『100文字でわかる世界の宗教』

一条真也です。
今回の「一条真也による一条本」ですが、『100文字でわかる世界の宗教』(ベスト新書)をご紹介します。2006年12月16日に刊行された本です。


100文字でわかる世界の宗教』(ベスト新書)



本書の帯には「宗教がわかれば、世界が見える!」と大書され、続いて「当代一の宗教通が極める1冊」「簡単(シンプル)で奥が深い!」と書かれています。本書の目次構成は以下のようになっています。


本書の「まえがき」



まえがき「宗教――人間の精神をつくるもの」
【Section1】キリスト教
●ボクの罪を告白します
●すべての人を救う「愛の宗教」
   イエス旧約聖書新約聖書/三位一体/
   7つの大罪/カトリックプロテスタント
   東方正教会グノーシスキリスト教原理主義
   アダムとイヴ/最後の審判ゴルゴタの丘
   十字軍/聖母マリア/ユダ/洗礼/告解
【Section2】イスラム
 ●ようこそ!イスラムの世界へ
 ●過酷な砂漠を生きぬく叡智
   ムハンマドコーラン/六信五行/イスラム教の禁則/
   シーア派スンニ派スーフィズムイスラム原理主義
   アサシン/ラマダーン/メッカ巡礼/一夫多妻制/
   ジハード/モスク/オスマン帝国
【Section3】仏教
 ●「悟り」をひらきたい!
 ●執着を捨て、苦しみの世界から脱出
   釈迦/仏教経典/般若心経/三法印、四聖諦、八正道/
   大乗仏教/上座仏教/チベット仏教ダライ・ラマ
   密教顕教禅宗
【Section4】ユダヤ教
 ●神と契約しませんか?
 ●ユダヤ人は、神に選ばれた民族なり!
   ヤハウェモーセ十戒/律法と戒律/カバラ
   イスラエル嘆きの壁反ユダヤ主義
   死海文書/割礼/ラビ
【Section5】ヒンドゥー教
 ●カレー屋さんの店主に聞いてみました!
 ●今も人びとの暮らしにとけこむ悠久の神々
   バラモン教ヴェーダとバガバッド・ギーター/
   ヒンドゥー教の神/解脱/カースト制度
   シーク教とシーク戦争/ヒンドゥーナショナリズム
   石窟寺院/ガンジー
【Section6】その他の宗教
 ●宗教はいったいいくつある?
 ●民族の数だけ、文化の数だけ存在する宗教
   神道修験道儒教道教ジャイナ教
   ゾロアスター教ブードゥー教
   ミトラ教マニ教/カルト宗教
「参考文献」


この本の読み方


21世紀は、9・11米国同時多発テロから幕を開いたと言えます。あの事件はイスラム教徒によるものとされていますが、この新しい世紀が宗教の存在を抜きには語れないことを思い知った人も多いでしょう。その後の世界各地での戦争や紛争やテロの背後にも必ず宗教の存在があり、宗教に対する関心は日に日に増す一方です。
しかし、日本人のなかには宗教を知らない人が実に多いことも事実です。正月には神社に行き、七五三なども神社にお参りする。クリスマスを盛大に祝い、結婚式は教会であげる。そして、葬儀では仏教のお世話になる。ある意味で宗教的に「いいかげん」というか「おおらか」なところが、代表的な日本人の宗教感覚だと言えるかもしれません。


カトリック」のページ



列島を震撼させたあのオウム真理教事件などは例外中の例外として、日本人は一般に「無宗教」だと言われます。自らが信じる神のためには戦争をも辞さないユダヤ教キリスト教イスラム教といった「一神教」の人々には燃えるような宗教心が宿っていますが、日本人の心の底に横たわっているのはむしろゆるやかな宗教心ではないでしょうか。
そして、そんな日本人たちは言います。「宗教が違ったって、同じ人間じゃないか。どうして宗教のために人間同士が争わなければならないのか」と。たしかに、その通りです。人間は人間です。


「上座仏教」のページ


しかし、人類という生物としての種は同じでも、つまりハードとしての肉体は同じでも、ソフトとしての精神が違っていれば、果たして同じ人間だと言い切れるでしょうか。大事なのはソフトとしての精神であり、その精神にもっとも影響を与えるものこそが宗教なのです。はっきり言って、宗教が違えば、まったく違う人間になるのです。もちろん平和は大切であり、この世界から戦争を根絶しなければならないと私も痛切に思います。でも、そのためにも、いや、そのためにこそ宗教に対する理解というものが必要なのです。宗教を知らずして、真の国際人には絶対になれません。本書は、世界中の宗教について「これ以上は無理」というところまで、徹底的にわかりやすく解説しました。いわば「世界一わかりやすい宗教の本」を目指したのです。


儒教」のページ



さて、わたしには著書のみならず、多くの監修書があります。
そして、本書こそはわたしにとって初めての監修書でした。「出版界の木下藤吉郎」こと造事務所の堀川尚樹さんが編集してくれました。造事務所は、編集プロダクションの雄として知られています。『世界の神々がよくわかる本』(PHP文庫)など、多くのベストセラーを世に送り出してきました。その造事務所から「ぜひ監修をお願いします」というオファーがあったとき、わたしは飛び上がって喜びました。
ブログ『ユダヤ教vsキリスト教vsイスラム教』で紹介した本が非常に売れていたので、新しい宗教本の監修者として白羽の矢が立ったようです。


神道」のページ



本の監修をするのは偉い学者の先生ばかりだと思っていたわたしは、身の引き締まる思いがしました。そして、「監修者」という響きが何だか嬉しくて、同書の見本を池袋の造事務所まで取りに行ったことをおぼえています。
また本書の刊行直後、たしか全互連の理事会か何かのときに堀川さんからケータイに電話があり、後から留守電メッセージを再生してみると、「一条先生、やりました! 増刷が決定しました。すごいハイペースです!」と堀川さんの興奮した声が聞こえてきたのもよく記憶しています。
その後も、いろいろな本を監修させてもらいました。でも、生まれて初めての監修書である本書は特に思い出深い一冊です。



とにかく100文字で宗教を解説するというコンセプトが斬新でしたし、表や図版も豊富で、今読み返してもユニークな宗教入門であると思います。
なお、2011年3月には本書の内容をアップデートして、『100文字でわかる世界の宗教』(ワニ文庫)が刊行されました。


100文字でわかる世界の宗教』(ワニ文庫)



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2015年7月8日 一条真也