巻き込まれなかった。エルザーは11月8日夜、スイスへの国境侵犯の疑いで逮捕された。当初は爆破事件の容疑者とは見なされていなかったが、現場の写真や爆弾の設計図を所持していたため、やがて爆破事件の容疑者として追及される。共犯者や背後関係が疑われ、ナチスによる自作自演説も流れたが、結局はエルザーの単独犯行とされている。彼はザクセンハウゼン次いでダッハウ強制収容所に収監され、大戦終結直前の1945年4月9日に処刑された。この事件以後、爆発物の管理が厳重になり、その結果大掛かりな抵抗運動がやりにくくなった事は否定できない」


オルグ・エルザーは凄惨な拷問を受けますが、最後まで自身の信念を貫きます。たしかにナチスの独裁政治は恐怖そのものですし、拷問は憎むべきものですが、わたしはある意味でゲオルグは幸福な人生を送ったのではないかと感じました。というのも、自分の信念や思想に殉じることほど幸福な生はないと思うからです。
ブログ「『中外日報』に『唯葬論』の書評が掲載されました」で紹介したように、日本を代表する宗教新聞の「中外日報」に、「葬儀の歴史や人類史における葬送儀礼の変遷について論じたものはこれまでもある。しかし葬儀が人類にとって未来永劫に必要不可欠の営みであることを、ここまで強く訴えた人はいない」と書いていただきました。わたしは、「葬」の重要性を訴えるのは自分の使命であると思っています。


唯葬論

唯葬論

ですから、ブログ「『和』を実現する企業」で紹介した今月18日の平成心学塾では、「わたしは、たとえ唯物論独裁国家に拉致されて拷問されたとしても、絶対に自分の考えは曲げたくない。そして、『葬式は必要!』と叫んで死にたい」と述べました。いつもそんなことを考えながら生きていますので、ゲオルグ・エルザーの生き様に深く共感したのです。
また、彼が生涯にわたって1人の恋人だけを愛し続け、彼女の写真を胸に死んでいった姿にも感動しました。わたしも、愛する人の写真を抱いて死にたいと心の底から思いました。


さて、ヒトラーの暗殺計画といえば、映画「ワルキューレ」を思い出します。
トム・クルーズが主演した2008年の作品ですが、1944年に起きたドイツ国防軍将校によるヒトラー暗殺計画「ヴァルキューレ作戦」と、その指揮を執った実在の将校シュタウフェンベルク大佐を描いていました。
ヒトラーの暗殺計画は、彼の政権奪取後、単独犯と組織的なものを合わせて少なくとも42回企てられました。その度に、わずかなタイミングの違いで暗殺計画は失敗に終わりました。まことにアドルフ・ヒトラーという男は運が強かったといえますが、最後にはその悪運も尽きました。1945年4月30日、長年の恋人エヴァ・ブラウンと結婚式を挙げた後、妻エヴァと共に総統地下壕の自室に入り、自殺しました。


ヒトラーの最期を描いた映画といえば、なんといっても「ヒトラー 〜最期の12日間〜」です。「ヒトラー暗殺、13分の誤算」と同じオリヴァー・ヒルシュビーゲル監督でドイツ、オーストリア、イタリア共同制作、2004年の公開でした。この作品では、ヒトラーを怪物としてではなく人間として描き、ほぼ史実をそのまま誇張もなく歴史に忠実に描いていました。
この「ヒトラー 〜最期の12日間〜」を観て、わたしは心の底から哀しくなりました。戦後最大のタブーであった「人間ヒトラー」を描いた問題作を観て、悪魔の象徴のように思われているヒトラーナチスの人々にも他人への愛情が存在したことを知って、たまらない気持ちになったのです。なぜ、家族や同胞を愛する心を持っている者が敵に対しては冷酷になれるのか。なぜ、「思いやり」ではなくて「憎しみ」なのか。なぜ、同じ地球に住む同じ人間同士なのに、殺し合わねばならないのか。久々に、この映画を観直したくなりました。北九州の自宅に戻ったら、DVDを探してみようと思います。


また、この日、映画「ミケランジェロ・プロジェクト」の予告編が流れました。
第二次世界大戦下、ナチス・ドイツ軍によって強奪されたヨーロッパ各国の美術品を奪還すべく、戦場に向かった特殊部隊“モニュメンツ・メン”の活躍を描いた作品です。ジョージ・クルーニーをはじめ、マット・デイモンビル・マーレイケイト・ブランシェットといった豪華キャストが集結しています。
それにしても、「20世紀の神話」としてのヒトラーナチスの存在の巨大さを改めて痛感します。「ミケランジェロ・プロジェクト」もぜひ観たい!



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2015年10月21日 一条真也